僕らが stand.fm を創った理由

一年ぶりのnoteになりました。
毎週、書くつもりで始めたのに。

newnは D2Cのスタートアップと紹介されがちなんですが、stand.fm という誰でも簡単に音声配信ができるサービスを立ち上げていました。
4/1より株式会社stand.fmとして切り出し、より注力していきます。

今まで全くstand.fmについて、公に語っていないので、何で音声サービスを作ったのか、サービスを通じて何を目指しているか、など少し書いてみたいと思います。いつもの如く長くなったので、頑張ってお付き合い下さい。

コンシューマーサービスが好き


僕はC向けのサービスがしかできません。
過去noteでも書いたが、僕の人生の転機は、太河さんからのTwitterのDM。
本当にどうしてようもないスキルなしの大学生が、インターネットにどっぷり浸かっていただけで、何者かになれるんじゃないかって錯覚をし、深夜にポエムを巻き散らかしていたら、予期せぬ出会いに救われた。

僕はインターネットの、誰にでも開かれていて、自由な場所で、無限の可能性に溢れているように思えるのが好きで、こう思えているのはネットによって活かされた原体験のおかげなのだと思う。

新しい才能と文化が生まれるプロダクトを創りたい


Instagramは、スマホという新しいデバイスが普及し、人々がカメラを手にした世界で、オシャレなフィルター機能で、あらゆる人を表現者に変えて、コンテンツで世界を繋いだ。

YouTubeはクリエイターに動画が共有できる場を作って、表現を自由にしただけでなく、視聴時間/数に応じて直接的に収入を得られる基盤を作った。面白いモノを作り続けるためにも、人は食っていかないいけないので、好きなことで生きていける場所を作ったのが本当に素敵だと思う。

きっと作った人が考えてもいなかったような面白いコンテンツや文化と熱狂が生まれている。

ぼんやりと、そうしたクリエイターの人が濃くファンの人と繋がるためのコンテンツを作ったりとか、ちゃんと稼げる場所を作れるといいんじゃないかと思った。

多くの人は、テレビや雑誌よりネットを見るし、もはや住んでいる。インターネットから生まれた新しい才能が、新しいコンテンツを作り、新しい文化を生み出し、水面下から熱狂的なファンを引っさげて、大きな影響力を持つようになっている。

表現の場の中心が、テレビからインターネットに移り、芸能界のスーパースターもいよいよ本格的にYouTubeに参入したり、ネットとマスの境界線もなくなってきて、インターネットの空気が、よくも悪くも、急速にマス化してきたと感じている。

コンテンツに平等にアクセスできることが良さであるが、みんながフォロワーを増やすことや、PV最大化のためにアテンションを集めるのに必死。
その反動で、届かなくていい人が勝手に見に来ってブチギレたりする。とても炎上しやすく、ポリスと風紀委員がうようよしていて、息苦しさもある。

そうした空気の中で、優しい場所を作りたいと思った。今の世の中ってどこか孤独を感じて、どこか繋がりを求めている。なぜか距離が近く感じられて、本音で繋がれる、その人の人となりが伝わってくるような場を。100人に刺さらなくても、濃い繋がりの1人が生まれるような場を。

近いモノを思い浮かべると、それはラジオだった。ラジオは濃い、熱狂的なファンが多くて、どこかつながりを感じる、独特な場のように感じていた。パーソナリティの方にとって、自由に本音を話せるホームのような場所であることが、そうした空気を作っている気がした。

僕も何度かラジオにゲスト呼んでもらったことがあるんだけど、パーソナリティの人が自分の番組として、やりたいことを自由に企画して実現しているように見えて、カッコよかった。

しかし、いざ自分でそういう番組をやってみたいと思っても、ラジオは当然誰でも配信できるわけでもなく、ネットにおいても誰でも気軽に配信できる場はありそうでなかった。

Instagramがそうしたように、スマホの収録機能を拡張し、ソーシャルなプラットフォームにすることで、ラジオとはまた違った新しいスマホネイティブな音声コミュニケーションが生まれ、YouTubeからヒカキンさんが生まれたように、声のヒーローが生まれるんじゃないかと思った。

写真映えする暮らしをしていなくても、140文字の言葉のセンスがなくても、動画の編集スキルがなくても、喋りや歌、声で人を魅了する人は、潜在的に多い気がしたが、まだ未開の地だった。

CGMのコンテンツプラットフォームやSNSは、海外に出ていく際の構造的なハードルは低く、一気に世界に広がる可能性もあったし、一時的な流行りではなく、インフラになり使われ続けるサービスを作りたかった。世界に目を向けても、まだ音声領域における圧倒的なプロダクトはないように思えた。

世界で勝てないwebサービスは最終的には飲み込まれる可能性が高いので、次にチャレンジにするなら、世界を目指せる領域をやりたいと思っていた。僕自身は移動が死ぬほど嫌いで、飛行機も苦手なのだけれど。

