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80円の切手 「神様のボート」

大学時代に読んだだろうか、心酔していた江國香織さんの「神様のボート」の文庫本のなかに、こんな一節があった。 「手紙を書きなさい。手紙なら全国どこから出しても80円なんだから。」 当時80円。 愛する男を探し続けるために娘を連れて日本中を転々とし続ける母親が、一つの場所から離れたくないと乞う娘に対して発した一言だった。 わたしは今でもこの言葉に深く頷いてしまう。 どんなに離れていてもどんなに近くても同じ値段の切手で届く。
同じ温度の思いが相手がどこへいても届くのだ。
この安心感は何ものにも代えがたい。 だから、わたしは郵便屋さんを時々敬う気持ちで見つめることがある。 わたしの思いを届けてくれてありがとう。 そうやってわたしはこれからもどこにいようと手紙を書くだろうし、それを受け止めてくれる人がちゃんといることも知っている。 今日も郵便屋さん、ありがとう。 #ayumi応援エッセイ

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