広尾TC2021年「追加」募集馬を血統分解から見てみるページ

いつもよりはライト版なかんじで!

①GemGem 20   牝馬

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AmericanPharoah×GemGem 母父Tapit
厩舎:矢作芳人(栗東) 遺伝子:不明


GemGem20はAmericanPharoahとCarelessJewelの子供で母父はTapitとなります。リフレイムとは従妹で同血構成ですね。(リフレイムの母の全妹が当馬の母)

AmericanPharoahはアメリカクラシック三冠馬となり、ブリーダーズカップ・クラシックも制覇したことで史上初めてグランドスラムを達成した最強の馬。
UnbridledからのエンパイアメーカーにStormCatといった、スピードを活かした血統構成をしており、芝も走れちゃったりしてて日本向きなのは間違いないという印象。
エンパイアメーカー単体が持っているIn Reality4×3とBuckpasser5×4といったベースとなるパワーに対して、Star of GoshenからのRibotやFairTrialやTeddyなどのエンパイアとは異なる系統の底力成分、きれいなボルキロにBullDogのパワーといった、ごっついPioneerof the Nile。

これにつけられたのがRaise a Native+StormCatといったスピード感のあるLittleprincesse.。このLittleprincesse.は構成要素としてはアメリカダート短距離最速のSpeightstownとほぼ同じです。
ミスプロ系+StormCat+Chieftain。ChieftainはStormCat内のTerlinguaとニアリークロス。SecretariatのボルキロにTomFoolと、構成要素的にもそっくり。
ごっついPioneer of the Nileとスピード系Littleprincesse.が合わさったAmericanPharoahはバランス感抜群ですね。

そんなAmericanPharoahに対してかけあわされたのがGemGem。父Tapit、母Sweet and Careless。
Sweet and Carelessはリフレイムの母CarelessJewel(G1アラバマS)の全妹ですね。その父Tapitはミスプロ・Nijinsky・InRealityのクロスを持っており、母父に入って日本の主流血統と合わさることでグランアレグリアのような爆発的な怪物を出していますよね。
牝系のMoon GlitterはRelaunchの全姉であるうえにUnbridledを持っておりコントレイルなどの超黄金配合を構成する要素をしっかり持っていることから、やはりディープ肌をふくめた日本馬と合うのはその通りかもですね。
母Sweet and CarelessはStormCat肌のヘネシーの子。牝系からはStormCat成分をさらに強固にするようなアプローチにみえます。

これはスピードビュンビュン、日本適正抜群。AmericanPharoahとGemGemが配合されることで、それぞれの構成の核となっているUnbridledとStormCatがそれぞれ4*4でクロス。
さらにエンパイアメーカーとA.P.Indyという強力なニックス配合。In RealityやBuckpasserなどもクロス。TriJetが5*6でいたりNijinskyなども含めてTomFool要素もふんだんにみえます。
AmericanPharoahは強いクロスをもっていませんがGemGemはミスプロ4*5、NorthernDancer5*5、Secretariat5*5といった日本向きの血統のクロスをしており、この緩急のバランスも良いと思います。血統構成としては間違いなく最強レベル。日本ではそうそうお目にかかれません。

あとは気性がどうかですね。
リフレイムはあの気性ですがどうやらそれは母ゆずりのようでw
全妹のGemGemがどうだったかはわかりませんが、気になるのはそのへんでしょうか。現状の歩きとかではその辺は感じませんかね?

とはいえそんな不満点を大いに凌駕する血統構成かと思います。かならずしもダートオンリーとは言い切れず芝でもめがあるかもしれませんね。

あとは将来母になったときの期待感。サンデーもちの日本の主流血統をあわせたときの爆発力がやばそうです。想像するだけでニコニコしてしまいますね。広尾が繁殖として持つかはわかりませんが、それ込みな気はするんですが、どうでしょう。というか持ってほしい。


②ルックオブラヴ20 牝馬

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ミッキーアイル×ルックオブラヴ 母父キングズベスト
厩舎:新規開業(美浦) 遺伝子:CT

当馬は快速馬ミッキーアイルに対して欧州の底力溢れる血統のルックオブラヴの配合。
まず目につくのはNureyev≒Sadler's Wellsが4*5*3というところ。
ミッキーアイルはディープインパクトに対してBe My Guest、Nureyev、デインヒルといったHyperionやSon-in-LawにFairTrialなど先行パワー底力スタミナな血統のスターアイルと配合。
快速というよりは逃げてふんばってといった血統。

