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男性ブランコ単独公演「駐車場」@あうるすぽっと、京都府立文化芸術会館、飛行船シアター(2024-05-28~06-29)

※配信期間中はネタバレバレの下記ご注意ください。


”停まれども停まれども コントはまわる くるくるまわる”


男性ブランコの単独公演。

今年1月に開催の第一報があって、なんと早いお知らせ!と思っていたけど、あれよあれよという間にそれもついに終わってしまった。あっちゅう間。


4箇所で26公演。昨年からすると期間も公演数もぐっと増えた。昨年は平井さんの喉がしんどそうな時期もあったりして、長丁場大丈夫かなと心配がちらりとよぎったけど、元気に終えられたようで何より。(千秋楽で指を負傷したようだけども※千秋楽後のインスタライブにて)


8公演申し込み、3公演見に行けることに。昨年の【やてみた】では7公演申し込んで全部ダメ、追加公演にギリギリ滑り込めたことを考えるとありがたい状況。本当は1公演見に行って、また見たいと思って公演数を増やすのが見に行く者として理想的だなと私は思っているのだけど、そんな悠長なことでいてはひとつも見に行けないのがいまの男性ブランコ。ここは決め撃ち。池袋、京都、上野にお邪魔することに。

チケットはすべて公演当日10時にスマホにくるのだけど、池袋ではとちり席で舞台全体が見やすく、京都では舞台近めの上手側で表情がよく見え(額装屋さんの笑顔のビームが照射された)、上野では下手側と、それぞれの角度から見ることができて、これ以上ない堪能の機会だった。

会場内


入ると標識たちがそこここに。駐車場だからか。穴掘ってる標識?

さまざまな標識がお出迎え(池袋)
標識?(上野)


グッズ販売は今公演のグッズと、【嗚呼、けろけろ】の時のグッズ、歴代ピンバッチがあった。トートバックのサンプルが標識のところにかけてあって、手触りが確かめられたのが嬉しい。結構カシャカシャする。紙物大好きな人間としましては公演パンフレットが楽しみで。大容量で、デザインはかわいくて、さらには透明カバーまでかかっていて嬉しい。浦井さんのエッセイは本当に読みやすい。古カーナビ旅おもしろい。


舞台上には白いモニュメントがいくつか。床には白線。赤?ピンク?っぽい照明に暗く照らされて、不思議な曲が流れて不穏な感じ。

池袋
上野

池袋にて、公演中・終演後の写真撮影の禁止、開場中のいまは撮影OKだよのアナウンスに、客席にいるそれぞれが写真をパシャパシャ(素直)。これは【やてみた】の時のように最後何か仕掛けがあるんだなと思えて心がルンルンする。


医者話

モニュメントを2人が動かして白線内にセッティング。【やてみた】の時は衣装替えを舞台上で行っていたけど、今回は舞台セッティングを2人が行う。所作が丁寧で、見ていられるし待っていられる。
患者と医者。友と友。上野ではなぜ注射器を使うのかの説明があって楽しかった!お医者さんの白衣の袖のボタンが留まってなかったのが少しだけ気になった。スッと着替えられるようにだったのかな。「僕血(俺血)パーティー」が光って見えた。


OPV

ステップ踏みたくなる(それにしては拍が複雑か)軽快で不思議な音楽。スタッフクレジットも。


心中察

2人とも眼鏡なし。コンタクトなのか裸眼なのか。裸眼であれば浦井さんは大丈夫なのかと、自分も視力弱いのでちょっと気になる。(後日インスタライブで裸眼だったと教えてくれた)
平井さんのやる大人の役は年齢不詳なことが多い。お察丸様もいくつだったんだろう。身の回りを整えてからって言ってたのにぐっと舵を切るお察丸様。吾郎兵衛さんも大変ですね。
池袋、京都では舞台背景に大木をあらわす照明があった気がするけど、上野ではなかった。会場の設備によるんだろうか。


幕間V

それぞれのネタとネタの間に映像あり。タクシードライバーと不思議な小さい車。学生ズと不思議な小さい車。眼鏡ぼっちゃんズと不思議な小さい車。池袋で見た時より、京都・上野の時の方が映像が短くなっていた。確かに初めて見た時に長く感じたから、京都で短くなってるの感じて、おっ!となった。