音声市場はスマートスピーカーの普及、AppleのAirPodsという消費者の行動を変えうるデバイスの大ヒット、Siriなどの音声アシスタントも広がりを見せ、a16zのMarc Andreesenも注目している市場。音楽サービスのSpotifyもAnchorという音声収録アプリの買収から、Podcastの制作会社を数社買収し、音楽だけでなく広い意味での音声領域に注力しだしており、USではPodcast市場が拡大してきている。利用シーンで考えても動画は混み合っていて、ながら聞きはホワイトスペースだった。

少し前からベイエリアでClubhouseという複数人の会話型の音声SNSが注目されていたけど、正式ローンチ前に関わらず、a16zから100Mの時価総額で調達をした。類似サービスもそんなにない、新しい感じのプラットフォームも出てきている。

新しい文化を生み出す世界的プラットフォームを創る、に挑戦をしよう

そんな想いで走り出し、サービスをステルスローンチしたものの、正直、めちゃくちゃ苦労しました。包み隠さずすべてお話します。初期、見事にプラットフォームの鶏卵問題にドハマリし、自分たちで番組を作ったり、色々と試行錯誤するものの事業としては、想うように結果が出ない時期が長く続き、初期に決めていた撤退ラインを大幅に超えて、第二第三の矢ならぬ、第二第三の撤退ラインを超えていきました。増え続ける赤字、伸びないKPI、まさに撤退前夜。

そこからプラットフォームとしての本質的な提供価値を、真剣に真剣に考えて、見つめ直しラストチャンスのつもりで戦略を振り切りました。

InstagramがSNSとしてというより、初期フィルターアプリ、ツールとして使われていたように、stand.fmもコンテンツの収録・編集機能を拡充していく方針で、アーカイブだけでなく生放送や、BGMの追加、お題を集めるレター機能、遠隔の人とコラボで収録を出来たり、そういった"創る"ための武器を配ることにまずフォーカスすることにした。

2月、BULK HOMMEののぐたく氏のあるtweetへのリプライから始まり、dely堀江氏が配信をしてくれて、アルけんすうさん、LayerXのふっき氏などが使ってくれて、界隈でプチバズした。お願いしていない中でも、本当に多くの方々が応援の意を込めて使ってくれた。本当に頭が上がらない。感謝しかないですね。※お礼を言いたい全員の名前を挙げられなず、漏れまくってて後でキレられそうなので、後日、文末に足すことにした!

そこから有り難いことにバイラルでオーガニックに成長している。
モデル、写真家、釣り人、芸人、料理人、アイドル、タレント、俳優、アナウンサー、youtuber、旅人、個人チャンネルだけでなく、法人のメディアブランドや、スポーツチームのチャンネル、オンラインのイベント、ボイスドラマ、本当に幅広いジャンルの方々に使って頂いてる。

よくスタートアップコミュでバズってしまうと、一旦の波が過ぎた時に「アレもう誰も使ってないぜww 廃れたなww 村社会でウケても意味ないぜww」 という嘲笑をウケて、心を痛めるのが目に見えすぎていてるので、本当に辛いかったんだけど、今の数字や使って頂いている方々の幅を見る限りは、界隈wwと、馬鹿にされる部分は少し乗り越えてきたかもしれない。

企画段階では、コンテンツプラットフォーム思考が強かったが、ユーザーの方々に使っていただく中で、コンテンツから生まれるコミュニケーション、コミュニティとしての価値を再認識した。

standfm の設計で少し意識していることがある。

・優しいインターネット
・近いインターネット
・深いインターネット

僕やチームの中でも固まりきってなく、細かく言語化しているわけでもないなく、メモ書きレベルのものなので、本来は公開するのもはばかれるが、自分の意識していることの輪郭はこんな感じだ。

あるコミュニティや濃い繋がりの共有された文脈の中で伝わる面白さのコンテンツや、そうしたコミュニケーションが混じり合ってコンテンツになる。

最近、リリースした限定公開URL機能もこうした背景から出てきている。サロン内の人だけ聴ける限定ラジオや社内報、メルマガ用コンテンツ、など、幅広いユースケースで使っていただてます。

まだまだ新しい体験を生み出すコンテンツの"創る”を機能を拡張し、ちゃんと"稼ぐ"を実現する武器も準備しています。

この領域はとにかく最高のプロダクトを作れるかが、ほぼすべてを決めると思っています。圧倒的なプロダクトがないと、いくら宣伝活動をしても上っ面を固めたハリボテになってしまう。

毎度のことですが、無駄に長くなってしまった。

MERY時代から、一緒にずっと会社をやっている河合さん率いるstand.fmはまだ6名程度のスモールチームで運営しています。プロダクトとしてのやりたいことは膨大にある中、圧倒的にリソースが足りておらず、やりたいことの1%も出来ていません。これから本当に面白くなるフェーズ。


小さなチームでも、最高のプロダクトで世界を面白くできるのがインターネットの醍醐味です。

まだ立ち上がり途中のサービスで、一緒に取り組みくださっている多くの方々に支えられ、ようやく第一歩が踏み出せそうです。

CGMというサービスの特性上、今までのどんなサービスよりも一番ダイレクトに、ユーザーの方々、応援してくださっている方々、知人友人のみんなに支えられていることをダイレクトに感じています。感謝しかありません。

絶賛、エンジニア、デザイナ募集中です。
https://corp.stand.fm/recruit



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