話数単位で選ぶ、2022年TVアニメ10選
皆さんこんにちは。初めましての方が多いと思います。さくらひじりと申す者です。
この度はaninadoさんが主催しておられる「話数単位で選ぶ、2022年TVアニメ10選」という非常に面白い企画があると知り、個人的にではありますが、一昨年、昨年、今年とアニメを見る量が増えているので、折角だし参加してみよう!ということで、このような記事を執筆している所存です。初参加です。
本企画におけるレギュレーションは、
の通りとなります。また、記事の性質上、アニメの核心に迫るネタバレも全然あるので、目次を見て各自自衛していただけますと幸いです。
では行きますよ〜〜〜!
①明日ちゃんのセーラー服 第十二話「ひとりじゃないんだ」
倫理観の高い女子校ライフを魅せてくれた明日ちゃんのセーラー服より、最終話を選出。
今まで引っ張ってきた体育祭が最終話にしてついにやってきたが、ここでの演出が本当に素晴らしかったの一言に尽きる。明日ちゃんが踊り、木崎さんがピアノ伴奏を務めるというパフォーマンスを見せながら、体育祭の描写も描いていくということをしていて、本作のかなり癖のある絵柄も相まって、作画も美しく、音楽も耳に馴染むという、アニメって色々な要素が合わさって生まれる一種の総合芸術であることを強く感じさせられる、非常にクオリティの高いものだったと思う。
②BIRDIE WING -Golf Girls’ Story- #8「ファイナル・バレット」
賭けゴルフという意味のわからなさを当然のように成立させていた異様なゴルフアニメより第8話を選出。
ローズとの戦いの後半戦で、前話のローズの義手が壊れたところは、もう意味がわからなくて笑うしかなかったが、ローズが義手が壊れたにも関わらず、当然のように必殺技(ゴルフの必殺技といって通じるのもすごい)を放ち、ゴルフをするという無茶苦茶だが、イヴとのゴルフ対決が非常にアツく、見入ってしまう内容だった。
勝負に負けたローズは、消されてしまうという悲しい結末を迎えるわけだが、イヴとローズの違いを描き、ローズの表舞台でのイフルートを想像しながら死にゆく様は美しかった。個人的には、ローズが銃撃(弾丸)で最後を飾るところが、イヴへの敗北とリンクしており、非常に美しい演出であるとも感じた。
③てっぺんっ!!!!!!!!!!!!!!! 第5話「ランプの章」
チームYのあいつらがストーリー原案を務めているお笑い漫画がアニメ化した本作より、北海道代表回の第5話を選出。
このアニメは、お笑いアニメだからというわけか(?)一癖も二癖もあるかなり好き勝手やっているギャグアニメだったと思う。特に第5話が一番やっていることがおかしかった。何をしているかというと、北海道地区代表の3人が帰省をするのだが、バス内でゆいなが間違ったツッコミをする度に第5話の冒頭に戻る…というのをただひたすらに繰り返していた。本当に、それだけなのである。七つの都市伝説に基づく正しいツッコミをするとランプが付き、話が進むのだが、失敗するとまた最初からやり直しという、見ている側としては、とても奇妙な体験であり、これこそ都市伝説といった回だった。こんな回てっぺんっ!!!!!!!!!!!!!!!じゃなきゃ許されないだろ…
④シャインポスト 第6話「聖武理王は《褒められたい》」
マネージャーの異質性に相反して、アイドルちゃんの葛藤、成長を描いた非常に王道なアイドルアニメであったシャインポストより第6話を選出。
「なぜなら私は理王様だから!」という自信家な印象の強い彼女だが、その自信は迷惑を掛けたくないという感情から生じる虚勢であるという彼女の背景をしっかり描き、彼女が春や杏夏に劣っているという悩みを、彼女には歌があるということを見出して、解消するという凄く良い話だった。
この話のミソは、第6話において、聖武理王はダンスが苦手という文脈を主張し続けることで、聖武理王は歌が上手いという要素を隠し続け、ライブパートで「Yellow Rose」を聴いてはじめて、彼女が歌が上手いということを示したのが演出としてとても趣があると感じた。聖武理王の声優を務める夏吉ゆうこさんが敢えて地声に寄せて歌うことで、今までの理王のキャラクター性からはとても考えられない歌唱になっているのも、彼女の新たな一面を表現する上で効いていると思う。個人的に好きなのは、ファンを増やすために会場をあえて池袋の噴水広場にする事で、受動的に歌を聴かせられる環境を作っている工夫である。
⑤連盟空軍航空魔法音楽隊ルミナスウィッチーズ 第9話「星と共に」
ワールドウィッチーズシリーズの最新作であり、いわゆるストライクウィッチーズのスピンオフ的な立ち位置である(時系列は一期に該当)ルミナスウィッチーズより第9話を選出。
