heartful ensemble

小島先生へ

先生の一周忌を迎えた今、ようやく少し落ち着いて先生との思い出を振り返ることが出来るようになりました。先生へ伝えたいことを少しだけ形として残しておきたいので、noteに記録します。

先生と一緒に音楽を作った吹奏楽部での3年間は、もう10年以上も前になります。今でも色褪せない当時の思い出や感情をなぞり、その頃の仲間達と語らうのが大好きな時間のひとつです。
26年目の人生の中で、間違いなくトップクラスで濃い時間だった中学の部活動での、絶対的存在な先生。友達が昔、先生のことを

遠くで見ると冷たくて怖い、けど近づいてみるとあたたかい

と表していましたが、的確だなと思います。


そんな先生には吹奏楽部の活動だけでなく、有志で出場しているNコンでの合唱でも沢山お世話になりました。わたしは中学から合唱に参加したので周りに比べると上手な方ではありませんでしたが、低音域のパートを任せてくださる事が多かったのを覚えています。
春休みのある日、吹部のみんなでお花見と称して校庭に集まり、先生が見ている中全校曲をアカペラで歌いました。重い曇り空に満開の桜が優しく色づいた中、掻き消されないように一生懸命歌い、楽しかったです。綺麗な景色でした。

元々声楽畑の先生が、わたしたちの学校に赴任されてすぐ『吹奏楽は嫌い』と当時の吹部の先輩方に伝えた話はその後の後輩達にもご本人の口から定期的に話されていましたね。
けれど、わたしたちの代が卒業すると同時に異動になり、最後の定期演奏会での挨拶で、『今では吹奏楽が大好き』と仰った時、迷惑をかけ続けた申し訳なさと嬉しさと、いろんな感情で胸が詰まりました。

先生の指揮で吹奏楽部として演奏ができたこと、合唱が出来たこと、
先生の元で3年間活動できたこと、
ずっと大切で大事な思い出です。
側から見たら『過去に執着し過ぎ』と見られるかもしれませんが、それでも大事な時間でした。

先生にいじられたり、部長として職員室でお話を聞いたり怒られたり、校内放送で呼び出しされたり、先生と話したかった当時のエピソードはあげるとキリがありません。
二十歳になってすぐの頃、幹事として地元で先生を囲む会を行いました。先生に彼氏がいるが歳の差が大きいことを打ち明けると飲み会の場では驚いていましたが、帰宅後にメールで相変わらず優しい内容の文を送ってくださり、本当に嬉しかったです。当時周りからはあまり良く言われない事が多かったので、殊更に沁みました。

先生は音楽を通じて、沢山のことを教え、伝えて下さいました。それは時に厳しくて、胸が痛くて逃げ出したい事もありましたが、あの頃の傷が今の自分を守ってくれている事を実感しています。

今でもたまに、先生にもう会えないのだと思い出をなぞって泣きながら眠る日もあります。泣き虫はあの頃からあまり治っていません。
先生の教え子として、誇ってもらえるようには難しいけど恥ずかしくはないようにしたいです。

先生、本当に沢山、ありがとうございます。
何もなかったあの頃のわたしを育ててくれて、
ありがとうございます。
これからも、時々遠くで叱って下さい。
大好きです。


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