競争力CA:M&Aは企業を救えるのか

競争力CAについての記事です。
「M&Aは企業を救えるのか」という議題で行われました。

記事

後継者不在による事業承継問題を解決する手段として、M&Aは広く浸透してきている。M&Aを実行し、第三者承継により新しい経営者を迎えることができれば、後継者問題が解決され、企業は存続し続けることができるといわれている。
中小企業庁の調査によると、中小企業・小規模企業の経営者平均年齢は年々上昇しており、2025年までに70歳以上の経営者が約245万人に達すると言われている。また、後継者不在の問題を抱える中小企業・小規模事業者は2025年には約127万者にのぼるとも言われている。
後継者問題を抱えている企業にとって、M&Aは事業承継と事業成長を一度に叶える選択肢になる。親族や社員に継いでもらうことが難しい場合の解決策にもなる。
 
立論者はM&Aは必要であるという賛成の立場、他の参加者は反対の立場から反論を行いました。

前提条件
M&Aの対象は中堅中小企業。

用語
M&Aとは『Mergers(合併)and Acquisitions(買収)』の略。

意見・論点

1.事業承継問題を解決できる。
→2021年を基準にした統計によると日本には337.5万社の起用が存在しており、その中の中小中堅企業は336.5万社である(約99.7%)。現在日本は少子高齢化によりこれらの企業を親族承継できることが少なくなっている(しかも多くの企業が黒字)。M&Aを行うことでこれらの企業を第3社に承継することができる。
 
2.従業員を守ることができる。
→上でも述べたのように日本には90%以上が中小企業であり、そこで働いている従業員も多い。事業継承ができず企業を廃業してしまった場合従業員は仕事失う。しかし、M&Aには、従業員の雇用を守ることができるメリットがあり、「従業員の雇用維持」が譲渡先への条件のひとつに挙げられる。M&A後、従業員は新しいオーナーのもと、従来通りの条件で引き続き雇用され、顧客や取引先も継承されるケースが一般的である。
 
Q.期待していたほどの利益が得られない例がある。従業員の待遇がよくならない場合。
A.そういう例もある。すぐに効果が出ないのは当たり前。M&Aの後のコンサルティング(PMI)を行えばよくなるはず。
経営利益が48倍になった例もある。
 
Q.しっかりしたプロセスを踏んでM&Aが行われていないことが多いのではないか。成功事例が約36%しかない。
A.確かにその通り。今年の秋に政府によってM&Aの制度改正が行われると、今後はよくなっていく。黒字の中堅企業が廃業するのは日本の損失。36%でもやったほうがまし。
 
Q.大手企業のM&Aの成功の定義は成長すること。中小企業における成功の定義は経営者の考えに依存するのではないか。経営者の成功の定義が曖昧だから低い成功確率になっているのではないか。
A.従業員を守ることはメインの理由ではない(付随的なもの)。企業全体の利益を考えて行っているはず。
 
3.廃業コスト削減ができる。
→会社を廃業する際には、さまざまなコストがかかる。例えば、会社設備の処分費や在庫処分費、店舗を賃貸しているなら原状回復(復帰)費、解雇する社員への手当や、さまざまな書類の手続き、専門家に廃業手続きを依頼するための報酬など。しかし、会社を譲渡すれば、このような廃業コストはかからない。

予想される反論・再反論

1.事業継承に関する悩みがない企業の場合はM&Aは必要ではない。
→事業継承以外にもM&Aは一つの経営戦略として行える。最近は4-50代の若い経営者もM&Aを行っている。これは小さい希望からより大きな企業への成長や仕事の環境を改善するためである。例えば、上場企業に企業を譲った場合は労働環境改善や上場企業の技術を使うことでより成長できる。実際に、メディカルシステムネットワークという企業と合併したある中小企業は全体的な売り上げが上がったり、労働環境が改善されている。
 
Q.中小企業の目的は利益拡大というより継承者がいないこと。家族経営が多いから親族内で継承したいという人が多いのではないか。M&Aは日本のそういう状況に合わないのではないか(手段と目的が合っていない)。
家族に継がせたくても子どもが嫌で親は継がせたい、なら廃業しようとなる企業が多いのではないか。
廃業している企業の中で黒字の企業は何%あるか。
 
A.数年前までは当たり前だったが最近はなくなってきている。子どもに強制的に継がせることが少ない。
連帯保証など政府からの支援で免除される。
経営戦略目的のM&Aが増えている。
中小企業全体の6割が黒字。
 
Q.黒字、家族に事業継承させたいけどできない、こういう企業にはどう提案するのか。
A.廃業コストが大きいからM&Aを選択する人がいるはず。政府からの支援もある。
 
2.M&Aを行うことで逆に失敗し他事例もある。
→当然M&Aを行うことで100%成功するとは限らない。例えば、単純に企業を売りたい買いたいなどという理由で短い期間で行うM&AやM&Aを専門性がない業者を通して行う場合は失敗する確率も高い。しかし、M&Aに関する情報がたくさんあり長い間やってきた業者を通して行えばリスクを最小限にできる。失敗したほとんどのM&AはM&Aをすることだけに集中していることが多い。
M&Aを行った後もコンサルティングを行うなど、続けてサポートすることでリスクを最小限にできる。
 
Q.投資ファンドによるものは?倒産しそうな企業を狙って安く取引することが多くなるとターゲットになった企業は不当な解雇や利益中心に考える
A.ファンドを行うのは大企業が多い。中堅中小企業は個人のコンサルが行う。解雇については取引前に会議をして書類を作るなどの手続きを行えば不当な解雇にはならない。
法的な枠組みはない。
 
Q.法的な枠組みがないなら中小企業にとって脅威となるのではないか。
A.M&Aのグループがあってルールが決まっている。お互いに話し合って書類を作成し、決めた事項を守らなければならない。
 
3.簿外債務・偶発債務そして仕入先や取引先へ影響
譲渡の実行後に、貸借対照表上に記載されていない簿外債務が発覚し、問題となるケースがある。買収先企業の財務リスクの確認は、譲渡の実行前に買収監査を実施し問題がある場合はM&Aを行わない。
また、仕入先や取引先へ影響もあるといえる。しかし、事前に取引先や仕入れ先についても詳しく調査した後、お互いに最大の利益がでると想定された際にM&Aを行えば問題ない。
 
Q.企業の多様性が失われる。
A.2つの企業が合わされば新製品ができるかもしれない

参考文献

https://www.nihon-ma.co.jp/service/aboutma/(最終観覧日20204年6月15日)
https://www.ma-cp.com/about-ma/(最終観覧日20204年6月15日)
書籍:会社を売る力
書籍:社長の決断から始まる企業の最高戦略M&A
書籍:伸びる企業の買収戦略


先生のコメント

民主党政権の頃は円高で海外の企業を買っていたが、今は逆。
起業する人が多いように大学で中小企業を買うような取り組みがあってもいい。
大企業が中心となって系列企業を再編することも必要。
イギリスはポンド高でないと利益が出ない経済。
お金を持っている国に買わせ、物を作るのは他国。
高度な経済が必要。


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