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絶対に当たらないツール・ド・フランス2020大予想

いよいよツール・ド・フランスが開幕する。

ロードレースファンならずとも名前は聞いたことがあるであろう、世界三大スポーツイベントの1つである。今年は世界的なコロナ禍により約1ヶ月遅れの開幕、8/29(土)からスタートし約3週間をかけてフランス国内を走る。
驚くなかれ、その総走行距離は3,484km総獲得標高は58,000mに達する。世界で一番過酷なエンデュランススポーツ、その最高峰と言われるグランツール(21日間で争われるステージレース)、その中でも最も格の高い大会だ。

例年であればツール直前にコースや注目選手を解説する観戦講座イベントをRapha Osakaさんやスペシャライズドさんでさせていただいているのだが、今年は残念ながらなし。そもそも人が集まるイベントの開催が難しい状況が続いている。
しかし、せっかくのツールなのに何もしないのもさみしい。ということで、いつもイベントを開催しているメンバーで今年のツールの四賞(特別賞)を予想してみたい。

実は毎度イベントの度に予想を出しているのだが、これがまあ当たらないむしろ当たらないことに定評があり、それを楽しみにしてくれている人もいるくらいである。
全員当てる気がないことはないのだが、いかに人と被らないかとか、個性を表現できるかとか、お気に入りの選手の勝ち筋がないかとか、だんだん目的がズレていくのが当たらない要因であろう。ここまで当たらない予想もそうないと思うので、ご笑覧いただければ幸いである。

(1)ツール四賞とは

予想するツール四賞について、簡単に紹介しておこう。
ツールにはそれぞれ獲得条件が設定された特別賞とスペシャルジャージが4種類存在する。最終日が終わった時点でジャージの着用権を持っている選手が、その年の特別賞だ。この4つの特別賞について予想していきたい。

①総合賞 マイヨ・ジョーヌ(黄色いジャージの意)
  各ステージの所要時間の合計が最も少ない個人総合成績首位の選手、
 すなわち優勝者が獲得できる。
②ポイント賞 マイヨ・ヴェール(緑色のジャージの意)
 中間地点およびゴールの通過・着順により付与されるスプリントポイント
 ランキング首位の選手に贈られる。最強スプリンターの証。
③山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ(白地に赤水玉ジャージの意)
 等級が設定された山岳山頂の通過・着順により付与される山岳ポイント
 ランキングによって決定。その年の山岳王が着用する。
④ヤングライダー賞 マイヨ・ブラン(白いジャージの意)
 条件はマイヨ・ジョーヌと同じだが、開催年において25歳以下の選手だけ
 で争う。
ツール・ド・フランスを彩る四賞ジャージ。この色を見るとロードレースファンは嬉しくなる。

(2)コロンビア贔屓、イギータグチの大予想

トップバッターは我々が活動時に自称するグループ「ハイケイデンス」のリーダー、イギータグチである。
持っているバイクの数と、コース上に設定された山岳を全て「六甲山〇個分」と関西が誇る超級山岳で換算する独特のセンスは他の追随を許さない。ついでに予想の独自性も圧倒的で、予想だけでデヘントさんばりの逃げ切り勝利を飾れるのではないかと思われる程である。

①総合賞 マイヨ・ジョーヌ
  ダニエル・マルティネス(コロンビア/EFプロサイクリング)
②ポイント賞 マイヨ・ヴェール
 サム・ベネット(アイルランド/ドゥクーニンク・クイックステップ)
③山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
 ケニー・エリッソンド(フランス/トレック・セガフレード)
④ヤングライダー賞 マイヨ・ブラン
 ダニエル・マルティネス(コロンビア/EFプロサイクリング)

コロンビア偏愛のため、イギータグチの優勝者予想は大体コロンビア人選手である。もうニックネームがセルジオ・イギータ(コロンビア/EFプロサイクリング)のオマージュだし。
今回もどうせ当たらないんでしょと思っていたら、総合優勝に前哨戦クリテリウム・ドゥ・ドーフィネの優勝者マルティネスを挙げるという例年にない堅めの予想となった。それでも前年覇者ベルナルを選ばないあたりにこだわりを感じる。