待時間

縦長のモニュメントが舞台中央に動かされて、その横に平井さんが立ったのを見て(待ち合わせ?)と思ってその通りだった時は心の中でぐっと拳握った。浦井さんが真っ直ぐ芯を持ってズレている役をしている時が好きだ。それに平井さんが巻き込まれて、状況が転んでいくうちに気づくと両者ともが変化しているようなネタが好きだ。【しょんぼりサーベルタイガー学園前】でやっていた『長い渋滞』を思い出した。あれもとても好きだった。あれ以来『長い渋滞』は見れていないけど、こうやって違うネタでひょこっとその要素に会えると嬉しい。ネタの焼き直しとかではなく、男性ブランコの中に確かにあるものとして再会できるのが嬉しい。今回の単独で一番好きなネタ。「集合知識・集合知識でやらせてもらってます」好き。


物物語

お客と店主。平井さんが素敵なおべべに身を包んで、ゆっくりゆっくり現われて沸く会場。ここでも浦井さんが真っ直ぐ危ない+失礼な奴で楽しい。上野では平井さんの地団駄っぷりがすごかった。イイーッ!てなってた。
物を見定めるはずの店主がサングラスをかけていて、物語を価値基準としていたのは、大切なものは目に見えないということか、などと脳内であれとこれを繋げはじめてしまうほど魅力的な衣装と設定だった。
ネタで浦井さんのかぶっていたキャスケットはBSよしもとでやっているニコイチ出張にて広島で買った物、平井さんのサングラスは昨年の単独慰安旅行先で買った物だったという話で、使われていた小道具にも物物語があった。お後がよろしい。


額装雨

額装屋とお客。【やてみた】でも絵にまつわるネタがあったなって思い出した。
今回のライブの中で一番ぐっとくるネタだった。説明されていない部分にいろいろあるんだろうなって感じられるネタ。
池袋でだったか、絵を考える時に座る平井さんが足が床についてない状態だったからか、なんだかかわいらしかった。京都では席位置もあって、浦井さんが(おっ)って気づいて大きな額を彼にあてるところがよく見えた。細かくやってるんだなぁ。オチも好きだったな。急いでるんだろ?って確認したくせにー。
【やてみた】の時のように終演後に完成した絵がロビーに置いてあったりしないかなってちょっと探してみたけど見当たらなかった。池本画伯もう描いていないのかな。


地域祭

浦井さんの独白から。上野でのサスライトがきれいで、暗いのに明るい満月の夜みたいだった。平井さんの粒のそろった通る声で怖いことを言われると有無を言わさず飲み込まれてしまう。京都ではスコップでドスっとやるところでヒィッて声が上がってた。しっかり怖かったもんなぁ。上野ではなかなか冗談にしてくれないいけずな平井さんだった。

EDV

スタッフロールとともに各ネタのタイトルが!男性ブランコの公演ではこうやって表記してくれるの珍しい気がする。スタッフロールをぼうっと見ながら鹿と巳と鳥と馬がいるなと思う。上野ではこの時に席を立つ人がいて、どうかこの後もうひとつネタがあることを知っていて、それでも電車の時間などでやむなく退出であれと願う。まだあるって知らずに帰っていたらあとで知ってぐわーんってなるよな。。


祭ノ跡

医者話の2人。池袋では枠線外から始まってたけど、上野では枠線内から始まっていた。飛んできても地中からきても出られない街、カナダ。なんであそこはカナダだったんだろう。相場はブラジルな気がしてしまって、カナダの謎解けず。モニュメントをすべて動かして作られたセットの姿が、なんだか教会みたいと思ったけどまったく違う仕掛けだった。池袋、京都では最後歓声が上がっていた。上野では初見じゃない人が多かったのかもしれない。



終演後

会場を出ると男性ブランコの2人が壁に、天井に投影されてる。昨年に続いての演出で、はあ~~~と見とれる。見回してみると標識たちにも少し変化があって、最後の最後までにくい演出。

池袋
京都
上野


配信映

バックステージツアー
光る小さな車(カタチくん)が巡る池袋のバックステージツアー。カタチくんは傍若無人でガンガン攻める。グッズ売り場のワクサカさん、パソコンぱちぱち中のマネージャー陣、休憩中の男性ブランコそれぞれに突撃。しっかりやりとりしてくれる浦井さんと寝ぼけ中?の平井さん。カタチくんの中の人は誰なんだろう。誰かっぽくなくて新鮮。少ない時間ながら平井さんという生き物の生態が改めて気になる。



御上参(おのぼりさん)

