我慢強い私は長女

私は我慢強いです。
なぜなら、長女だからです。

子供の頃から、痛い・悲しい・辛い、など、
弱音を吐くことに対して『お姉ちゃんだから』とぐっとこらえ
我慢してやり過ごしていたのでそれが習慣になってしまいました。

以前、学生時代からの親友と台湾へ旅行に行きました。
私にとっては初めての台湾。
3度目となる友人の案内で、いろいろな観光地を巡りました。

旅行の計画を練っていた時から
私は台湾に行ったら絶対マッサージをする!と決めていました。
事務的な作業の多い仕事をしていたので、全身凝り固まっていましたし、
台湾のマッサージはとても安価でしかもレベルも高いとか。

日本のリラクゼーション的なマッサージしか受けたことのない私でしたので
その期待は膨らむばかりでした。

さぁ待ちに待ったマッサージ。
まずはホテルの近くにあった全身マッサージを60分コースでお願いしました。
マッサージをしてくれるお姉さんたちが出てきました。
これがまたびっくりするくらいのミニスカートです。
あれ?そういう感じの店?と勘ぐってしまいました。
こちらは女子2人です。もしかしたら男性専用の店だったのかもしれないと思い、友人と二人黙り込んでしまいました。
ですがミニスカートのお姉さんたちはスマートに
コチラヘドウゾ~
と奥の部屋に案内してくれました。どうやら私の勘違いのようです。

服をマッサージ専用着に着替え友人と二人、施術台の上にうつ伏せに寝ころびました。

するとミニスカートのお姉さんたちはバスタオルを数十枚、両手に抱えて部屋に入ってきました。

コレデアタタメマスネ~

ミニスカ姉さんはうつ伏せになった私の背中に
あっつ熱のバスタオルを広げて何枚も掛けていきました。

ぅあっっつぅ!!!!と思いましたがそこは長女です。
我慢しなくてはなりません。
私は下っ腹に力を入れて耐えました。
ふつうは手に力が入るところですが、手を握りしめるとミニスカ姉さんに見えてしまいます。それはカッコ悪いので下っ腹に力をこめることにしました。

5枚、10枚、15枚・・・何枚重ねていくのでしょう。
熱いうえに重たくなってきました。
さらに下っ腹に力を入れます。

あっつあつのバスタオルはそのままに、
ミニスカ姉さんは足裏のマッサージに取り掛かりました。
土踏まず付近に姉さんの親指がめり込むのがわかります。

変な汗をかいてきました。
バスタオルのせいでしょうか、それとも足裏の激痛のせいでしょうか。
うつ伏せの体制でよかったです。
私は不動明王のような険しい表情を施術台に押し付け、さらに下っ腹に力をこめました。

足から腰をマッサージし、やっとバスタオルをはずしてくれました。
背中のマッサージに入ります。
背骨にそって指がめり込みながら下から上へ流していきます。
声にならないとはこのことでしょうか。
あまりの痛みに卒倒してしまいそうです。
イタクナイデスカ~?
大丈夫です・・・。
そうです。私は長女です。こんなことに負けるわけにはいきません。

隣から友人の
少し優しめでお願いします・・・
という声がかすかに聞こえてきました。
仕方ありません、彼女は末っ子ですから。

リラックスなんてできるはずもなく、
不動明王の顔のまま60分を終えました。きっと下っ腹はムキムキになっていることでしょう。
マッサージ後の爽快感より、痛みを耐えたという達成感でいっぱいでした。

その後に繁盛しているらしい足裏マッサージ専門店を見つけました。
どうやら専用のナイフみたいな器具で足裏の角質とりまでやってくれるみたいです。さっそく申し込みました。

最初におばさんが足裏のマッサージをしてくれました。
痛みはありますが、先ほどのミニスカ姉さんのマッサージを耐えています。
全然余裕です。長女ですし。

20分後、角質とりの器具をもったおじさんに交代し、
器用にナイフで角質を削っていきました。

ぽろぽろと角質がとれていきます。
見ていて気持ちいいくらいです。
私は好奇心もあり、おじさんが削る様子をずっと見ていました。

するとおじさんの手が止まった瞬間がありました。
ナイフを置き、足の指の間を手でこすりはじめました。
そして何事もないように、またおじさんは角質を削り始めました。
なんだか足指の間に少しズキズキと感じるような気がしますが、そのおじさんは日本語も通じないようなので、そのまま我慢しました。長女ですから。

施術を終えて友人とホテルに戻り、シャワーを浴びることにしました。
服を脱いで脱衣所の鏡に映った私の背中に驚きました。

背骨にそって二本の線が私の背中に現れているのです。
慌てて友人を呼び見てもらい
ちっちゃい車に轢かれたんか
とよくわからない事を言われました。

ミニスカ姉さんのマッサージを我慢し続けた結果
赤黒いあざのような線が出来てしまったのです。

私は足指のほうも気になってきました。
すると見事にスパッと切れていて流血していました。

この日程、
あぁ・・長女って大変だなぁと思った日はありませんでした。

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