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おさがり

娘が産まれる時、

仙台に住む従姉妹が、息子さんのおさがりを大量に譲ってくれた。

ベビー服、
肌着、
スタイ、
おもちゃ、
バウンサー、
抱っこ紐…

何が必要なのか、
どんな物をどれくらい揃えるべきなのかも全くわからない私にとって、

それはものすごく大きな助けになった。



電話してお礼を言った際に
服とか一応洗って使ってね〜!
と言われたので、

そっかーじゃあ、いつ産まれてもいいように、
洗って畳んで準備しとくか!

と、
大きなお腹で、
小さな小さなベビー服を大量に洗濯した。


まだ大人用のハンガーしか無かったので、
それを使って並べて干した。


見上げると、
ちっちゃい服がいっぱい干してある光景。

なんだか信じられなかった。

あともう少しで、
赤ちゃんがやってくるなんて。

全くうそみたいに思えた。


当時同居していた友人に、

ベビー服だね、
いよいよだね!的なことを言われたけれど、

全く実感が無くて空返事をしたのを覚えている。



だけど、

ベビー服から漂ってくるあたたかい匂い…

ひとつひとつが、
従姉妹の息子さんがどれだけ愛されているか、
大事にされているかを物語っていた。

従姉妹の、妥協のない母親としての愛。
息子を愛して、
毎日を静かに丁寧に積み重ねて来た、

それをひしひしと感じるおさがりだった。


私はそれをひとつひとつ畳みながら、

少し不安に思った。

私はちゃんと母親になれるだろうか…




だけどそれから2年が経って今思えば、

従姉妹と違ってかなり適当でワイルドだが、

これはこれで、ちゃんと母親である。

私なりに
娘を慈しむ日々を過ごして来たし、

その私なりの光もまた、
娘の持ち物に、同じように宿っているだろうと思う。


心配することなんかなかった。

大丈夫だったよ。

あの日の自分に言ってやりたい。



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