海外と私②【アルパカ洋品店をはじめるまでの話】
1週間のアメリカ家族旅行を経て、お米とお味噌汁がなくては生けていけないと思った兄とは逆に、私は俄然異文化に興味をもった。
高校に入り、たまたまクラスメートが、埼玉新聞に告知が出ていたオーストラリアでのホームステイプログラムに一緒に参加しようと誘ってきた。
3週間のホームステイ。行ってみたい。
行け行けと送り出す父と、心配性の母に手を振り、
軽いノリで出発した私。
最寄りの空港から車で6時間というオーストラリアの田舎町に着き、英語はまたアメリカとも違って、なんだかさっぱりわからない。そしてホストファミリーはとっても優しいのに、何を言われているのかさっぱりわからない、話せない。
そしてみんな大きい。一気に孤独を感じてホームシックになって涙がボロボロ出た。
ハグしてくれて、日本に電話しなさいと言うファミリー。
頑なに首を横に振って、黙々と無言のままオリガミを作り続けた一日目の夜。
どこでどう気持ちが切り替わったのかわからないけど、翌日からはとにかく笑顔で単語でもいいから話す、近くで見る、何か手伝う、と動き始めた。
そうすると色々と気が付くことが多くなった。
誰かと一緒にいるとよく出てくる言葉もあって、わかるようになってきた。
違う学年の子が混ざる授業や、サイン コサイン タンジェントがついている計算機を使っていい算数の授業や、洗剤をつけて洗った食器を水で流さないなど、「えー?」ということがポンポン回りに起きていることに気が付き、「なんでなんで?」とあっという間に毎日が楽しくなった。
お茶をしにきたご近所さんも一緒に集まって、ソファにどっしり腰かけて、編み物をする姿や、大好きなチョコレートクッキー(Tim Tamに出会ったのはこの時)はこうするともっとおいしい!と変な食べ方を教わりながらテレビで映画を見たり。誰かの家に集まってバーベキューをしたり誕生日会をしたり。出掛けなくても毎日家の中で色んなことができて、それはそれでアクティブなインドアライフを楽しんだ。
そしてどこの家に行っても、若い夫婦でも、おじいちゃんおばあちゃんの夫婦でも、子どもの前でも愛し合っているのがよーく伝わってくるパートナーとの様子。
また日本の日常と異なる生活スタイルに刺激を受け、
もっと知りたい。もっと対等に話せるようになりたい、と思って帰国した。
世界には色んな人、もの、文化、考え方があって、
その違いがおもしろい、と気が付いたのはこの頃。
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