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【生理機能検査】って何ですか?

この記事では臨床検査の1つの大きな分類としての【生理機能検査】について解説していきます。

生理機能検査って聞いてイメージできる?

【生理機能検査】って聞いて、具体的にどんな検査かイメージできる一般の方はほぼいないのでは?と思います。

生理機能検査とは?というネット検索をしてみると、こんなことが書かれた各病院のホームページなどが出てきます。

生理機能検査とは、医師や臨床検査技師が直接患者さんの体に触れて行う検査です。

確かに、前の記事に書いた【検体検査】と明らかに違って、患者さんの体に触れて行う検査なのですが、私は「何のこっちゃ?」という感じを受けました。

あなたはどうでしょうか?

生理機能検査の目的は?

私たち人間だけではなく、動物たち、昆虫とか海の生物とか、とにかく様々な生物はたくさんの細胞が集まって”体”を作っています。

ある程度進化している多細胞生物は、細胞が集まって様々な「器官」という機能を持ったグループを作っていきます。私たちの例で言うと、例えば心臓、肺、腎臓、血管、骨、筋肉などなど、たくさんの「器官」があります。

そしてその「器官」は一つ一つを細かく見ていくと様々な役割を持ったパーツに分かれていたり、器官同士が複雑に関係し、協働して働いていくことによって、私たち一人一人の生命維持や、様々な活動(消化活動など)につながっていくのです。

その「器官」や「器官同士の働き」をみるのが生理機能検査です。

検体検査と生理機能検査の違いは?

ここで検体検査と生理機能検査の違いについて整理しておきましょう。

【検体検査】はいわゆる一つのモノ、つまり、この検体の中にこの成分があるかどうか、あるならどのくらいあるのか?等をみる検査で、出てきた検査データから全身や、特定の臓器等の状態を見ていく検査。

【生理機能検査】は様々な種類のモノが集まって一つの役割を果たしている「器官」の動きや働き等を見る検査で、「器官」がしっかり機能しているかどうかをみる検査。

説明すると難しくなってしまうのですが、少しイメージがつきましたでしょうか?

例えば心臓の動きをみるのに、心臓の一部を検体検査に出したところで、動くわけでも通常の状態でもないですから、意味がないですよね(笑)

心臓が動いている状態で何かしらの「指標」となるものを観察しないことには、心臓の動きや機能を評価することはできないのです。

生理機能検査は、患者さんが持つそれぞれの「器官」の働き・動き等を観察するという目的で行うので「患者さんの体に直接触れて検査をする」ということになるのです。

検体検査と生理機能検査をどう使う?

では、この【検体検査】と【生理機能検査】をどのように使って診断へ役立てていくかの簡単な一例をご紹介しておきましょう。

私は医師ではありませんので、あくまでも「こんな感じ」で検査を選んで診断していくというイメージであるとご理解ください。

患者さんが「動悸・息切れ」を訴えて診察にやってきました。

医師は問診や聴診、打診等を行い、ある程度疾患を絞り込んで臨床検査を依頼します。

「動悸・息切れ」と聴診で心雑音らしきものを認めた→考えられる調子の悪そうなモノの 1つに「心機能」ということが思い浮かぶ→「心機能」に関連した項目を依頼してみよう・・・

検体検査→血液検査として、一般的な全身チェック項目(例えば貧血なども動悸・息切れの原因になります)、心臓の動きが悪くなると増えてくる成分、血管のつまりや血流の滞りがないかをみるような成分等々で状態を把握し、どこが原因かを探る

生理機能検査→安静時心電図、必要に応じてトレッドミルやマスター心電図(階段昇降)などの負荷心電図や心エコー等で心臓の状態を見る

このように医師は「ここが不調なんじゃないかな?」と患者さんの訴えや症状から予測した部位や疾患に合った様々な臨床検査を依頼し、私たち臨床検査技師や他のコメディカルが検査を実施して出した結果を元に、医師が総合的に判断していくという流れになります。

そして、その臨床検査を行うプロフェッショナルが私たち【臨床検査技師】なのです。

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