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木のあれこれ。no.7 楽器の木 part-2.拍子木

楽器には昔から古今東西、様々な木材が用いられてきた。
各木材にはそれぞれ特徴があり、奏でる音も異なる。
ここではどの楽器にどんな木材が使われているのか、なぜその木材が使われるようになったのか、そしてその木材の特徴をまとめる。

楽器と木材の一覧

①打楽器 - 拍子木(柝(き))

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-拍子木の歴史-

拍子木は歌舞伎や相撲などでも使用され日本文化と強い結びつきがある。
百科事典にはこうある、

方柱形の短い二つの木を打ち合わせ、合図・拍子を知らせる用具。拍子木の起源は明らかではないが、合図をし、拍子をとり、また人々の注意を促すために、木や竹を打ち合わせる方法は、原始時代からあらゆる民族で行われていた。おそらくわが国では、拍子木は、古くは、物を打ち合わせ、音を発することによって悪霊を退散させることができるという宗教的な用途からできた呪具(じゅぐ)の一種であったと考えられる。そのことは、柏手(かしわで)錫杖(しゃくじょう)、夜回りの拍子木などの機能からも推察することができよう。なお、拍子木のほか、読経(どきょう)の音木(おんぎ)、声明(しょうみょう)の割笏(かいしゃく)、雅楽の笏(しゃく)拍子、さらには、民俗舞踊などで拍子をとる、竹でつくった小切子(こきりこ)、綾竹(あやだけ)、チャッキラコなども、拍子木の一種として注意される。一方、同様のものは、タイ、ミャンマー(ビルマ)など東南アジア各地でも行われている。[宮本瑞夫]©Shogakukan Inc.(日本大百科全書

拍子木の一種

読経の音木

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声明(しょうみょう)の割笏(かいしゃく)

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雅楽の笏(しゃく)拍子

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小切子(こきりこ)

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綾竹(あやだけ)

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チャッキラコ

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欧米の拍子木、クラーベ(クラベス)

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拍子木の木材

「(前略)打ってよく鳴り響くように音の出やすい、カシ・クリ・ケヤキ・サクラなどの堅木を用いてつくられる。」(レファレンス共同データベース

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ブナ科コナラ属の常緑広葉樹。放射孔材

学名 : Quercus myrsinaefolia
シラカシの学名の属名 Quercus は、
ケルト語の quer(良質の)+ cuez(材木)から、
また、種形容詞名 myrsinaefoliaは、
つるあかみのき属(Myrsine)のような葉(folius)を持った という意味。


本州中南部から四国、九州に自生。また、朝鮮南部にも分布。
辺心材の区分は不明瞭で、材の色調は全体に淡黄色を帯びた灰褐色を呈す。柾目面には虎班が現れ、板目面には著しい樫目が見られる。
木質は国産材の中では極めて重硬で強靭。切削などの加工及び乾燥は困難。
器具材、車両材、船舶材、機械材、枕木、薪炭材など。特殊用途としては鉋台や農工具の柄、櫓など。あまり大径木にはならない。
時に、せん孔虫やカミキリ虫の虫害を受けている場合がある。
同属に、赤樫(アカガシ)などがある


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ブナ科クリ属の落葉広葉樹。環孔材。
学名 : Castanea crenata Sieb. et Zucc.
学名のCastaneaはギリシャ語のクリを意味するkastaneonからついた。
crenataは、頭の丸いギザギザの意味。

素晴らしい資料があったので全て貼り付ける。

クリは黒い実、つまりクロミの意味という。
漢字では、栗と書くが、栗は中国産のクリで、日本の山に自生するクリとは別種である。日本産のクリはシバグリとか、ニホングリとも呼ばれる。クリの変わりものとして次のようなものがある。ハコグリはひとつのイガに果実が6~8個も入っているもの。シダレグリは枝が垂れるもの。トゲナシグリはイガのトゲが短いもの。(https://www.kahaku.go.jp/research/db/botany/wild_p100/summer/14_kuri.html)
茨城県は日本一のクリの産地で、あちこちにクリ林が多い。(https://www.kahaku.go.jp/research/db/botany/wild_p100/summer/14_kuri.html)
クリの実は大昔から重要な食料であった。その証拠に、縄文時代の遺跡からクリの果実が掘り出されている。青森市の三内丸山遺跡では、縄文時代にクリの木が栽培されていたことが分かった。(https://www.kahaku.go.jp/research/db/botany/wild_p100/summer/14_kuri.html)
果実を干したものをカチグリといい、昔は保存食品であった。戦国時代には、その名前から、戦いに勝つための儀式には欠かせないものであったという。山村では、作物が不作の年にそなえる救荒食物とされた。そのため、クリの木は大切に育てられ、門松のように使われる地方もあった。日本では、野生のシバグリから、多くの品種がつくられてきた。栽培品種は400年前に現れ、果実の大きい「丹波栗」などが栽培された。クリの栽培は大正時代から盛んとなったが、1940年ごろにクリタマバチの大きな被害が広がった。幼虫がクリの木のほとんどの新芽に虫コブをつくり、新芽がやがて死んで、クリの木が枯れるものであった。その後、クリタマバチに強い新しい「筑波」「利平」などの品種が栽培されるようになった。 現在では、栗ようかんや栗きんとんなどの菓子としても親しまれている。そのほか、果実、樹皮、根、葉は薬用にされる。(https://www.kahaku.go.jp/research/db/botany/wild_p100/summer/14_kuri.html)
材は建築材や家具材となる。材は、固くて強く、水のなかでも腐らず、しかも加工がかんたんというすぐれた性質があるので、建築物の土台や柱とされた。三内丸山遺跡からは太いクリの柱でつくられたやぐらが発掘されている。また、鉄道の線路のまくら木に使われた。つい30年前までは、幹や枝は薪や炭として盛んに利用され、現在はシイタケを生えさせるほだ木に利用される。クリ属は約10種が世界の北半球に分布し、日本では1種だけである。ブナ科の樹木にクヌギ、コナラなどがある。クリは、日本だけでなく、世界中で食物として喜ばれている。ヨーロッパでは、ヨーロッパグリからおいしいお菓子のマロングラッセがつくられる。中国では、天津甘栗が有名で、日本の商店でもよく売られている。この甘栗は、中国産の「栗」であるCastanea molli-ssimaの果実を大きなナベのなかで砂といっしょに焼いて、ゴマ油と砂糖を加えたものである。(https://www.kahaku.go.jp/research/db/botany/wild_p100/summer/14_kuri.html)


ケヤキ

大きな木代表。

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ケヤキはこちらも!

ニレ科ケヤキ属の落葉広葉樹
学名 : Zelkova serrata
serrataとは「鋸歯状の葉」の意味。
「ケヤキ属」で世界中で6種ある。
ケヤキという名前のzelkova は、もともとコーカサスでつけられた名前だそう。

日本では、古くは、「槻(つき)」と呼ばれた。


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桜はこちらも!
学名:Cerasus jamasakura(山桜の学名)
意味はcerasusが桜、jamasakuraはそのまま日本語でヤマサクラから。

番外:かわいい拍子木

参考:http://ourjapanesemusic.blog98.fc2.com/blog-entry-118.html?sp
https://wp1.fuchu.jp/~kagu/mokuzai/sira-k.htm
http://zmchip.com/NatureLand/Quest/gakumeihatuon.html
http://wp1.fuchu.jp/~kagu/mokuzai/kuri.html
https://www.kahaku.go.jp/research/db/botany/wild_p100/summer/14_kuri.html


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