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【臨床検査技師】って何者!?

このシリーズを始めたそもそものきっかけなのですが・・・

私がバリバリの超有名大学病院の臨床検査技師としてうん十年働いてきて、世間一般の方のみならず医師や看護師など医療従事者にまで

「あなたたち、誰?」「謎の人たち」「検査室はブラックボックス」「言われた通りの容器に血液をちょろっと入れて出せば結果返ってくるよね」「医者、看護師、薬剤師よりはるかに下等クラスタ的扱い」等々・・・

日陰の身、割りに合わない扱いをされ続けているからでございます。

キミたちは検査結果がなければ診断できんよね?

1日数千件の検査結果を精度良く、間違いなく、かつ迅速に返すためにどんだけ厳しい管理をしてると思ってるのです?

我々だって、有給も消化できず、平日も週末も昼も夜も関係なく働いてるのに、この給料の低さと扱いはなんなんですか?

とりあえず出せばいいとか、いい加減に超適当に検体出してきて、正確な検査できるわけないだろー。患者さんが絡んでなければ容赦なく突っ返すわ、バカタレが。

・・・という感じで、理解していただけないことからの怒りもフツフツと湧き上がって出てまいります(笑)

世の中の認知度をあげたり、医療現場での地位向上に向けて、広報・啓蒙活動やら、職域拡大、法改正での業務拡大等、本当に涙ぐましい努力をしている我々臨床検査技師。

くしくもこれを書いている現在(2020.03)は新型コロナウイルスが猛威を奮っており、PCR検査の議論も巻き起こって炎上しておりますが、医療機関でPCR検査をするのは、やはり臨床検査技師です。

この記事では【臨床検査技師って何してる人?】というご紹介をしていきたいと思います。

あなたもクソ真面目で地味に頑張る臨床検査技師という人たちを少しでも知っていただけたら、私も嬉しいです。

臨床検査技師って?

まず、臨床検査技師というのは医療系国家資格で、臨床検査技師等に関する法律(昭和33年4月23日法律第76号)にしっかりと定められております。

なんでこんなことを一番最初に話すかと言いますと、私が大学病院時代にとある医師から「臨床検査技師って通信教育でOKなんでしょ?」と言われまして。

あのさ、人の命を左右する検査結果を出したり、採血したり心電図取ったりするのに、通信教育はないんじゃないの?・・・と思いますが、それくらい医療従事者の中でも認識が薄かったりするわけです。

「臨床検査技師等に関する法律」にはこんな感じで書かれております。

第二条   この法律で「臨床検査技師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、臨床検査技師の名称を用いて、医師又は歯科医師の指示の下に、人体から排出され、又は採取された検体の検査として厚生労働省令で定めるもの(以下「検体検査」という。)及び厚生労働省令で定める生理学的検査を行うことを業とする者をいう。   ー臨床検査技師等に関わる法律より抜粋

これを平たく言うと

厚生労働大臣から免許をもらって「臨床検査技師」と名乗り、医師または歯科医師の指示で検体検査や生理学的検査を行うことをお仕事とする人

ということになります。

病院で患者さんと接していると「患者が検査してくれって言ってるんだからやれよ!」」などと怒りをあらわに言われたりするのですが(今まさにPCR検査の炎上の一部もそうですよね)、法律にもきちんと書いてある通り「臨床検査は医師の判断の元に行う」ものなので、我々も勝手にやることはできないのです。

「名称独占」と「業務独占」

さて、ここで聞き慣れない言葉が出てきたと思います

「名称独占」と「業務独占」です。

「名称独占」とは、その資格を持っている人だけが名乗れる資格のことです。

簡単にいうと「臨床検査技師」の資格を持っていないのに「私は臨床検査技師です」と名乗ってはいけないってことです。医療系の資格の多くは「名称独占」が関わってきます。

では「業務独占」とは何か?

「業務独占」とはその資格を持っている人以外が法律等で定められた業務を行ってはならないということ。

具体的に言えば、私は「臨床検査技師」で「医師」ではありませんから、医師法で定められた診断業務を行うことはできないですよってことです。

検査業務にあたっては、検査結果から疾患を推測できなければ正しい結果を出すことはできないので、実は私たち臨床検査技師も検査データから疾患を予測することは十分可能ですし、今の患者さんの状況もわかります。

しかし、患者さんお一人お一人の検査データを解釈し診断や治療方針などをアドバイスすることは「医師の業務独占」に違反しますので、私はあくまでも検査に関する一般的なことをお話しすることしかできないということになります。

医療系の専門資格というのは、それだけ専門性を重視し、厳しい法律で管理されているのです。

実は臨床検査技師の「業務独占」って・・・

「名称独占」「業務独占」の違いはお分かりになりましたでしょうか?

では、臨床検査技師の業務独占ってどうなっているのか?ということなのですが、その説明のためにも臨床検査技師と似たような衛生検査技師という資格のことも軽く触れたいと思います。

実は「臨床検査技師」という資格の他に、2005年に新規取得が廃止となった「衛生検査技師」という資格があります。

二つとも国家資格にはなるのですが違いが多くあります。長くなってしまいますので、ここでは業務に関する違いだけお伝えしていきます。

簡単に言うと

衛生検査技師は「検体検査のみ」行うことが可能

臨床検査技師は「検体検査」+患者に直接触れる業務である「採血や検体採取」「生理機能検査」等が可能

となります。

実は、検体検査に関してはあくまでも「材料」「試料」という「モノを扱う」という考え方になり、法律上は資格がなくても誰でも検査をすることが可能です。

つまり臨床検査技師の業務独占は「採血等の検体採取」と「生理機能検査」だけとなるのです。

しかしながら、検査精度の厳格な管理や、高度な専門的知識と技術が必要な場面等が数多くあるため、医療機関では臨床検査技師免許がない方の業務従事はないと思われます

私がいた大学病院でも、私が入職した遥か昔には検体受付や前処理の部署で夜学の検査技師学校の学生さんや、パートの主婦がお仕事しておりました。年月が経ち、学生アルバイトの雇用はなくなり、パートの主婦は外来クラークなどへと異動になっていき、臨床検査技師以外は臨床検査の実務に関わることがなくなりました。

衛生検査所や検査センター、研究施設などでは、商業ベースで検体系の臨床検査を提供していますが、検査を担当する人の中には無資格の方も多くいらっしゃるのが現状です。

臨床検査技師って宙ぶらりんな立場?(汗)

このように、臨床検査技師にも名称独占と業務独占はあるものの、検体検査は無資格者が行って良いということになっているため、臨床検査技師でなければ全てやってはダメ!という業務でもないという、「極めて宙ぶらりんな立場」になっております。

昔から続くこの宙ぶらりんさが、今の医療業界での地位の低さにもつながっているんじゃないかなって思っていたりするので・・・

臨床検査技師のスゴさをこれからもしっかりとお伝えして、ライトを当ててあげたいと切に思っているところです。私もライトを浴びます!笑

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