戦えないウィッチでも、ネウロイとの戦いで苦しむ人々、日常を奪われた人々に、彼女らが歌を歌うことで安らぎを与えるといった、今までのシリーズでは見られなかった側面を描いてくれた。特に第8話「あの日々を忘れない」ではミラーシャの話、ジニーと扶桑のウィッチの話でこうした内容を再確認したところでの第9話で、「歌は特定の人にしか届けられないの?」というアンチテーゼに向き合った内容になっていたのが、ルミナスの被災者に対する歌という意味合いが好きだからこそ、非常に印象に残った。ニューヨークというネウロイの被災を受けていない国での公演ということも、歌は被災等関係なくみんなに届けられるべきというメッセージになっているし、ジョーの家族達を招待できないという件からも、このようなことを考えるきっかけになっているのだと思う。また、そんな彼女たちが導き出した結論として、分け隔てない空を舞台にしたことが、音楽はみんなで楽しむべきという趣旨の表れになっており、アンチテーゼへの納得のいく答えになっていると考えられる。
⑥Engage Kiss #9「流す涙の意味を知らずに」
シリーズ構成・脚本が丸戸史明で話題になった「Engage Kiss」より第9話を選出。
シュウ自身の記憶をキサラへの代償として捧げなければならないという設定の使い方が非常にうまく、特にそれが活きていると感じたのが第9話である。
あらすじにもある、真の悪魔代理人の正体が、エンゲージキスのエギルこと、マイルズであることが上手いと思った。確かに、彼は悪魔関連の事件に当たり前のようにいたということを思い出せるし、実は、事故で親を失ったシュウにとっての第二の親であるため、そんな人が敵だったというのは話の内容として辛くもあるが、非常に楽しめるものでもある。また、戦う際にマイルズとの記憶を代償にすることで、彼との決別を表現できているし、その後に流す涙が悲しくもあれど、サブタイを回収しているのはお洒落だと思う。
⑦Extreme Hearts #12「SUNRISE」
一部では異様な盛り上がり方を見せた、個人的に2022年夏アニメで一番面白かったものは?と聞かれれば、答えるであろう「Extreme Hearts」より最終話を選出。
葉山陽和の尽力あって、なんとか神奈川大会を優勝できたわけで、優勝後のライブ回である最終話。第11話と第12話を繋ぐS×S×S #11exを踏まえた上で、ライブで披露される楽曲「全力Challenger」を聴くと、RISEの軌跡がパッと蘇ってくると共に、陽和が大切な仲間たちに出会えたということを感慨深く思える。涙ぐんでしまうところもそれが現れていると思う。最後の、陽和と咲希のシーンでは、大切な仲間という文脈のさらに上をいく2人の関係性があると示していて自分好みな文脈をしていた。EDのエピローグも魅力的で、雪乃のおじいちゃんがテレビで見ているシーンなんかすごく良かった。
⑧ぼっち・ざ・ろっく! #8「ぼっち・ざ・ろっく」
異様な流行り方を見せた本作より、タイトル回収回である第8話を選出。
個人的に本作について一番抱いている印象は、演出が非常に凝っていて上手いということで、それを特に実感したのが第8話である。まず、結束バンド初ライブに、路上ライブで出来たぼっちちゃんのファン2人が来てくれたことが嬉しい描写だった。初ライブの一曲目では、それぞれの楽器がバラバラでズレていることが曲を聴いていると明らかにわかるので、そこから上手くいっていないことを視聴者として悟ることができるのが良い演出をしていると思うし、その悪い流れをぼっちちゃんが変えるカッコ良さも好きだった。ラストシーンでの虹夏とのやり取りで、本作のタイトルが回収されるのは言うまでもなくアツいが、個人的には、ギターヒーローのヒーローとしての要素が、ぼっちちゃんにうまれるところが好きだったりもする。
⑨アキバ冥途戦争 #12「萌えの果て」
メイドが銃を持って撃ち合うという、自分の知っているメイドという概念を根底から覆してきた、良くも悪くもキチガイな第1話を見せつけてきたアキバ冥途戦争より、最終話を選出。
前話のラストで嵐子が刺されてしまったことが非常に衝撃的ではあったが、嵐子が今までメイドとして人を殺めてきたことを鑑みると、なごみのような真っ当なメイドとして生きることはできないということを示唆していて非常に好みな文脈だったが、犯人がチキチキツキちゃん(合ってる?)のメイドという、過去に争ったところの人間だったことが明らかになる所も、報いに通じるとも考えられる残酷だが好きな文脈をしていた。
