この宇宙のどこかに
「ねー、どこー?全然見えないんだけど??」
肩の高さで切りそろえたボブが、僕の前で丘の向こうの夕陽に向かってぴょんぴょん跳ねている。
よく見てご覧よと指を差す方向を、じっと目を凝らしたり、額に手をかざして眺めてみたり。
「気のせいなんじゃないの?」
結局見つけられなかったらしく、まるで子どものように口を尖らせて振り返ると
「まっ、いっか。また明日チャレンジしよ」
言うが早いか、1時間ほど前に一緒に登ってきた坂道を、スタスタと降り始めた。
ドがつくほどの田舎に住んでいる僕たちにとって、1時間に1本しかない電車に乗り損ねるのは、その日の夕食にありつけなくなるピンチを招きかねない。
「また、明日も来ようね」
夕陽に染め上げられた白い制服が眩しい。
「そうだね、明日もこの時間に」
背中に向かって、僕は呟く。
「また、明日」
僕が坂を登ってきた時に見た宇宙船。
それが僕が地球に降り立った時の船だと告げられる日は、いつか来るだろうか。
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