どんな選手かあまりイメージがなかったマルティネス。ドーフィネ勝利を祝うチーム公式ツイートがお茶目でした。滑らかなダンス…

ポイント賞は筆頭候補のサガンとファンアールトを外して、あえてのベネット。
そして山岳賞はツール初出場となるエリちゃんことエリッソンド。小柄な選手を応援しがちなイギータグチらしい予想である。ブエルタ2016で惜しくも山岳賞を逃しているので、ツール山岳賞をゲットしたら非常にアツいところ。

ちなみに最初は「ポイント賞はキンタナですね」と言っていた。
ハイケイデンスはキンタナファンクラブが大好きです。

個性的すぎるコラ画像が味わい深いキンタナファンクラブ。

あとチームとしてはUAEチームエミレーツに注目しているそうです。

(3)好きな選手を無視できない、アヤフィリップの予想

イギータグチよりは控えめというか置きに行く予想をしているつもり。なのだが、ついつい頑張っている選手や好きな選手を入れてしまう癖がある。
昨年のジロ2019総合優勝はログリッチだろうと思っていたが、「いいんですか?サイモンじゃなくて本当にいいんですか?」と10回くらい訊かれて直前に変えたことも。ちなみにそのジロ2019は全員がポイント賞のアッカーマン以外の予想を外すと言う快挙を成し遂げた(なおイギータグチは全外し)。

そんなわたくしの堅め予想はこちら。

①総合賞 マイヨ・ジョーヌ
  エガン・ベルナル(コロンビア/イネオス・グレアディアーズ)
②ポイント賞 マイヨ・ヴェール
 ペテル・サガン(スロバキア/ボーラ・ハンスグローエ)
③山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
 ティボー・ピノ(フランス/グルパマ・エフデジ)
④ヤングライダー賞 マイヨ・ブラン
  エガン・ベルナル(コロンビア/イネオス・グレアディアーズ)

なんやかんやで王者イネオスが強いのでは、という面白みのない予想である。
ベルナルが勝つとヤングライダー賞も自動的にベルナル。ポイント賞はファンアールトとサガンの一騎打ちになりそうだが、より自由に走れるサガンが有利ではという予想。
昨年涙のリタイアをしたピノは総合頑張ってほしいが、昨年のバルデのように遅れてしまい、狙いを山岳賞に切り替えるのではと思っている。

動物を愛する心優しきピノ。ヤギとの距離の近さにアルプスの少女ハイジみがある。応援したい。

そして、あえて趣味を前面に押し出した予想はこちら。

①総合賞 マイヨ・ジョーヌ
  プリモシュ・ログリッチ(スロベニア/チーム ユンボ・ヴィズマ)
②ポイント賞 マイヨ・ヴェール
 サム・ベネット(アイルランド/ドゥクーニンク・クイックステップ)
③山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
 アダム・イェーツ(イギリス/ミッチェルトン・スコット)
④ヤングライダー賞 マイヨ・ブラン
  タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチーム・エミレーツ)

昨年のブエルタ覇者にして今季絶好調のログリッチがついにツール制覇。ドーフィネの落車ダメージが癒えていないという噂もあるが、ブラフではないかと思っている
ポイント賞は何かが起こってベネット。ベネットは結構天然で「急に脚が動くようになった」と言ってジロの最終ステージを勝ったり、混戦で謎の強さを発揮したりするので、そのあたりのミラクルを期待。
みんな大好きポガちゃんは結構いいところ行くのではと思っている。

