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テクノロジーを用いて求めるものは幸福の追求


今までは
経済学者が国家レベルのウェルビーングを測定し
心理学者が個人レベルのウェルビーングを測定しようとしてきた。

今はテクノロジーのデザインと評価においても、
ウェルビーングの測定を意識的に・体系的に検討するべきときになっている。

 
しかし、それはとても難しいことなのである。

テクノロジーが個人と社会に与える影響を理解しようとすると
非常に複雑のシステムを理解しようとするときのような数々の難題にぶつかる。
 
文化的、社会的、倫理的、心理的な不覚的要素が相まって
複雑で微妙な解決の難しい部分の残る
ことになるからだ。
(わたしは完璧に明らかになることはないと思うけど)

だから、テクノロジーの影響を正しく理解するには、
人間の多面性を実証的に扱うエキスパートである社会科学者(social scientist)との連携が不可欠である。

 

テクノロジーには
知性を低下させ、ストレスを増加させるという警告があるが、
一方で
テクノロジーが世界を救うという明るい見通しもある。

 
テクノロジーを用いて求めるものは
人間としての根本的な目標である幸福の追求である。

現代社会において幸福を追求しようとすれば、
テクノロジーの力を借りるか、テクノロジーから離れるかしかなくなる。

 
でも、テクノロジーが発展してきた今は
テクノロジーのおかげでしあわせになっているんだろうか。
 
経済学者の行った研究たちでは、
アメリカでは過去30年で富が3倍になったのにも関わらず、
人生の満足度は微増にとどまっていると言われている。
 
富が増加するにつれて、
デジタル・テクノロジーの使用率も有意に上昇しているが、
人生の満足度には有意な上昇は認められていないのだそう。

富が国家のウェルビーングの指標にならないのと同じで、
テクノロジーの普及そのものは
個人や社会全体のウェルビーングの向上を意味するわけではない
ということである。

 
デジタル・テクノロジーがウェルビーングの向上に貢献していないのは
エンジニアやコンピュータ科学者が「心理的影響」という定量化や価値づけが困難な対象を扱うのを避けてきたからである。産業界が人間の複雑な側面に対処しきれなかったとも言える。
 

でも、
テクノロジー業界は心理的影響を測定する経験はまだ乏しいけど
心理学や精神医学といった分野では実証的に有効性の確認されている手法や成功事例がある
 
幸福や生活の質、主観的なウェルビーングという性質を
少なくとも1970年代から測定・評価してきている。
 
ウェルビーイングの指標として特に普及しているのは
抑うつ自己評価(CES-D)尺度」(center for epidemiological studies- depression scale)と
機能と全体的評定(GAF)尺度」(global assessment of functioning scale)である。
 


テクノロジーが人間の幸福のためにどのように
使用されていくのがイイのか。
 
そもそも幸福というのは、はかるのが難しい。
心理や精神医学で行われてきた
しあわせとはなんぞやという研究をもとに
まずはウェルビーングの状態を明らかにする。

そして複雑な文化的、社会的、倫理的、心理的な不覚的要素などを
社会科学者らと確認しながら
テクノロジーを生かしたウェルビーングへのアプローチを深める。
 
まさに科学とこころがつながっていくようである。
ホリスティックなとらえ方にワクワクする。
 

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「ウェルビーングの設計論 よりがより良く生きるための情報技術」
著 ラファエル・A・カルヴォ/ ドリアン・ピーターズ
よりお勉強

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