池袋は【トワ水】以来、近くに用事があればサンシャイン水族館に寄るようになった場所。水族館に縁がなかったからこれまで知らなかったけど、1年のうちで展示が変わったりするんだということを知った。タチウオの展示を前にすると大人たちは必ずといっていいほど食べる話をし始めるということも知った。そんなこんなであの辺りはうろうろしていたから、地理が!わかる!すごく早く着いても!時間がすごせる!
同じ建物内にある図書館でふらふらしていたら公演チラシが掲示されていた。わくわくする。
あうるすぽっとはホワイエも広々としていて、窓が大きく、明るくて過ごしやすかった。初日後に男性ブランコ2人がそこで撮っていた写真のポーズで記念撮影する方々を見かけて、楽しんでいる姿が素敵だった。


京都は昨年ぶり。行ったことのある場所だから~と高を括っていたら、道を間違えて開演ギリ着になってしまった。地図を持たずに堂々と真逆の道を歩み、間違いに気づいて急いで走る。自分の人生の歩み方みたい。寿命の何年前に気づけたらギリ着で間に合うんだろう。閑話休題。終演後に舞台上の写真を撮っている方たちがパラパラいて、池袋ではダメだったから(あれ?京都公演は撮ってもいいのか?)と思っていたら係の方が慌てて写真撮影ダメですと声をかけていた。池袋では開場中にばっちりアナウンスされていたけど、京都ではなかったんだろうか。ギリ着だからその辺りわからず。鴨川ホルモーで男性ブランコがご一緒していたヨーロッパ企画の方々をお見かけした。

水無月の季節なので、京都の和菓子屋さんの水無月を食べ比べた。昨年よりもさらに水無月なこの時期に開催してくれてありがとう。値段も味わいも様々で、それぞれに美味。昨年と同じホテルに泊まろうとしたら、宿泊費が昨年の倍になっていてビビった。昨年寄った喫茶店はちょうどいい量とやさしい料金のままだった。流行っているお店なのかどうか一見の自分にはわからないけど、お店の前で待ち合わせして入っていくおじちゃん達が羨ましく思えた。また寄りたい。

上野は自分にとって東京の中で一番馴染みのある場所なので、劇場までの道も安心でずんずん進めた。雨の日だったけど、公演の中のひとつのネタを思い出すとそれもまたオツな気がしてくる。
ロビーの照明が明るすぎず落ち着いた感じ。ファンの人からの祝い花や祝い風船(?)が届いていて、どれも公演の"駐車場"にかかった仕様になっててかわいかった。飛行船シアターというと自分にとってはハロプロちゃんたちのバースデーイベント開催会場のイメージ。ここで男性ブランコが見れるのかぁと妙な心地。私が見た池袋、京都ではなかったけど、上野では1ネタごとに拍手がわき起こった。上野ではコミカルさが増していて楽しかった。


私は【てんどん記】以降の男性ブランコファンなのだけど、【てんどん記】も【トワ水】も【やてみた】も【大サーカス】も【嗚呼けろけろ】も、おかしみの中に寂しさがあって、見るたびそれが印象的だった。寂しさといっても悲痛とか絶望というよりは、日中陽が当たっていてあたたかかった地面が夜になるにつれ冷えていく、みたいな寂しさ。触ると冷たくなっていて物悲しい。でもまた陽がのぼればめぐり会える希望のある寂しさ。
平井さんがネタの叩き台を作っているとするなら、単独ライブのネタ以外で見る平井さんからは特に寂しさみたいなものを感じることもないのに、単独ライブになるとなんでこんなに感じるんだろう。男性ブランコの純度が高い場所だと浦井さんの纏う哀愁がブースターとなって寂しさが拡張されるんだろうか?と不思議だった。
ここまで言っておいてなんだけど、今回の【駐車場】では寂しさを感じなかった。これまたなんでだろう。浦井さんが受けとる側じゃなく振り回す役どころが多かったからだろうか。思い出の場所が駐車場になっていたら少なからず寂しい思いが浮遊しそうなのに。自分の感じ方の話なのにうまく腑に落とせないでいるうちに単独公演が終わってしまった。



千秋楽後にインスタライブをしてくれて、あれこれ話してくれた男性ブランコ。

舞台上に印があるように見えなかったのにどうやってすいすいとセッティングしてるのか不思議だったのだけど、なるほどバミリはあったらしい。

26公演で動員のべ10000人!今後も場所や公演数を増やして、どんどんやりたいことを広げて行くんだろう。何を見ることができるんだろう。どんなやりたいことをつめつめしてくれるんだろう。

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