やっぱり当たらなかったツール・ド・フランス2020大予想(と凄いぞポガチャル)
あまりにも劇的な幕切れだった。21歳の純粋な情熱が、最後に何もかもひっくり返した。黄色、赤玉、そして白。ひたむきな走りが全てを攫い、そして戦後最年少の総合優勝者が誕生した。
誰もが初のスロベニア人ツール覇者の誕生を予想していた。それはログリッチだったはずだ。だけどStage20が終わって首位に立ったのは、ポガチャルだった。
2018年ジャパンカップ、不思議な成り行きでポガチャルとは長く話す機会があった。だから彼の前向きで負けず嫌いなキャラクターは知っていた。
2019年からUAEに行くんだよね、先輩のダン・マーティンは東京オリンピックを狙っているみたい(2018年インスブルック世界選手権で聞いた)だよ。あなたは?と尋ねると、20歳のポガチャルは屈託のない笑顔で 'I will stop him!!' と答えたのだ。全く陰のないきらきらした瞳を見て、これは凄い若者だ、と思った。
その後、彼のパフォーマンスとメンタルの素晴らしさは遺伝的な要因による優位性があったと知った。素晴らしい土台の上に素晴らしいトレーニングを重ねて、彼は世界屈指の強い選手になったのだろう。
凄いぞぽがちゃん!ちなみに強靭なメンタルは宇都宮で食事をともにした時にも発揮されていた。他のチームメンバーはめっちゃ帰りたそうだったのに、彼は全く気にすることなく唐揚げを食べ続けていた…
…というのが今年のツールだった。
いやー、無事にパリまでたどり着いてくれてよかった。もうそれだけで全員優勝でいい気がするが、一応開幕前の大予想がどうだったかを振り返っておこう。
(1)キタノート炸裂も当てました!イギータグチの大予想
✖総合賞 マイヨ・ジョーヌ
ダニエル・マルティネス(コロンビア/EFプロサイクリング)
◎ポイント賞 マイヨ・ヴェール
サム・ベネット(アイルランド/ドゥクーニンク・クイックステップ)
✖山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
ケニー・エリッソンド(フランス/トレック・セガフレード)
✖ヤングライダー賞 マイヨ・ブラン
ダニエル・マルティネス(コロンビア/EFプロサイクリング)
えっ…全外しがデフォルトのイギータグチがポイント賞を当てている。驚きである。あれ?ポイント賞キンタナでしたっけ?
更に「チームとしては注目しているのはUAEチームエミレーツ」と言っていたが、そのUAEが全チーム中最多のステージ4勝。
加えてマルティネスはキタノートの餌食となりStage2の落車でタイムを失い総合争いから脱落したものの、Stage13では区間勝利。
マルティネスのガッツポーズはハート♡ イギータグチ曰く「楽しんご」だそうです。微妙に古いので皆さんに伝わるか心配…
顔が微妙にアラフィリップに似ている気がするのは自分だけでしょうか。
自分が知る限り、過去最高の的中率である。なんということだ。
当たらないキャラで売っているのに、そんなことでいいと思っているんですか。ジロではもっと真面目にお願いします!
(2)もう何も言うことはない。アヤフィリップの予想
【堅め予想】
✖総合賞 マイヨ・ジョーヌ
エガン・ベルナル(コロンビア/イネオス・グレアディアーズ)
✖ポイント賞 マイヨ・ヴェール
ペテル・サガン(スロバキア/ボーラ・ハンスグローエ)
✖山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
ティボー・ピノ(フランス/グルパマ・エフデジ)
✖ヤングライダー賞 マイヨ・ブラン
エガン・ベルナル(コロンビア/イネオス・グレアディアーズ)
堅めだったはずの予想は全外し。まさかベルナルがDNFとは思わないじゃないですか…そして「ピノが遅れる」という予想は当たっていた。悲しい。
【趣味を前面に出した予想】
✖総合賞 マイヨ・ジョーヌ
プリモシュ・ログリッチ(スロベニア/チーム ユンボ・ヴィズマ)
◎ポイント賞 マイヨ・ヴェール
サム・ベネット(アイルランド/ドゥクーニンク・クイックステップ)
✖山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
アダム・イェーツ(イギリス/ミッチェルトン・スコット)
◎ヤングライダー賞 マイヨ・ブラン
タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチーム・エミレーツ)
趣味丸出しバージョンの予想ではベネットとポガチャルを当てましたが、特筆すべきは山岳賞に挙げていたイェーツが予想外のマイヨジョーヌを4日間着用したということ。これはもう、優勝ということでいいですよね?