凪との最終決戦で、銃を持って殺しに来ているメイドを、メイドとして迎え入れるという、字面では全く意味がわからないことを当然のようにやっており、しかも話の内容が通っているというこのアニメでしか見られない非常にすごい展開だし、メイドとは何なのかという、誰しもが第1話を見た時に感じた疑問に対して答えているようにも捉えられたのも非常に良かったと思う。
⑩ヤマノススメ NEXT Summit 第12話「行こう!新しい頂きへ!」
女の子が山登りをするアニメ、ヤマノススメシリーズ4期の、「ヤマノススメ NEXT Summit」より最終話を選出。
本作はシリーズとして異例の30分アニメ、前4話は今までの総集編という、かなり変わった構成をしていたが、セカンドシーズンであおいが挫折を強いられた富士山に、最終話にて再チャレンジするということを踏まえると凄く良い構成だった。
再チャレンジ時でも再び高山病を発症させてしまい断念しかねても、なんとか登り切ることができたのは、素直にとても良いことだと思うし、挫折を踏まえると非常に感動的だった。4期で一番良かったと思うのは、毎回のED映像が話数に合わせて異なるところで、ここでは本作の倫理観の高さが表れていた。あおいと母親との関係性を描いた第5話、ひかりさんとのデート風景を描いた第6話も素敵だが、ここなちゃんやかえでさんの姿から、本作の時が進むことの美しさを味わえた最終話が一番お気に入りです。
終わりに
こうして、アニメについて自身の感想、見解を述べる記事を書くのは今回が初めてなのですが、書いていてかなり筆が運びました。また、この企画が普段脳内でこねくり回しているアニメについてアウトプットできる良い機会だと思ったので、来年以降も参加したいと思っています。今年はエクハやルミナスをはじめとした良いアニメに沢山出会えたので、来年もそうなればいいなとも思っています。すごい普通な感想になっちゃった。それでは。
選出候補
簡単にではありますが、惜しくも選外になってしまった話について書きました。ネタバレ防止のため、気になる方は見出しより飛んでください。
・エスタブライフ グレイトエスケープ 第3話「水族館から逃げられない」
東西で全く文化の違う池袋を、まるで旧ドイツかのように描いたのは天才的だと思う。池袋といえば水族館なのも面白い。
・ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会TVアニメ2期 第10話「かすみん☆ワンダーツアー」
13人になった新たなスクールアイドル同好会の日常回。既存の曲である「Love U my friends」に更なる属性が付与されたのも良いし、ランジュが写真を撮りたがるのは萌えだった。
・ヒーラー・ガール 歌唱12「私たち、C級ヒーラーです!」
かなが師匠と同じ境遇に向き合うシーンは、彼女たちの成長を描いていて、非常に感動的なものだった。
・CUE! 第16話「二十歳になった私へ」
冒険サバイバーズという物を生み出してくれた嬉しさに加えて、まほろに友達ができたということを、子役時代のワンシーンとの対比で描いたのが上手だった。
・ビルディバイド -#FFFFFF- 第22話「選択」
敵となった照人VSひより。師匠である照人の教えから学び、”師匠なら“ではなく、”私なら”で倒すところがすごく良い。
・メイドインアビス 烈日の黄金卿 第8話「願いの形」
ガンジャ隊の回想の続き。相も変わらず、メイドインアビスは酷いことをしてくれると再確認できた。
・金装のヴェルメイユ〜崖っぷち魔術師は最強の厄災と魔法世界を突き進む〜 第11話「過去」
ヴェルメイさんの辛い過去が明らかになる回。この回を経て、OPである「Abracada-Boo/石原夏織」の歌詞を深められる。
・サマータイムレンダ #25「ただいま」
全ての戦いが終わったエピローグ、こういうので良いと思わせてくれる。
・不徳のギルド 第7話「ムリゲー/ミントアイス」
不徳のギルドは戦闘シーンも楽しめるということがわかった回。更に、トキシッコとのシーンはどこか神秘的でありかつ性的で良かった。
・4人はそれぞれウソをつく 07「響け!友の歌声」
関根の話を通して、この4人の日常シーンが本当に良いものだと気付かせてくれた。尺あまりか、残り数分で変なパロディをし始めたのは、訳分からなくて好き。
・新米錬金術師の店舗経営 第9話「蜂蜜を取りに行こう!」
アニメの萌えな女の子が腹を下してトイレを奪い合う回なんて中々ない。めちゃくちゃ笑った。
・惑星のさみだれ 第24話「終わるものと続くもの」
全ての戦いが終わったエピローグ2。今までの話を踏まえると本当に素晴らしいものだった。