もし、今将棋を始めるなら...入門編

ソクラテス それはそうだ。しかし、また何でこんな早い時間にやって来たのかね。
クリトン 知らせを持ってきたのだよ、ソクラテス。それも辛い知らせをね。きみには多分それほどではないのかもしれないが、ぼくや他の仲間たちには、だれにだって重く辛い知らせだ。ぼくにとっては、どんな重荷より重く耐えがたい。

『ソクラテスの弁明・クリトン』プラトン 三嶋輝夫・田中享英訳 講談社学術文庫 p122-123

入門することを決めた人へ-辛い道のりの覚悟

 何事によらず、あきらめず、図々しく、継続することで、道が開けると、僕は考えています。
 将棋を始めようという方に、言いにくいことがあります。

 勝負に勝ちたいのならば、将棋はお勧めできません。
 将棋は、負けて強くなるゲームです。

 とにかく、負け続けます。
 将棋塾の塾長でさえ、十何連敗が当たり前の世界です。

 完全に実力勝負の世界になります。
 
 ただ、楽しみたいだけだと、将棋が面白いと想えるところまで行けるか分かりません。地道な練習や稽古が必要となりますし、少しさぼってしまうと、弱くなるのも一瞬です。

 また、級が上がると、対戦相手も強くなっていきますから、劇的に勝率が上がるということは起こりえません。

 でも、それでも、まだ魅力を感じてくださる方が居られるのならば、僕は全力でサポートします。

 サポートは、中々行き届かないこともあると思います。
 でも、将棋は歴史がありますから、稽古をする方法については、様々な試みがされています。
 ある一つの練習方法がうまくいかなくても、めげないことが重要です。
 
 よって、自分の弱さと向き合う時間が大事になってきます。
 出来れば、毎試合強く成ればうれしいですが、そううまくはいきません。
 とにかく継続するのが大事です。

 人になんと言われようと、続けてみてください。
 好きなものを続けている人にあれこれ言ってくる人もいるかもしれません。でもあいつには何を言ってもどうしようもないと思ってもらうまで、ずっとやり続けてください。
 そういう人に僕は助力をしたいと思います。
 
 伸び悩む。当たり前です。そんな簡単に強くなったら、プロの先生は、いらなくなります。
 でも、プロフェッショナルがいる以上、そんな決着が簡単につくようなものではないはずです。

 では、ここらへんで、雑言は失礼しましょう。ああだこうだ言ったとしても、将棋は楽しいです。ただ、その楽しみは、色々なやり方があるのではないかと思うようになったのです。楽しい将棋生活を体験してみてください。
 じゃあ、始めましょう。既に、この文章を読み切った人には、門は開けているはずです。では、参りましょう。

将棋の終わり方を学ぶ。 

 将棋とはどういったゲームでしょうか。

 将棋は、王様を先に取るために、色々な駒を活用していくゲームです。
 勝ち方は二通りあります。

 一つ目は、第一義である、王様を取ること。
 これは、敵の大将を取ることですから、これを目指していくのが基本的な姿勢になります。
 
 二つ目は、相手の戦力をくじくこと。
 これは、相手との力量さを見せて、戦意を失わせることです。
 途中で大差をつけて、中押し勝ちすることになります。

 どちらにせよ、自分が投了するか、相手が負けましたと認めるかになります。

 出来る限り、投了しない方へ誘導するのが、将棋の醍醐味となるわけですが、基本的な戦術を理解すること。これが、上達へのプロセスとなります。

基本的な戦術の意味合いー負けないために手順を尽くす

 なぜ、基本的な戦術を学ぶのでしょうか?
 それは、一瞬で決着がつかないようにするためです。

 手順を尽くすという言葉があります。これは、どちらかの不注意によって、いきなり試合が終わることのないように、然るべき理解と順序を踏んで、将棋を深化させることを指します。

 これから何度も繰り返すと思いますが、将棋は難しいゲームです。
 難しさを解きほぐすのが、僕の役割だと思います。



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