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著名な占い師に薦められ、タクシーの運転手に転職した。始めた当初は生活も不安定だったが、とある客を乗せてからは事情が変わった。 その客はすでにこの世の者ではなかったが、連日貸し切り乗車であちこち巡り、実に羽振りがよかった。 あちら側の世界にも口コミというのは存在するようで、その日からというもの次々と現れるようになった青ざめた上客たちを相手に、私は“思い出巡り”を手伝った。 彼らの間で私は今、“故人タクシー”と呼ばれている。
オーロラを殺したのは誰ですか?
先祖代々ひと殺し #自由律句 #宿命の物語 #阿修羅 #目をそらさず描くがいい
からだぢゅうの血という血を 毛細血管の隅々にいたるまで 適合した他人の血に 日々入れ替え続けたが おそらく 今もってなお 驚くほど自分だ
ひくい男の声で背後から 「たましひ……たましひ……」 と囁き続かれ はや3日 姿はいっこうに見えず 風呂もトイレもおかまいなし 四六時中 「たましひ……たましひ……」 と呼びかけられ もはや正気を保てそうにない
沸騰した屈折をたぎらせ 抑え込むほどに映えゆく輪郭 挿入された烙印に甘んじて生きるぐらいなら正義の悪魔に トップスピードで行き過ぎる街達 溢れる人類 愛想つかす資源 痣隠す女 泣き叫ぶ隣家の少女 ハイに溺れる男 終わらぬニュース 赤い風船が交差点を飛ぶ 明日にgood-night