不調の第3週も大きくタイムを失うことなくまとめて総合TOP10圏内に留まったアダムさんは偉い。もう満点あげます。花マル!!
Stage2で攻めたおかげてマイヨジョーヌがやって来た。
ドーフィネ前の大事なタイミングで自然の生水(噴水ではない)から寄生虫に感染、決して好調ではないコンディションで臨んだツールでしたが、クレバーに走っていたと思います。第1週から攻める走りが彼らしくて、見ていて嬉しくなりました。
ちなみにステージ2勝でとお願いしていたアラフィリップ、今年はStage2の1勝のみ。後半戦はベネットをよく守っていて偉かったです。
(3)手数とは何だったのか。某K氏の予想
実は3パターン予想していたのは彼だけである。(イギータグチは潔く1パターンのみ、自分は2パターン)
【パターン1】
✖総合賞 マイヨ・ジョーヌ
プリモシュ・ログリッチ(スロベニア/チーム ユンボ・ヴィズマ)
✖ポイント賞 マイヨ・ヴェール
ワウト・ファンアールト(ベルギー/チーム ユンボ・ヴィズマ)
✖山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
ピエール・ラトゥール(フランス/AG2Rラモンディアール)
◎ヤングライダー賞 マイヨ・ブラン
タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチーム・エミレーツ)
【パターン2】
✖総合賞 マイヨ・ジョーヌ
リチャル・カラパス(エクアドル/イネオス・グレナディアーズ)
✖ポイント賞 マイヨ・ヴェール
カレブ・ユアン(オーストラリア/ロット・スーダル)
✖山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
ロマン・バルデ(フランス/AG2Rラモンディアール)
✖ヤングライダー賞 マイヨ・ブラン
パヴェル・シヴァコフ(ロシア/イネオス・グレナディアーズ)
パターン1のヤングライダーポガチャルは見事正解。しかしラトゥール、バルデがリタイア、シヴァコフが初日落車で絶不調とKノートがあった気がしなくもない。
【パターン③】
✖総合賞 マイヨ・ジョーヌ
グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー/CCCチーム)
✖ポイント賞 マイヨ・ヴェール
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア/コフィディス)
✖山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
リッチー・ポート(オーストラリア/トレック・セガフレード)
✖ヤングライダー賞 マイヨ・ブラン
レナード・ケムナ(ドイツ/ボーラ・ハンスグローエ)
「絶対に誰とも被らない」というコンセプトのパターン3は当然のように全滅。まあそうやろうという感じですが、総合3位と大健闘のポート、連日逃げまくり先頭牽きまくりの上Stage16でステージ優勝を飾ったケムナは素晴らしかったと思います。
ケムナはボーラ期待の24歳。Stage13ではマルティネスとの一騎打ちに敗れ悔しい2位でしたが、きっちりツール期間中に勝ちました。偉い!
2017年ベルゲン世界選手権チームTT優勝メンバーにして2016年U23欧州選手権個人TT覇者、TTスペシャリスト系GC選手です。
的中率と面白さという観点から見ると、我々の予想は大変微妙な感じでしたが、「そろそろGVAがアタックするのでは」「GVA以外の全員が道を間違えるのでは」などと3人でアホなメッセージをやり取りしながらの観戦が楽しかったツールでした。
ゴールデンヘルメットのGVAもシャンゼリゼ楽しんでたようです。お疲れ様でした。
(おまけ)NTTのAI予想、NTT Predictor
当たるんだか当たらないんだかわからない予想、といえば昨年から登場したNTT(ディメンションデータ)のAI予想、NTT Predictor。2019年はそれはないやろという予想のオンパレードでしたが、学習したのか今年は3ステージ的中。
予想パターンが単調だったり直近のリザルトに引っ張られていたりと課題はありますが、Stage21のベネットを当ててきたのは凄いと思います。
ステージ別予想と結果をまとめてみました。TOP3予想に対して実際TOP3に入った選手を薄い黄、1位的中を濃い黄で色付け。逃げ切り展開は苦手みたいですが、それ以外はそれなりの精度です。来年も期待。
なお総合表彰台予想はバッチリ外してました。今年は難しかったよね…
ツールは終わりましたが、この後まだジロもブエルタも、北のクラシックもあるんかーい!観るけど!!