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実家で遭難しかけた話

実家で遭難しかけたことがあります。

その日、弟二人とテレビを見ながら話が盛り上がり
そのまま三人で弟の部屋で談笑しておりました。

次の日が休みだったためか誰ももう寝ようとは言いださず
すでに深夜2時をまわろうとしていました。

男の子の部屋というのは、人にもよるんでしょうけど
うちの弟の部屋はあまり綺麗にしているとは言い難く
机やベッドやドアも雑に扱っているのがだいぶガタがきておりました。

もう20回目の古今東西ドラえもんの道具ゲームをしたころでしょうか。
下の弟がトイレに行きたいと席を立ちました。

その弟はドアの前で立ちすくんでしまったのです。
ドアを目の前にじーっと、固まっています。
ズボンをちらっと見ましたが大丈夫、漏らしているわけではなさそうです。

どうした?

私は尋ねました。

すると弟はゆっくりと振り返りこう言いました。

ドアノブが・・・とれちゃった・・・

弟の右手にはぐったりとしたドアノブの生首が握られていました。

ここ最近ドアノブの回りが悪かったんだよね

この部屋の持ち主の上の弟が言いました。

映画のように蹴破って無理やりドアを開けようか。
  いや、このドアは内開きで外に向けて開けることはできません。
ドアノブをもう一度入れてみて回そうか?
  一度もげてしまったドアノブはスカスカと空回りするばかりでした。
ドアをはずそうか?
  工具がない。
家に電話して親を起こそう。
  何度電話しても親は起きません。

しょうがない、窓を開けて庭にいる飼い犬を起こして吠えてもらおう。
私たちは窓を開け、庭で寝ているペコを起こそうとしました。

ペコー!ペコー!!

何十回呼んでもペコは起きません。
番犬の称号は剥奪決定です。泥棒どころか飼い主の叫び声で起きないなんてどういうことでしょう。2件隣の犬は起きたみたいです。

食料も水もない汚部屋で遭難するなんてごめんです。
1か月後ひからびた姉弟が発見されて親はどう思うでしょうか。

私は叫び続けました。
上の弟は親の携帯に電話を。
下の弟は自宅の電話に電話を。

お、おしっこ漏れそう…
弟は限界を迎えようとしていました。

もうダメかと思ったそのとき

ぐがんっっ!!!!

鬼の形相をした父親がドアを蹴破り言いました。
お前ら早く寝ろっっっ!!!

はぁい・・・(シュン)

弟はしばらくドアがないまま過ごしました。
自宅でも命の危険があるんだなぁと感じた夜でした。


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