ここにルックオブラヴが配合されさらにNureyev≒Sadler's Wellsが1つずつ追加され、Nureyev≒Sadler's Wells4*5*3となりました。
Sharpen Upなどの欧州底力系も相り、Kingmanboでさらにそれらを増幅するような感覚。
ディープ(軽い)→ミッキーアイル(軽い+重い)→ルックオブラヴ20(軽い+重い+重い)といったバランスでしょうか。

といってもすごく重たい感じになるというわけでもなく、
ディープインパクトに対してその良さを補うためのShirlyHeightsのようなMillReef系を牝系から補えるのは良いと思います。
血統をのぞいてもミッキーアイルのスピードを補えるのはこの血統にとってとても良いことかと思います。
ルックの父がキングズベストであることで異系ながら良血の名牝Allegrettaも良いスパイスになりそう。
先行してそのまま押し切るような競馬を期待したいところです。血統的には道悪も得意そう。


③ステラエージェント21 牡馬

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Gun Runner×ステラエージェント 母父More Than Ready
厩舎:矢作芳人(栗東) 遺伝子:TT

Gun Runnerはペガサスワールドカップ(GI)、BCクラシック(GI)などGIを6勝。近年種付け価格がグングンあがっている人気種牡馬ですね。
ミスプロ系のFappiano4*4、BlushingGroom4*5、Lyphard4*5、Herbager4*7。
驚くことに構成要素がジアナズドリームそっくりなんですよね。ニアイコール。父系がCandy Rideで共通しているだけでなくRahyが共通しミスプロも。三嶋牧場さんは意図してこのあたりの血統を集めてる感じかな。
ミスプロにBlushingGroomにStormCatは最近のアメリカダート黄金配合の1つか。
そんなお手本のような父母相似配合なGunRunner。
父Candy Stripesはバブルガムフェローの半兄で母方含めたLyphardクロスとHyperion・Son-in-Lawで先行粘りに、Giant's CausewayからのStormCatにRahy・Robertoからのパワー底力成分をアプローチした感じ。

GunRunner産駒で重賞をとったり活躍している馬に共通しているのはStormCatクロス、または成分の強調(Haloやナスキロ等)をしたうえで底力成分のアプローチ。GunRunnerの良さをさらに強めた感じでしょうか。
BCジュヴェナイルフィリーズをぶっちぎった産駒のEcho ZuluはStorm CatのクロスにSirIvorで強調、底力で支える血統。
年は違いますが同レース2着のPappacapもStormCatクロス。米ホープフルSをとったGuniteもStormCatクロス。

ステラエージェントはBCジュヴェナイルフィリーズ3着で父More Than Readyに母父Medaglia d'Oro。
More Than ReadyはHaloにスピードを詰め込んだ軽めの配合ですが母父のMedaglia d'OroはSadler's Wells直系なので、ミスプロのクロスをとりつつ、パワーとのバランスを見込んだ配合。プレイメイト=Numbered AccountでBuckpasserとナスペリオン+Man o'Warをまるごとクロスなのも素晴らしい。牝系のStarlet StormはほぼStormCatです(3/4同血)

このことからGun Runner×ステラエージェントというのは活躍している馬に共通しているStormCatクロスを実現できるうえ、HaloやSirIvorといったStormCat成分の強調、ミスプロをさらにクロス、BlushingGroomをもう1本、それを支えるSadler's Wells。
理想的な配合に思います。上記Echo Zuluとほぼ同じになりますね。Damascus持ちも共通。Haloがあるぶんステラエージェントのが日本向きか。
余談ですが12日にニュースで出てた、吉田勝己氏が5億3000万で勝ったスイススカイダイバーがMore than ReadyにStormCat肌。トレンドなんでしょうねぇ。

そういった点からみても非常に血統的魅力のありすぎる馬かと思います。
値段はお高いですが、血統的には見合う価値があるように思います。
血統からはダートでしょうか。アメリカでてっぺんをとれる配合。


④デプロマトウショウ21 牝馬

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キズナ×デプロマトウショウ 母父ファスリエフ
厩舎:栗田徹(美浦) 遺伝子:CT

キズナ産駒の血統をみるときは「4つの血統の種類を全てカバーできているか」を重要視しています。
バスラットレオンは4つともしっかり網羅してましたね。(クエストフォーラヴもそうでした)

結論から言いますと4パターン全てしっかりカバーできています。(細かく書くとびっしりになるので省略させてください)
エイティトウショウ内でRelicがクロスしているのは大きいですね。とても。
さらにLalunやTatanといった底力血統が支えているのも良いです。

