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ContactGlove 体験レビュー

はじめに

・Diver-X様が開発しているContactGloveの個人的なレビュー記事です。
・TGS2022&有楽町b8ta11月上旬展示での体験をもとに書いています。
・できるだけ正確に書いているつもりですが、詳細に確認を取っているわけではないです。(参考程度にお読みください)

なぜレビューを?

オープンソースのソフトウェアとドライバー(LucidGloves/OpenGloves)を用いて、Glove型SteamVR対応コントローラーを個人的に作ったりしてます。
そんな感じでこの製品にめちゃくちゃ期待してるので、似たものを作ってみた視点から詳細にレビューできたら、いろんな人の参考になりそうだ、と思って書きました。

ContactGloveとは

デバイスそのものについては公式の紹介ページを見たほうが良いかと思われます。

購入できるモデルには4種類が予定されているようです。

ContactGloveの特徴となるSMAはwith hapticsモデルに搭載されるようです。またLRAはコントローラー本体に搭載され、with hapticsモデルには親指にも搭載されるようです。
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SMA:Shape memory alloy:形状記憶合金
(金属に電流を流すことで発熱・収縮し、フィードバックを行える)
LRA:Linear Resonant Actuator:リニアバイブレータ
(電磁石を利用してコイルを振動させることで、フィードバックを行う)
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SMAは締め付ける”力”で触感フィードバックを行う、LRAは”振動”で触感フィードバックを行うということだと思います。
モーターごとの触感フィードバック特性は以下記事を参考にするとよさそうです。

[TGS2022]
触感フィードバックを含む体験レビュー

ContactGlove

左:内部に入っているデバイス本体
(指の曲げを取る曲げセンサは黒く細長い板にマウントされている)
左上:SMAハプティックモジュール
右:グローブ本体、手の甲側にあるマジックテープ式のポケット(白い部分)にデバイス本体が搭載される

ContactGlove

TGS2022ではSMAのハプティックと5本の指の曲げ(各1軸、全体的な曲げ)を体験できた。

装着感

手のひらはメッシュになっており、蒸れにくくなっている
・しかし、手の甲側はつるつるとした素材でできており、熱が逃げていかないため、長時間付けると手汗で蒸れる傾向がある。(個人差)
・指のフィット感は指を動かしても抵抗感がなく快適だったが、指の細さで大きく変わりそうな印象を受けた。(個人差)
・指の曲げを取る曲げセンサーは、たわみや歪みを抑えるためのガイドの役割を持つ黒い板の上に設置されている。曲げたときの抵抗感は0ではないが、グローブを装着して指が窮屈にならないフィット感の人はほとんど無視できると思われる。
SMAモジュールは指先に搭載され、この時点では取り外しは想定していない様子だった。
・手の甲部の本体が非常に軽く小さい、指を動かしたり手首曲げで邪魔にならない
・手の甲部にトラッカーをマウントでき、TundraTrackerをマウントした際も邪魔にならない感じだった。
(手の甲にあるので、手の平を上にするような極端な動作を行うと、トラッキングが少し飛びかける様子があった)
・バッテリーはカートリッジ式だが、usb-cで接続していればバッテリー無しでも駆動可能な様子だった。

FingerTracking(bend)

5指すべての曲げを体験できた。
・曲げセンサー(アナログセンサ)故か、静止時に多少ながら小刻みに振動する様子が見られた。
指の曲げ・伸ばしの応答性は良好だった。(展示時には多少遅延があるが、原因は判明しており製品版では改善予定…とのことだったが、十分遅延が無いように感じた)
弾力のあるベースの板の上にセンサーがあるため、曲げ伸ばしでセンサーがたわんで誤動作することが少ないように感じた。

SMA Haptic

以下の条件の下で、VRHMDを装着して積み木やドミノのデモを体験した。
・SMAモジュールは人差し指のみ
・フィードバックまでの遅延あり
・SMAは接触した1度のみ締め付けてフィードバックを行う(実動作はある程度のインターバルで締め付ける→緩む→締め付ける…を想定しているらしい)
・デモアプリ上で物は掴めず、つつく・押し込むなどの動作を行える

