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うたがわきしみの宇宙Ⅱ

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140文字では収まりきらなかった、うたがわきしみの世界観。コラムやエッセーやうわごとじゃない。あくまで、なにかしら、きしみの宇宙を匂わす作品になっているものたち。主に詩。ギャグ系…
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2020年5月の記事一覧

鮮やかに 朽ち果てるように 若返っていく そんな心持ちです

他人を許す前に自分を許すべきだった #本日の迷言

砂クジラの頭部には醜悪な瘤が大量に散在しており、そのグロテスクな見た目も手伝ってか女性にはまるで人気がない。だが瘤の中には琥珀色の分泌物が満々と内包され、舐めてみると味は実に高級な蒸留酒によく似てしかもしたたかに酔える。故にマニアの間では高値で取引され、密漁が後を絶たないという。

五千頭の砂クジラの大群が大砂海を横断していく。薄桃色の巨大な頭部が砂原を勢いよく突き破っては空中で身をよじり、束の間、まるで時を止める遊びを楽しむかのようにスローモーションを現じる。やがて露にしたその銀腹を思い切り砂面に打ち付けると、飛び散った大量の砂しぶきが我々の視界を遮った。

あきらめた振りをして逃げてきたずっと #一行詩

涙に蓋をするように抱き締めるから嫌い #一行詩

無傷な才能なんてない あったとしても それでは奥に届かない #詩

火山だって泣くときもある #一行詩

殺しても殺しても 信念の笑顔は斬れぬ 消えぬ けして #詩

まともに生きるために 三秒に一回は 発狂していいよ君 まともにい きるためにさん びょうにいっ かいははっきょう していいよきみ #詩 #短歌 #みそひともじ #隠れ短歌

もう二度とごめんだと 決めて誓った 天国と地獄を はからずも行き来し 我が身の愚かさを呪いつつ もんどりうって這いずって のたうち回って歯軋りし 一歩 また一歩と あるとも限らぬ 地平線を目指し匍匐前進してゆく 業の深い生命体ゆえ そうすることでしか 己の振れ幅を獲得できぬのだ

ちゃんと馬鹿笑いしてますか 声をあげて泣いてますか 込み上げる喜びにはしゃいでますか 持てる悲しみを味わい尽くしてますか 誰かに感謝の祈りを捧げてますか 何より自分への感謝は溢れてますか この世を呪い罵詈雑言を浴びせましたか この世を愛し慈しみましたか よかった 生きてる証拠です

目を開けているからといって 生きているとは限らない #きしみのことわざ辞典より #詩 #詩あるいは死のようなもの

いい加減に気持ちもおさまり 寄り道をやめ まっすぐ家に帰ってみると 玄関が 丸ごとすっぽり無くなっていた 私は心底驚いた いや 正確に言うなら ”驚いたふり“をした なぜなら私こそが 他ならぬ その“玄関”だったからである #玄関の家出