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靴を磨くこと

出張から夫が帰ってきたら革靴をブラッシングする。出掛ける前にもブラッシング。たぶんわたしはいつになく真剣な顔をしている。
普段履くスニーカーなんて洗う以外手入れはしないけれど(それはそれで問題だけれど)革靴だけは気付くとブラシをかけている。
ブラシをかけながら、少しずつ革のツヤが戻ってくるのを眺めながら父の姿が浮かんできた。
私が高校生の頃、制服の革靴にブラシをかけてくれるのは母よりも掃除好きな父の方だった。期末試験の日の寒い朝も最後のチャレンジ!と意気込んだ英検の面接試験の日の朝も何でもない日の朝も。
丁寧にブラシをかけた後ぴたっと靴が揃えられていた。
なんでそんなにブラシをかけてくれるのかと、思春期真っ只中の私は思いながら、ありがとうの一言も言わなかったことを今になって少しだけ後悔している。
毎日の通学でほこりをかぶる革靴は、父の手でピカピカに磨き上げられてわたしはピカピカの靴で毎朝登校していた。
いま夫の靴を磨きながら、父もこんな気持ちだったのかと思う。
ピカピカに磨かれた靴は行ってらっしゃい、気をつけてのメッセージを込めるのに一番いいかたちだ。
わたしの春色のパンプスにもブラシをかけて春じたくをしようと思う。さぁ、まっさらな気持ちで春を始めよう。
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