・振動と異なり素早く締め付けられる力を感じる。
・つついたり押し込んだりする際のフィードバックが鋭い
・LRAではないので振動でFingerTrakcingが荒ぶることが少ない
手の指の太さによってグローブの密着度が異なるため、指先のSMAの収縮による力覚フィードバックの強さが異なる。自分のデモにはスペーサーをかます必要があった。(薄い手袋をはめるなどするとフィットするかも…?)
・仕組み上バイブレーションの様に常時高速作動することは難しく、締め付ける→緩む→締め付ける…とある程度のインターバルが必要になる

(手の甲にも既存のコントローラのようなLRAハプティクスを搭載予定で、つまむ際に指先のSMAハプティクスと組み合わせることで、よりものを感覚的に掴みやすくすることができるかも、とのこと)

[b8ta-有楽町]
Magnet式A/Bボタン&IMU式JoyStick
体験レビュー

以下の機能の追加があり、体験できた。
・ハンドサインによるFingerTrackingキャリブレーション
・親指の磁力センサと人差し指の磁石による磁力式A/Bボタン
・IMUによるJoyStick操作

b8taでの装着の様子

装着感

・親指に磁力センサが搭載されたせいか、親予備の指先が少しごつい感じがある(動作に支障はなかった)
・人差し指の磁石は少しかさばるが、方式的に薄いシート状の磁石になれば支障はなさそうに感じた。

FingerTracking(bend)

複数のハンドサインによるキャリブレーション手順が追加された。
・キャリブレーション後、指曲げの静止時などにみられるブレはかなり改善していた。
・ブレの改善後にもかかわらず、曲げの応答のなまりも起きていないように感じた。
・一方、キャリブレーション後の各指の個別の曲げの認識が上手くできていなかった。(キャリブレーションの際に現状のFingerTrackingがどのように認識されているかの表示が無いため、センサーのたわみなどに気づかずにそのままキャリブレーションを行ってしまった可能性があるように感じた。)

磁力式A/Bボタン

親指の磁力センサにより人差し指の磁石2つを検知し、A/Bボタンとして使うことができた
・ある程度接触させれば、ボタン押下を認識した。
・親指センサ面とボタン面はどちらも硬い平面なので、柔らかい指で物理ボタンを押すのと比べて、操作が少し難しいように感じた。
・一方、物理ボタンに比べて誤動作が起きにくいように感じた。

IMUによるJoyStick操作機能

磁力式A/Bボタンの間に親指を置いた際の手の傾きを基準に、手を傾けることで2軸のJoyStick操作が行えた。
物理的な機構が少なく、指曲げ動作に支障が起きにくいように感じた。
A/Bボタンの間に親指を置いた際の手の傾きを基準にJoyStick操作量が決まるので、直感的に操作しやすかった。
・物理的なスティックの原点戻しが必要ないので、経年劣化によるドリフトの心配がないように感じられた。
・腕を動かしながらJoyStick操作をするのは手の傾きが起きてしまう関係上難しかった。(そのような状況は少ないが)
・傾きに対する移動量の感度を下げたり、カーブをいじることができれば、Joystick操作の代替として必要十分な性能に思えた。

おわりに

とりあえず思ったことをそのまま書いてみました。
指曲げや装着感の性能に関してはとても素晴らしく、またSMAのデモは限定的でしたが、触覚フィードバックとして振動フィードバックよりもより優れた”力”のフィードバックとしての印象を受けました
使用時のコントローラとしての性能やキャリブレーション等の取り回しが改善していけば、使いやすくてより没入感のあるコントローラになると思いました。

おまけ(VRChatter向け)

といった関係で、VRChat用途だとコントローラーの指の各関節の曲げ、広げを入力することができるSkeletal-Input機能にVRChatは非対応なので、ぜひCannyに投票して欲しく思います…(ContactGloveをフルに使いたい)


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