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デニーズブラウニーサンデー事件

むかーしむかしの、とある事件のおはなし。

大学生だった頃がありまして、
サークルに入っていたんです。
練習の後に仲間たちとデニーズに行ったんです、いつものサイゼリヤではなく、大学生にとってはちょっと高級なデニーズに行ったんです。

テンションの上がった私は嬉しくて食後に憧れのブラウニーサンデーを頼みました、あの、ブラウニーがトッピングしてある、ながーいスプーンで食べる、ブラウニーサンデーです。

半円形のテーブルには、確か私を含めて6人くらいいたかと思います。私は左端から2番目くらいの席に座っていました。

ブラウニーサンデーがきてすぐ、このおいしさを味わってもらおうと、食べてーなんて言いながら隣の子に渡しました。

隣の子はおいしいーなんて言いながら、その隣の子に渡しました。ほんとだーなんて言いながら、私のブラウニーサンデーはぐるっとテーブルを回っていきます。

ごはん食べた後でしたし、みんなに味わってもらいたかったから、自分からどんどん離れていくブラウニーサンデーについては深く考えていませんでした。

それが浅はかだと気づいたのはブラウニーサンデーが戻ってきた時です。

ブラウニーサンデーの中心メンバー、「ブラウニー」が、
1つ残らず
無くなっていました。

好きなものは最後に取っておきたい私にとって、ブラウニーがひとつも残っていないブラウニーサンデーなんて、
サクサクのやつとちょっとしたアイスしか残っていないブラウニーサンデーなんて、ブラウニーサンデーじゃないのに…

目の前に戻ってきた「元」ブラウニーサンデーを理解できない私は辺りを見渡しました。
どこかに落ちているのではないかとさえ思いました。
でもそこにあるのは談笑を続ける仲間たちと、目の前にある「元」ブラウニーサンデー。

そうか、ブラウニーサンデーのブラウニーは誰かがおいしくいただいたのか、私のブラウニー、いや、私のだと思っていたブラウニー。
ようやく理解が追いついてきました。

そこで「食べたのだれー?」と冗談で犯人探しをすることも、ネタにして笑うこともできない10代の私は、「元」ブラウニーサンデーを憧れの長いスプーンですくうしか、救うしかありませんでした。

それから月日がたち、少しだけ自分にお金をかけることができるようになった私は、
時折デニーズに行って、ブラウニーサンデーを食べます。

あの時ブラウニーサンデーのブラウニーを食べたのは誰かはわかりません。そしてそれはもはや重要なことでもありません。

あの時学んだ、
「思い立ったらすぐ行動」
「ブラウニーが食べたかったらすぐブラウニーを食べる」精神は、
今の私の活動にもいきています。

ありがとうブラウニーサンデー、
今日もおいしかったです。

食べ物の恨みは深い。


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