山岳賞に趣味が出てますね、アダムさん。ドーフィネ前に重い持続性胃腸炎を患い、病み上がりで毎日遅れながら頑張っていました。泣ける。

リアルの前に開催されたバーチャルツールでは魂の抜けた顔で走っていた。この時もう体調を崩していたと思われる。泣ける。

彼は来季からイネオス・グレナディアーズへ移籍することが決まっており、今回がプロデビュー以来7年間在籍したミッチェルトンで走る最後のツールとなる。この移籍に関しては30,000文字くらい書きたいことがあるが、主旨が変わってしまうので今回はやめておく。
2016年は総合4位とヤングライダー賞に輝いたが、それ以降は正直パッとしない。お世話になったチームへの最後の置き土産に、まずは初めてのグランツール区間1勝を。そして調子が良ければ山岳賞を狙ってほしい。山がちなコースなので結構向いていると思う。でも体調がいまいちなら、無理せずステージ優勝だけで大丈夫です。

こんなnoteを書くくらい大好きな選手なんだもの…惜しいところで勝利を逃す不安定さがあるので、地に足着けて頑張ってほしい。

そうそう、今年のアラフィリップはステージ2勝くらいでお願いします!

(4)ハイケイデンスの良心、某K氏の予想

当てる気があるんだかないんだかわからない2人と違い、イベントの司会や写真撮影でハイケイデンスを支えてくれるK氏の予想はすごく「ありそう」な感じ。あえてベルナルやサガンといった筆頭候補を外しているところが渋い。

①総合賞 マイヨ・ジョーヌ
  プリモシュ・ログリッチ(スロベニア/チーム ユンボ・ヴィズマ)
②ポイント賞 マイヨ・ヴェール
 ワウト・ファンアールト(ベルギー/チーム ユンボ・ヴィズマ)
③山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
 ピエール・ラトゥール(フランス/AG2Rラモンディアール)
④ヤングライダー賞 マイヨ・ブラン
  タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチーム・エミレーツ)

別バージョンはこちら。

①総合賞 マイヨ・ジョーヌ
  リチャル・カラパス(エクアドル/イネオス・グレナディアーズ)
②ポイント賞 マイヨ・ヴェール
 カレブ・ユアン(オーストラリア/ロット・スーダル)
③山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
 ロマン・バルデ(フランス/AG2Rラモンディアール)
④ヤングライダー賞 マイヨ・ブラン
  パヴェル・シヴァコフ(ロシア/イネオス・グレナディアーズ)

昨年のジロ覇者カラパスが、初挑戦でツール制覇。ポローニュを落車離脱するまでは非常に強かったし、なくはなさそう。
直近のレースを見るにシヴァコフはイネオスでベルナルの次くらいに登れているので、ベルナルが総合優勝でなければヤングライダー賞はいけそうな気がする。

しばちゃんことシヴァコフ。そういうのにうるさそうなチームで存在感あるネックレスを付けているところに大物感を感じる。

K氏の凄いところは予想のバリエーションの多さである。個人的にはこの「誰とも絶対に被らない」というコンセプトで作った大穴予想を推したい。

①総合賞 マイヨ・ジョーヌ
  グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー/CCCチーム)
②ポイント賞 マイヨ・ヴェール
 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア/コフィディス)
③山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
 リッチー・ポート(オーストラリア/トレック・セガフレード)
④ヤングライダー賞 マイヨ・ブラン
  レナード・ケムナ(ドイツ/ボーラ・ハンスグローエ)

色々言いたいことはあるが、マイヨ・ジョーヌがGVAという予想は見たことがない。そりゃ絶対被らんわ。ちなみに有力選手が全員不調になる波乱の展開を前提とした予想だそうです。

コースが荒れていたツール・ド・ワロニーで落車した時の投稿。
「畑に野菜を探しに…ってそんなわけあるかい!」とノリツッコミまでできる大人の余裕。そこにシビれる! あこがれるゥ!

なおケムナは私もいいと思っていて、あわよくばステージ1勝してほしい選手です。

(5)まとめ

結局いつもと同じ感じになってしまった。全員が全ての予想を外さないことを願うばかりである。なお例年の傾向だと、サガン以外を全員が外す可能性が高い。
ちなみにイギータグチの予想候補は結構な確率で落車などのトラブルに巻き込まれている。怖い。某J SPORTSの司会者さんを超える撃墜率を誇る「キタノート」、ただでさえ色々大変な今ツールでは炸裂しないことを祈っている。

ツール!観るぞー!