素直になるということ

久しぶりにゆっくりお風呂に入っていたら、ふと高校3年生の担任の先生のことを思い出して、今のこの気持ちを残しておきたいと思って、noteを書いてみる。

今思うとあの出会いが私の人生のターニングポイントになったことは間違いない。

高校は地区で2番目の進学校に入学した。中学の頃の私は勉強ができることにとても意味を感じていて、テストでいい点をとること、いい学校に通うことだけがステータスだって思っていたし、そこで自分の価値を計っていた。だからその高校に進んだことを誇りに思ってた。

だけど、入学早々大きな挫折を味わうことになる。小学校の頃良くGALSという漫画を読んでいて、なぜか私は「高校生になったら勉強はしなくてもいい。」と思い込んでいた。目標の高校に入学したし、ゴール!!みたいに感じていたのかもしれない。

入学すぐの学力テスト。なんとなくこなして、まあこれくらいでいいだろうと居眠り。自分はできると謎の自信もあった。しかし、テスト返却のとき、かえってきたのは「英語 320人中320位」。
え。ビリやん。衝撃だったけど、寝てたからだよね。これってなんかネタになるし、逆においしいじゃん。ととてもポジティブだった。

おいしいと思ってた私は、自慢気に周りに話すとドン引きされたのをよく覚えてる。そこからはみるみる成績は下がり、通知表はほとんど「2」が並んでて、かろうじて体育と数学だけは「4」だった。「1」とったら留年で、出席日数さえあれば取ることなかったから、実質底辺だ。
2年に上がるときの文理選択も「薬剤師になりたい」っていう思いが残ってたから理系を希望したけど、当然1年の担任からは止められた。担任を思い通りになりたくなくて、理系に進んだ。

だけど、すぐに勉強できるようになるわけでもなく、それどころか、だんだんできなくなっていって学校行っても授業は寝てるだけ。その頃は生理の不調も相まって、月に4〜5日休むという生活で、友達に会いたいから学校に通ってる感じだった。

そのまま、3年生に上がり、受験の年、その年に定年を迎えるおじいちゃんが担任になった。名前は山本先生。教科は数学。豪快な近所のおじいちゃんというのが先生の第一印象。昼休みにクラスの男子の弁当に入っていたウインナーをつまみ食いするおちゃめな一面もあった。

3年生になった私は相変わらず授業は退屈でそれどころか、受験モードで放課も勉強が当たり前の周りとの温度差を感じ、ますます学校を休みがちになった。ある教科はあと1日休んだら留年というところまできていた。そんな状況でも、学校に来ると山本先生「お前また休んどったな〜」といつも冗談ぽく声をかけてくれた。

そんな中、定期的な進路相談。今までは担任は成績の話をされて、「この成績だと希望大学は厳しい」と言われ、「がんばりま〜す」で終わり。だけど山本先生からは「お前は将来どうなりたいんだ?」と聞かれた。「私、薬剤師になりたかったんですけど、今の成績じゃいけないから〜。だけど化粧品とか芳香剤とか化学系のものづくりしてみたいんですよね。」と話した。「やりたいことちゃんとあるんだな〜」とその時は終わった。

後日、山本先生から呼ばれていってみると「かおりって興味あるか?」と聞かれた。かおり?人の名前?と理解できないでいると、「匂いの香りだよ」と続けた。「香水とかは好きですけど〜」と答えると、「日本で初めての香りの専門に扱う専攻ができるんだけど興味あるか」と。


香り!日本ではじめて!まさに会ってないけど一目惚れだった。

「だけど、〇〇大学なんだけどどうだ〜」と説明された。この地域では有名なFラン大学で過去に私の高校からの進学者は0だった。本来私の通ってた高校では国立大学への進学を優先する方針があり、そこそこの私立に行くなら、地方の国立へという進路指導が一般だった。私もその高校に入ったというプライドが少しは残ってて、地方でも受かる国立大学に入ることをステータスと考えて大学を探していた。
それがまさか担任からFラン大学を進められるなんて。だけど、方針ではなく、私のやりたいことを最優先に考えてくれた先生の心意気が本当に嬉しかった。そして、私はその大学に絶対入る!と決心した。

周りの友人に話をしたら、「え。〇〇大学?!」とドン引きされたけど、気にせず、そこからはもうまっしぐらだった。試験方法を調べ、試験科目に絞って、勉強をはじめたり、3人姉弟の長女で、金銭的に厳しいとわかり、特待生で入学する方法を模索したり、そして無事特待生で合格し、入学を果たした。

そこからは自分のやりたいことに邁進、研究に熱中し、大学院に進学。念願だった化粧品メーカーに就職し入浴剤の企画・開発を行っている。大学の同じ学部で出会った彼と結婚、子供にも恵まれた。

今思い返してもあのときの山本先生との出会いは間違いなく、私の人生史上最高のターニングポイントであり、感謝しかない。そして自分のやりたいに熱狂し、素直に選択したことが、今の私の原点だ。

現在、育休中。忙しい日々の中で自分のキャリアを考える時間が増えた。でもいつも忘れないでおきたい。
自分の気持ちに素直に選択することで光がみえるということを。


はじめてこんなに長い文章を書いてみました。つたない文で読みにくいところもあったかもしれませんが、読んでいただきありがとうございます。分岐点で悩んでいる方の心の隅っこを少しでもくすぐれたら幸いです。

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