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2023年をはじめるために

2023年がスタートして、多くの人たちのfacebookの年末年始の投稿を読ませていただきつつ、
私自身は喪中なので、何も投稿をするつもりはなかったのですが、
うっかり1年ほど前に書いていた自分の日記のようなもの(echoにひとりで書き残していたもの)を読み直してしまい、今かなり動揺しています。
だから、その動揺を治めるために、今の気持ちを文章にして書き残すことにしました。(2023年を気持ちよくスタートするためにも!)

女性脳は、過去のことも昨日のことのように思い出せるといいますが、書き残して忘れていたことだったのに、読み直したらあの時のことが本当に「昨日のことのように」思い出されて、涙が溢れ出てきました。

書き残していたことの詳しい内容は割愛しますが、仕事での出来事と、母とのやり取りの記録です。

ちょうど1年前くらいから、「この出来事については忘れたくないな」と思ったことだけをメモのように書き残していました。
大体が「人生にそう何度も起きないだろうこと」ばかりでした。
そして、「どこかに書き残してしまえば忘れてしまえる」という思いもあって、シンプルに自分にだけ分かる内容で書いていました。つまり、忘れてしまいたくなる程度には辛いことが多かったのだと思います。
そしてそれは成功して、読み直したらあっけなく気持ちが1年前に戻されたのでした。

2022年は、本当に感情が色々な方向に揺れ、だけれども「解放」もされた年でした。後半は、2023年に向けての準備を進めることもできたと思います。
何より、私にとっての豊かな生き方とは?を考える時間がたっぷりありました。

・毎日自宅のベッドで寝起きできること。
・冷蔵庫に肉や野菜を入れておいても腐らせることなく料理ができること。
・週に数日は完全な休みが取れること。

そういうことが、「豊かな暮らし」なんだなと感じる。と友人に言ったら
「それ、みんなやってることだから!」
と言われてしまい、ああ、そうか。と納得したのを覚えています。

私にとっては、毎日休みなく働くことは、とても楽しく充実していて、それも「豊かな暮らし」でもあったので、それを手放すことを考えていなかったし、むしろ、手放したくないと思っていたところがありました。
(10年以上そんな生活をしていたように思います。)
でも、みんながやっているらしい生活を手にした時に、「ああ、こういう暮らしも良いものだな」と素直に思う自分がいて、過去の私はどこかで、みんながやっているらしい生活を手にしたくないと思っていたのかもしれない、というところに思い至りました。

当然、そんなものの価値観は人それぞれなので、何がいいとか悪いとか、そんなことはどうでも良くて、私の中にある私にとっての豊かな暮らしは、きっとこれからも変化していくのだろうと思います。
そういう意味では、2022年は結果的に「一旦停止」の1年となりました。
そして、あえてそうしていました。

こうして文章を書き始めたついでに、今日(2023年元旦)感じたモヤモヤも書き残してしまおうと思います。

2023年元旦の日経新聞の特集「打ち破れ 教育の狭い世界を2023」に、ありがたいことに私個人のことを取り上げていただきました。
この記事の取材は、2022年11月には受けていて、私がすでに大日向小中学校を離れていることや、日本イエナプラン教育協会の理事も離れていることも承知の上での取材でした。(イエナプランの話が中心の取材であれば断ろうとお電話で記者の方と話をしたところ、「理事を離れていても良いし、(少し私が話した)未来の話が面白いからそういうことを伺いたいんです」と言われたので取材を受けることにしました。)

取材してくださった方は、とても丁寧にインタビューしてくださいました。
2時間近く多岐にわたって話をしましたし、過去のことだけでなく、未来の話もあえて多くさせてもらい、心から感謝しています。
特集の趣旨からも、未来の話はとても大事だと私も感じていたからです。

しかし、実際に今日読んだ記事は、過去のことばかりで、私のことをよく知っている人は私が絶対に使わないだろうと分かる「オランダ流」などという表現が入るような「いつもの」見出しになっていました。

年始から、「あぁ、やっぱりこういうことになるんだな」と感じて暗い気持ちになったというのが正直なところです。新聞は、事前に記事の内容を確認させていただけないですし、担当記者の方だけの意向で記事がつくられるわけではないことも理解しています。(ですので、仕方がない、と思いつつ、やはりこうして書かずにはいられませんでした。)

一番気になっているのは、イエナプランから少し距離を起き始めている私が、あたかもこれからも「イエナプランを広めていきたい!」と思っているかのような見出しになっていることです。
現在イエナプランに関わっている人たちに、迷惑をかけたくありませんし、事実ではないことを事実だとは思われたくありません。

私は、イエナプランのコンセプトには深く共感しています。
でも、以前から何度も繰り返し公言していることではありますが、そもそもイエナプランこそが解決策だとか、素晴らしいとか、そんな風には思っていませんし、大日向小中学校や協会から少し距離を置いた今、より広い視野で日本の教育について見つめ、公教育に選択肢を増やすためには何を具体的にしていけば良いのか、ということに色々な形で取り組んでいきたいと考えています。

イエナプランのコンセプトは素晴らしいです。
そして、そのコンセプトと日本の学習指導要領を繋げて考えて、日本の学校現場でどのようにコンセプトを体現することができるか??を考えて実践していくことや、それをサポートすることが、私は大好きでした。
そして、それは私の強みでもあったと思いますし、今もイエナプランのコンセプトには深く共感していますし、それらを体現することの難しさも理解しているつもりです。

でも、現在は、「イエナプラン」という名前に囚われずに、より広い世界から「共生社会をつくる」ということや「民主的であること」などについて少しでも実現に近づくために色々な視点から勉強したいと考えていて、それこそがイエナプランが語ってきた「世界に目を向ける」ということでもあると感じているところです。

だからこそ、記事の「見出しにとらわれず」、記事の内容を読んでほしい。そんなふうに思います。(内容はそんなに引っかかるところはない…はずです。笑)
担当記者が記事の最後に書いてくれた、

「大切なのは選択肢を増やすこと」。一人ひとりの子どもに適した教育を提案できないか。模索は続く。

日本経済新聞2023年元旦号


が、2023年からの「私」になります。(今までもそうでしたが。笑)
そして、もう少ししたら、模索の具体的なことをまたご報告させていただきたいと思います。

どうぞ、本年もよろしくお願いいたします。

2023年元旦
中川綾

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