これまでデプロマトウショウにはディープ→オルフェ→ハーツ→ドゥラメンテと期待されまくりな配合をされています。
ハーツとドゥラの馬主さんも有名どころですねぇ。
とはいえ、配合的にいちばん合っているのはキズナだと思います。

母父がファスリエフとのことで、ダートに適性が出る可能性もまぁまぁありそうです。半兄ヴィジャーヤもですが早熟ではないかも。

まだ当歳ですが今後の成長を楽しみにしたいところです。


⑤サンライズシェル21 牡馬

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ヘニーヒューズ×サンライズシェル 母父キンシャサノキセキ
厩舎:清水久詞(栗東) 遺伝子:CC

母サンライズシェルはレイパパレの半姉ですね。

広尾公式の血統解説がこの馬についてはものすっごい細かく書いてあるので、細かい情報についてはそっちを見てください。

ヘニーヒューズは最近やたら勝ちまくるのでどんどん種付け価格があがってますね。
ヘニーヒューズの構成要素であるWar RelicなどのMan o'Warまわりやナスキロなどの血統をそのままガッツリ強調できるのがフジキセキとフレンチデピュティ。MeadowlakeだけでなくStormCatにも脈絡するんですよね。血統配合的には理想的です。

そしてなんとびっくり、この馬には血統表の通りどっちもいるんです。どっちもいる馬っていないような?

ヘニーヒューズに対しフジキセキの子キンシャサノキセキが母父。
そのキンシャサノキセキにかけあわされたのがレイパパレの母で金子HDのシェルズレイ。シェルズレイはクロフネ×ウイニングチケットの子オイスターチケット。

フジキセキ・クロフネとの配合の細かい血統のクロスなどは公式を見てもらうとして、それ以外の良いところとして、キンシャサのケルトシャーンからHisMajestyやLyphardといったパワー要素。
トニービン×マルゼンスキーのダービー馬ウイニングチケット。
トウショウボーイやヤマニサクラなどの日本の歴史ある血統をくんだナムラピアリス。

血統の竹内さんもやたら細かくこの馬の血統を語っておられるくらいにはアツい配合。これがハマったら本当に気持ちいいんだろうなぁとニヤニヤしてしまいます。

ダートのマイルあたりで大きなところを期待したい一頭。


⑥サンドクイーン21 牝馬

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ブリックスアンドモルタル×サンドクイーン 母父ゴールドアリュール
厩舎:松永幹夫(栗東) 遺伝子:CT

サンドクイーン20はカナロアがつけられてシルクで5000万募集。

ブリックスアンドモルタルはStormCat肌のGiant's CausewayにStormBirdの牝馬をつけていますね。G15勝、G21勝。
(StormCat直系は日本ではイマイチなイメージでしたがドレフォンが出て評価が変わった気がします)

Giant's CausewayにBeyond the Wavesという牝馬がかけあわされたブリックスアンドモルタル。StormCatがニアリークロスしているといえます。牝系がAureole直系なのもいいですね。そんな系統ですが芝馬をたくさん排出したのがGiant's Causeway。ブリックスアンドモルタルも芝馬。StormCatを持っていないサンデー系の受け皿として日本に入ってきた形ですね。

サンドクイーンはゴールドアリュールにフィエラメンテという血統。近親に有名馬いっぱいですね(広尾公式参照)。
フェアリードールはトゥザヴィクトリーの母で数々の重賞ウィナーにつながる良血。

ゴールドアリュールはオメガパヒュームやコパノリッキーをみても、ゴールドアリュール内のNureyevにたいしてMr.ProspectorやRobertoを配することでダート向きのパワーが増幅されるとされています。
また、Nureyevとの直接のクロスやNureyev≒Sadler's Wellsでのニアリークロスを配することでもダート向きの強い馬が出てきていました(クリソライトやエピカリス、シルクフォーチュンなど)
このサンドクイーンという母馬はまさにNureyevの直接クロス+ブライアンズタイムからのRobertoが加わり、ゴールドアリュールの走る馬という配合でした。
またGraustarkもクロス、牝系フェアリードールからはSharpenUpとSwapsなどのパワー底力血統が支えるというすごい配合ですね。

そういったことからも少々パワーに寄りすぎてスピード不足感があったのがサンドクイーンなのかなと思います。

それを阻害することなく、スピードをつけくわえることを狙いとされたのが今回のブリックスアンドモルタルとの配合。20もロードカナロア同様そういった狙いでしょうか。
芝とダート、どちらに出るかはわかりませんが楽しみな一頭ですね。


以上6頭の血統の紹介でした。うーん、魅力のかたまり。

また募集されたら頑張ります(´ω`)