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人には適正がある

チャレンジ精神

アルバイトがどんどん楽しくなってきた。コツを完全に掴んだからだ。そうなると、他の職場、他の職種もやってみたくなった。この時期から積極的に先輩から紹介してもらった。
色々とやったが、それはまた別の話。

初めての土木作業員

ただ興味があった。やってみたかったのだ。それにニッカポッカを履いた逞しいお兄ちゃんが、すこぶるカッコ良くみえた。と言うか、ほとんど後者の理由で、出会いに胸がワクワクした。
わたしは産まれの性別は、一応男の子である。ただし、そう見られない時も多い。当時は、160cmちょっと体重50kgもない、モヤシっ子であった。髪はショートボブくらい。

間違った

朝は早かった。わたしの唯一の動き易い服、体操服を着て行った。おはようございます!!と当日の作業説明が始まった。すぐに場違いである事に気が付いた。アタリマエである。わたしの様な人は誰もいない。舐めているのか?
説明していた強面のおじちゃんは訝しげに何度もこちらを見る。「もしかして、バイトさん?」「女の子?」「出来るの?」

やっぱり怒られた

わたしは「今日はアルバイトで来ました。」「男です。」「よろしくお願いします。」なるべく元気に答えたつもりだったが、声は小さかった。
「じゃあ、とりあえず瓦礫を運んで。」
他の人はもう作業を始めている。砂利で山盛りになった金属製のバケツを両手に持ち、手際よく運んでいる。わたしもふたつのバケツを渡されたが、持ち上がらない。仕方なく両手でひとつのバケツを持った。それでもなかなか地面から離れない。全身の力を入れるとやっと持ち上がった。持ち上がったが、フラフラして歩けない。
「お前、マジか!??」
半笑いの怒号が飛んだ。

得手不得手、自分の事

それから軽作業に変えてもらい、一生懸命励んだ。最後には約束していた日当を頂けた。半分にされても文句を言えないと思っていたので、驚いた。そして、お礼を言った。
「人はそれぞれだからな。自分を知るのも大事だぞ。真面目なのは、わかった。もし、この仕事したかったら、男の筋肉つけといで。」って強面のおじちゃんに諭された。
わたしは男の子では生きられない。それを、痛感した1日となった。

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