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うたがわきしみの宇宙Ⅱ

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140文字では収まりきらなかった、うたがわきしみの世界観。コラムやエッセーやうわごとじゃない。あくまで、なにかしら、きしみの宇宙を匂わす作品になっているものたち。主に詩。ギャグ系…
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2016年8月の記事一覧

『言葉の骨』

意地悪は小骨が多く はんなりは腰がやわらかい 頑固は前屈が苦手で 真実はいつだって骨太 絶望の骨は黒く、ひしゃげ 花魁は全身とろけて溶かす技がある 爆音はとがり 風はたおやかにしなり 月の骨は金色に響く 妄想の頭蓋は肥大化して軋み 聖女の鎖骨をなめれば濃密な背徳感 夢は七つに割れて拾えず 死は乾いて悲しいほど軽い 愛の骨は死してなお人肌にあたたかく 嫉妬はトゲつき イジメはイバラつきで 自分まで痛い 空の背骨は虹となり 宇宙の背骨は天の川 やがて誰もが笑顔で骨