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京都染・清流館にて

京都 染・清流館にて2021年4月9日より開催されている第2回全国大学選抜染色作品展にて、最優秀賞を頂きました。

世界でも稀な染色専門美術館で行われる若手を発掘する展覧会でこのような賞をいただけたことを、本当に嬉しく思います。
内定のお知らせを受け取った時は信じられませんでしたが、ようやく実感が湧いてきました・・・日々地道に続けてきたことが日の目を浴びたようで、大変励みになりました。

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作品は、現在取り組んでいる修士論文のテーマにも通ずるものです。日本と韓国にルーツを持ち、現在は台湾で制作する自分が、どういうものをつくれるのかと日々考えてきました。

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6月に台南で行う予定の個展では、このテーマからひとつの結論を導き出したいと考えています。また、台湾から様子をお知らせします○
本展覧会に推薦くださった金沢美大の大高先生、遠隔での展示・搬入に常にご配慮くださった担当キュレータの深萱さん、関係者の皆さま、そしていつも応援してくれている家族に感謝です!
どうもありがとうございました。

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5最優秀賞「ものこころへの」金沢美術工芸大学・山中彩(1)

作品名 「ものこころへの」
形態:タペスリー
素材:シルクオーガンジー、亜麻布、樹皮布(タパ)
技法:刷毛染め糊防染、錆染め、天然顔料による筆描き、箔押し
寸法:シルクオーガンジー 240*110cm ×2、麻布 140*140 cm、タパ (樹皮布)75*100cm

○作品コメント
もの・身体・空間を包む布に施される色彩と造形に、日本と韓国の包みの文化や、台湾や南太平洋で見られる樹皮布の文化に共通する面白さを感じています。それらの布に施されるのは自分や家族、民族の誇りを表す色彩や紋様の造形であり、それはものだけでなく人の心をも包み、毎日の生活を豊かにするものでもあります。
生活を過ごす空間を華やかに包むものとして、作品の手前にはシルクオーガンジーを間仕切りとして見立てました。
その奥の左手の作品は、韓国のポジャギや日本の風呂敷の文化を引用し、なくなりゆくもの、朽ちてゆくものを儚くも美しく思う気持ちから、麻布に錆染めを施しています。
右手奥に配置する樹皮布は「織物以前の布」とも言われており、台湾の天然染料や顔料(ウコン、茜、クール、檳榔、柿渋など)を用いて、山中家の家紋に由来する紋様や、故郷宇治の山の風景、そして台湾での暮らしの中から見つけた模様をかけあわせて彩色しています。
日々刻々と変化を続ける時代に、形を変えても残っていくものづくりのありかたを考えています。

家紋について

自分の家の家紋を知らなかったので、調べてみたところ、父方の祖父の袴に「みつわちがい」の紋が入っていたとのことでした。

みつわちがいとは、一般に三つの輪が重なり合っている紋ですが(祖父の袴の実物を見ることができなかったので、実際の紋の細部は不明)、

「人はひとりでは生きていけないので、集まっての力を重ねていこう」といった意味があるそう。

ところで私は昔から何故かよく「ふたつの輪が重なった模様と山」を描いていて、家紋の由来を聞いたときに、不思議と近しい感覚を覚えました。

2019年 SKLo  「生活の紋」DM

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「家紋」とえば、その歴史的な背景にある文脈と結び付き、ともすれば権威的なイメージを伴ってしまうものでもありますが、新しく作り変えたり、アレンジすることもできます。

私は今回の作品の制作を通してこれらの模様を、自己のアイデンティティーを記す模様・装飾の考えと結びつけて樹皮布、風呂敷の作品の中に取り入れました。

2021年 「ものこころへの」樹皮布作品(部分)

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「第2回 全国大学選抜染色作品展」
http://someseiryu.net/topic_page.html
○会期:
2021年 4月9日(金)~5月5日(水・祝)
※月曜休館
午前10時~午後5時
○場所:染・清流館(明倫ビル6階)
○入館料:大人300円、学生200円
○休館日:月曜休館

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