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「空也上人と六波羅蜜寺展」に行ってきた

コロナ禍で美術館や博物館が休館したり、ずいぶんと空いている時期が長かったですが、今回、上野は混んでました。平日でも前日予約では午前中は取れず。人数制限はしてても「おっと人だかり」という密度。
見にくいけど、なんだかホッとしました。公立私立問わず、美術館や博物館に多くの人が訪れて、うるおって、展示やイベントがさらに充実しますように♥

さて、空也上人ですが、私は仏教ラッパー始祖だと思っていたんです。

まず時宗ってありますよね。時宗って本当に斬新だと思うんです。
踊りながら念仏を唱えるんですよ。当時は貴族のものだった仏教を平民に広めるために、やぐら(ステージ)の上で僧侶たちが唱えて踊り、その様子を多くの人が熱狂的に見ていたそうです。これ、ライブですよね。
遊行と呼ばれるライブを全国各地をまわって行うのですが、これツアーです。
僧侶と一緒に踊る人々を「時衆」と呼びますが、ファンたちに名前をつけて呼ぶ構図。既視感しかないじゃないですか。

現在の踊念仏の動画を貼りつけておきます。

盆踊りっぽいですけれど、当時は「男も女も衣服を脱ぎすて、罵詈雑言をはき、恍惚と踊り狂っていた」と記されています。
一体、どういう状態だったんですかね。800年前のこのライブツアーについて考えると、私は胸アツになってしまうんですよね。当時は他にエンタメも少なかっただろうし。
もし私が鎌倉時代に生きていたら、時衆としてお数珠を振り回していたのかしら。

この時宗のカリスマ教祖が一遍上人なんですけど、一遍は空也上人を尊敬してやみませんでした。
…このあたりもなんかミュージシャンあるある…。
爆発的な人気を博したカリスマが、それほど知名度はないけど玄人好みされていたアーティストをリスペクトする流れ。

その空也上人像が今回、東博に来ていたんです。

正直、申し上げますと、私、今回、ミラクル勘違いにより、東博へ一遍上人像を見に行くつもりで見に行ってしまいました。
入室してすぐに空也上人像を見て

めちゃくちゃ清貧って感じだなぁ。清いわぁ。
開祖らしいアクの強さとかないんだなぁ。むしろ自我を捨て去った感じ。

私の独り言

とか、感想を抱いた後に落ち着いて説明ボードを見てようやく気づきました。
自分が怖い。

そんな勘違いさえもはるかに飛び越え、空也上人像は圧倒的写実性と清らかさがすごい良い作品でした。空也上人が持っている杖、上部がシカの角なんですけど、ブツブツまでちゃんと再現されています。照明が目元にあたり、瞳が光る感じも本当に素敵。
お口から飛び出してる6つのミニ仏像、あれはどうやって口のなかに差しこんでるのかな?喉仏あたりに引っ掛けるところとかるのかな?運ぶときは取り外しできるのかな?

空也上人が創建した六波羅蜜寺のあたりは古くは鳥辺野という埋葬の地で、あの世につながっているとされていたそうです。
昔からそう言われている土地で独特の空気ってありそうだなぁ。今度、京都に行ったら訪れてみたい。

勘違いした後ろめたさのせいか、ますます良い展示会だと思ってしましました。。

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