生物学上の分類・ 進化・寿命


< 生物学上の分類 >

タコは生物学的に頭足類と呼ばれます。軟体動物門頭足綱に属する動物の総称で、イカやオウム貝、古いものならアンモナイトと同じグループです。私も随分前から思っていたのですよ... タコとオウム貝の目って似ているなぁ...  て。そこで、どうして頭足類って名前...? かと言うと答えは簡単。頭部と足(腕)がくっついているからです。一般的によくタコの頭と言われている大きく丸い部分が胴体です。頭じゃありません。でっ、頭はどこかというと... 目のすぐ後ろ。そこに脳ミソがあります。つまり頭は目とその周りということになります。話は戻って、足(腕)は眼のすぐ下の部分(つまり頭辺り)から生えていますよね。そう、だから頭足類なのです。ただ、日本人は『足』と呼んでいますが海外では『腕』と呼ぶのが一般的です。また一言付け加えると、あの大きな胴体の中が脳ミソだった場合、ちょっとした大型犬以上の大きさです。ゴールデン・レトリーバより大きいですよ。いくら賢いと言われるタコでもそれはありえません。それに内臓器官はどこに? 生物としてその方が不思議になっちゃいます。

 ところでこの丸い胴体。これを頭だと認識している人は結構多くいます。そんな人に一言...。

「それが頭だったら、解体した時に脳みそがドバッツと出てきて怖いわっ!!!!」

っと、いつも心の中で叫んでいます。


< 進化 >

 次は進化について。頭足類の中にアンモナイトがあったように、その進化の歴史はかなり古いようです。最初はオウム貝の仲間が約5億年前に発生し、その後でアンモナイト類が出て、4億年ちょっと前にタコ類とイカ類に分かれます。んっ!!!! そうなんです。今生きているオウム貝の方が、化石でしか見たことのないアンモナイト類より古いのです。オウム貝凄い。まさに生きた化石です。

 さて、タコがオウム貝の仲間ということ。そう理解いただいたと思いますが、

『えっ!!!! じゃあ貝殻はどうなったの?』

と考えるのが自然です。遠い昔、元々タコにも貝殻があったのですが今はそれが退化して無くなっているのです。実は胴体の肉の中に紐(ひも)状の透明な組織が2つ隠れています。両端が尖がった透明な爪楊枝を7:3くらいの場所で少し曲げたような形です。材質の感じは柔らかいプラスチックみたいなもの。軟骨っぽい... いやそれよりもっと柔らかいですね。それが貝殻の名残だそうです。おそらくイカの透明な芯もそうなのかもしれませんね。

私なりにタコの進化、つまりタコ自身が貝殻を捨てたことについて思うのですが、身の危険を防ぐため岩場に隠れていることが多いですが、そのときタコは貝殻が邪魔だったのではないでしょうか? 貝殻があったら狭い場所に入れませんからね。特に中型・大型のタコの場合、あの大きな体を隠すレベルの貝殻だとそれが重過ぎたり水の抵抗が大きくて活動しにくいのではないかと思います。貝殻を捨てたから大きくなれたとも言えるのではないでしょうか? 


< 寿命 >

 次にタコの寿命について、これは冒頭で書いたとおり、実ははっきり判っていません。1年と言う研究者もいれば、2~3年は生きるという研究者もいます。タコ類最大のミズダコは3~5年と推定されていてタコ類の中では一番長生きだそうです。でっ、

『どうしてはっきり判ってないのか?』

ということなんですが例えば魚の場合、一般的には、『年齢形質』と呼ばれる部位を調べることで判定します。それはつまり『鱗』、『耳石』、『脊椎骨』といったもの。これ等を調べます。鱗には成長と共に年輪のようなものが作られます。それを数えて寿命を判断します。耳石は炭酸カルシウムの結晶で脊椎動物の内耳にあるものです。そう人間にもあります。魚だと頭の中にあり、体の平衡バランスを保つ働きがあります。耳石は成長と共に大きくなり、耳石の外側には毎日非常に細い線の輪が1本ずつ作られてきます。脊椎骨はその通り脊椎の断面の年輪を調べます。魚によって鰓(エラ)蓋の骨や背鰭の棘など調べる部位が違うそうです。ちょっと話がそれてしまいましたが、その『鱗』、『耳石』、『脊椎骨』と言った『年齢形質』と呼ばれる部位がタコにはありません。だから推定するしかない。というのが現状のようです。


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