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#9 同じ名前


#9 同じ名前

同姓同名の人と会った事がありますか?

同姓同名といっても
・漢字表記も読み方も同じ
・漢字表記は同じだが読み方が違う
・漢字表記は違うが読み方が同じ

と、3種類に分けられるそうです。

私がここでいう同姓同名とは
・漢字表記も読み方も同じ 
を示します。

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私が初めて会った同姓同名の人は
小学5年生の時。
市内の駅伝大会での出来事でした。

その駅伝大会には
市内の女子チームが約10チーム出場し
1区〜5区に分かれて
1.5キロのコースを5人が走り
合計タイムが早いチームが優勝というものでした。

私達のチームは練習を重ねる中で
走る順番を決めることになり
私は4区を走ることになりました。

試合当日。
1区の子がスタートとし、始まりました。
私たちのチームは順調に順位を上げ、
4区の私に回ってきた時は4位でした。

『ここで一気に巻き返すぞ。』

私のやる気は最高潮に達していました。
なぜなら
10秒先に3位の女子チームがいたからです。

『絶対に抜かす!!』

と、気合いをいれ
笑顔でタスキを受け取り、走り出しました。

目の前に目標があるのは走りやすく
どんどん距離が縮まり
あっという間に追いつき、
そこでスパートをかけ突き放しました。

その後も男子を何人か抜き、2位のチームが見えるところまで持っていき、なんとかゴールすることができました。

全力で走り抜いた時先生が遠くから‥

『区間賞きたよ!』

と喜んで教えてくれました。

そして表彰式。
私達は全体で2位となり表彰されました。

そして、各区間賞の発表が‥

『4区区間賞‥〇〇さん』

私だ!呼ばれた!
喜んで前にでると‥

なんともう1人喜んでいる女の子がいました。

何がなんだかわかりませんでした。
すると‥

『え?同姓同名?同じ区間で?』
と、マイク越しに話す責任者の声が‥。

そして、

『〇〇小学校の方です』

と発表があり、
私の目の前で女の子は泣きながらな喜びました。

正直私は、
区間賞を取れなかったことより
私では無いのに喜んでしまった事実に
恥ずかしさで胸がいっぱいになり
今すぐその場から逃げたい。という思いでいっぱいでした。

ですが、残酷なことに
その後私は、色んな方々から

『区間賞残念だったね。』
『あんな間違いをするなんてひどいね』
『彩夏ちゃんも速かったよ!』
『また来年、頑張ろ!』

と、声をかけてもらい
その場から立ち去ることができませんでした。

私はとにかく恥ずかしくて、恥ずかしくて
でも言えなくて‥
そんな、辛い思いで家に帰りました。

後日。
先生から駅伝の時のタイムを知り、トップの子と3秒差だったことを知りました。

その時初めて
恥ずかしいではなく、
悔しいという思いに変わりました。

市内の駅伝大会で
同姓同名の人が同じ区間を走り
3秒差で1位と2位を争うなんて
誰が想像できたでしょうか。

今でも
悔しいという思いは残っています。

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次に私が出会った同姓同名の子は
私が高校生の時。

職業体験という名目である保育園に行き
先生のお手伝いをすることになりました。

私達が最初に任されたのは
3歳〜6歳のクラスでした。

『10時半になるまで、ここにいる子達と遊んでください。』

そう先生に言われ
赤ちゃん以外のクラスの子達が一緒に遊んでいる広いプレイルームに入りました。

そこには、元気いっぱいの子供達がいました。

早速遊び始めると
『お姉ちゃん、これ読んで!』
と、女の子が絵本を持ってきました。

『いいよ』

と言って読み始めると
どんどんまわりに子ども達が集まってきました。

真剣にお話聞いてくれる子供達の横顔を見て

『可愛いな』

と思っていた矢先
遠くから、私をみている視線を感じました。
その方向を見てみると‥

まだ、歩くことができない小さな女の子が
私をじっとみていました。

『こっちにおいで』

私がそう言うと
恐る恐る近づいてきます。
そして、私の膝にすわりました。

その女の子が私の所にくる頃には
みんな絵本に飽きてしまい
周りを走り回っていました。

そこから時間になるまでずっと
女の子は私の膝の上で真剣に絵本を眺めていました。

それから
その女の子は私と離れると泣くようになり
私は特別にその子のクラスで過ごすこととなりました。

『この子、なんて名前ですか?』
私がそう聞くと
『あやかちゃんって言うんですよ』
と、先生に言われ驚きました。

『あの!私もあやかって名前なんです!』
『あら!同じ名前だなんて、、何か感じ取ったのかしらね?』

私は同じ名前のその子に
心惹かれ、お散歩。お昼ご飯。お昼寝。お迎えまでの時間。それらを全て一緒に過ごしました。

そして
職業体験終了の時間。

『皆さんお疲れ様でした。今日は皆さんが来てくれてとても助かりました。みなさん、この保育園に是非就職してください。笑』

そう、責任者の先生に言われ
全員嬉しくて笑ってしまいました。
その時…

部屋の奥から、
あの女の子の泣き声が聞こえてきました。

『もっと一緒に遊びたかったんだよね?』
とあやしている先生の声が聞こえ
私もなんだか寂しくなりました。

その泣き声を後ろに帰ろうとした時
1人の女性がお迎えにやってきました。

『今日もありがとうございました。』
『あら、〇〇さん、お疲れ様です。…あやかちゃーん、お母さんがお迎えに来たよー。』

え?

まさか…

私はすぐに保育園に戻り先生に確認しました。

あやかちゃんって
漢字はどう書くんですか?

『あやかちゃん?彩るに夏って書くわよ?』

一緒だ。。。

そう
私に懐いてくれたその女の子は
私と同姓同名だったのです。

ある調査によると
同姓同名の人物と会ったことがある人は
調査した全体の9%だったそうです。

これが正確かどうかはさておいて。

同姓同名の人物とここまで関わりのある
エピソードを持っている人は
9%のうち、どれくらいいるでしょうか?

良くも悪くも
私の記憶に残るこの2人が
今も笑顔で過ごしている事を
願うばかりです。

次の話(#10 病院のトビラ)は
私が高校生の時に感じた
病院のトビラの重さについてのお話です。

最後までお付き合い
ありがとうございました。

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