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迎賓館 赤坂離宮はひとクセあり

もっとTOKYO!キャンペーンで迎賓館とランチツアーへ行ってきました。

迎賓館は華麗豪華絢爛なのかと思っていましたが、いやいやいや。
クセが強めです。

クセ強ポイント1 開国後わずかで西洋様式を完コピ

1909年完成

この写真がインスタに載ってたら「ヨーロッパ行ったのかい?」と思ってしまいますが、驚きなのは、これほどの西洋建築を数年前まで「江戸」と呼ばれていた場所で建ててしまったこと。
鎖国中、大型建築といえば城のみの状態から、開国わずかで完成させてしまったのです。
1867年 大政奉還 明治が始まるけど、まだチョンマゲ
1871年 岩倉使節団 欧米行っていろいろ学んで追いつこう
1889年 迎賓館着工
1899年 迎賓館完成
こうやってみると実質、20年くらいで迎賓館の設計図を日本人が作り、資金や資材を調達して、それを具現化できる職人たちがいたんでしょう。短い間にここまで完コピできるってのはすごいなぁと思います。
200年鎖国しても30年で追いつけるなら、最近の失われた30年なんて3年くらいで追いつけるかも。

クセ強ポイント2 隠れミッキーならぬ隠れ日本

迎賓館ホームページより

建物は日本で唯一のネオ・バロック様式の宮殿。
内部も大理石に赤じゅうたん、シャンデリア、燭台、西洋絵画の天井絵と、西洋感もりもりの迎賓館なのですが、ところどころに隠れ日本要素が潜んでいます。
下の画像で赤丸をつけたところ。なんかの飾りがありますね。だいたい聖人や小便小僧の彫刻がまどろんでたり?よく見ると…騎馬像なんかでしょうか。

迎賓館HPより

と思いきや、ここには武士がいる。

迎賓館Twitterより

青銅製の鎧兜の武士。しかも片方の口が開き、片方は閉じてセットで「あ・うん」になっている。うわぁぁめっちゃ和!しかも「あ・うん」にするなら狛犬とか金剛力士像という選択肢もおそらく思いついただろうに、あえて鎧にしたんですよね。しかもよーく見ないとわからないほどに馴染ませている妙。


こちらのレリーフはヴァイオリンや西洋風の仮面が描かれてますが、よーーーく見ると日本らしい鼓や琵琶が描かれています。

探してみてね

他にも菊の御紋や桐が西洋風に馴染んでここそこに描かれていました。こういった和モチーフの他にも、七宝焼きや西陣織の卓越技法を西洋建築に完全に溶け込ませています。

全体のトーンを死守しつつ和を忍ばせるのって、本当にオシャレというか。当時の
「西洋に馴染みたい。学びたい。追いつきたい。
 でも日本だって日本だって、負けへんで!
という必死な心意気が感じられます。

クセ強ポイント3 血の気が多い

日本ぽさといえば、今なら着物とか富士山とか寿司とかでしょうか。
平和です。穏やかです。
でも迎賓館で使われている和モチーフは少々物騒。
鎧だけでなく日本刀やサーベル。
彩鸞の間にいたっては、部屋自体が戦中の野営テントの天幕をイメージしてるとか。あちこちに鎧、兜等、軍隊調のモチーフがちりばめられていて戦う気満々。

迎賓館Twitterより

今の平和日本からは考えられない。
新国立競技場に弾道弾迎撃ミサイルの絵を飾ろうとか思わないでしょう。
当時はゴリゴリの軍国主義で、天皇に命を捧げる日本軍が賛美されていたんだなぁって明治のぴりぴりした空気感をびしびし感じました。

「花鳥の間」というめちゃ平和そうな広間がありました。
こちらは現在では晩餐会や記者会見などが行われる重厚優雅な雰囲気。
きっと各国の要人がオホホ アハハ ウフフと美味しい料理を食べる場所なのでしょう。
が、よく見るとその天井画のはじっこ四隅に、狩られた動物たちが描かれてました。動物たち、血を出して白目むいてひっくり返っています。ぐったり感強め。
西洋絵画にも狩猟画というジャンルはありますが、なぜあえてそれを選んだ?
これ、客人がステーキとか食べているときに見たらどんな気持ちになるんだろう?
明治は血の気が多かったのね。

クセ強ポイント4 マッチョ東熊

この迎賓館を作ったのが建築家 片山東熊。
彼は奇兵隊にわずか12歳で志願しています。そのあたりが天皇への忠誠、日本国としてのプライド、戦って勝ち取ることへのこだわりのモトになっているのではないかと想像させます。

東熊 = Eastern Bear

同じ明治時代の建築家として有名なのが東京駅を建設した辰野金吾。
金吾と東熊、二人とも師匠はイギリス人のジョサイア・コンドルですが

どっしり安定 金吾の東京駅

金吾の建築と東熊の建築を比べると、金吾の方がどっしり感があるんですよね。安心感というか。
一方、東熊の方は華麗華美でありながらマッチョ感を感じます。
「菊と刀」とか「三島由紀夫」とか。その辺の華美マッチョ東熊。
ちょい湿度というか念がむぁぁ~と匂う感じが、私は、好き!

華美マッチョ東熊は迎賓館(当初は大正天皇の住居として建てられた)の完成を明治天皇に報告したところ「贅沢すぎる」と一言言われ、ショックで寝込んでしまったそうです。う~、そういう繊細マッチョエピソードもいいですね。

おススメするよ

なかなかあれだけの豪華さと品格を損なわない強烈な個性を兼ね備えた建物ってないと思うのでおススメいたします。
https://www.geihinkan.go.jp/akasaka/
見学は予約が必要です。

私が行ったのは夏だったのでパスしましたが、季節が良ければ迎賓館前のパラソルの下でアフタヌーンティーもできるそうです。
https://www.geihinkan.go.jp/akasaka/akasaka_news/1-1_3afternoonter/

私たちは迎賓館を出た向かいの地下のカフェでゆっくり涼みました~。
ここも良かったですよ。
https://www.docci.com/shop/geihinkan/

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