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一匹の春をつかまえた それはまだ小さく か細く 頼りない 人差し指に満たない ともしびだった それでも これまで起こった すべての悲しみが 仮面をはずして そっと手を握ってくれたような 優しい溜め息に似た風を感じられた 春 春 はらら 誰にも言えなかった悲しみが ひと肌の涙を流せたとき 生命の温度を思い出すように 一匹 また一匹と 春がととのっていった 春 春 うらら そっか 冬が春になろうとする力のことを 春っていうんだ 薄桃色した一匹の女王春がエンジンとなり