アイデンティティークライシスの解決への第一歩:中国系日本人として「中国文化」をほとんど捨てる決心
こんにちは。
しばらくNOTEも更新できませんでした。というのも、最近は三つの仕事を掛け持ちしながら週6のペースで出勤しつつ、空き時間を利用して研究計画書の作成と基礎研究の復習に励んでいたので、落ち着いて何かを書くほど余裕はない状態です。
それでも、自分なりにまとめたい物事がいくつかあるので、本日より、またこまめに更新していきます。
明日は2020年10月1日、中華人民共和国(以後「中国」と略す)の「国建節(所謂、建国記念日)」と中華文化圏の「中秋節」が重なり、8連休の始まりです。毎年こう言った中国と中華文化の祝日が来ると、「一人の中国系日本人として中華文化圏の祝日と中国のイベントを祝うべきか」という葛藤に見舞われます。自分自身としては、中国にて生活していた時は家族や親戚が祝うからなんとなくついて言ってたのですが(特に、旧正月はお年玉がたくさん貰えて美味し物を食べれるから嬉しかったw)、中国を離れてからは、中華文化圏と中国に帰属意識はなく、祝う義務も無いという考え方でした。しかし、中国生まれ中国育ちの両親と親戚たちにとって中国と中華文化の祝日は「自分の祝日」であり、毎年家族や親戚から「おめでとうー!」や、「ほら、君もおめでとうと家族や親戚に言いなさい!」と半ば強制的に参加を迫られます。もう一つの点に至っては、中華文化圏と中国に帰属意識はなくとも、「中国の血を受け継いでいる時点で、中華文化圏と中国に帰属意識をもたないのは民族への裏切りではないのか?」と祝いたくなくても、罪悪感を感じてしまう事もあります。
中華文化圏と中国に帰属意識はなく、祝う義務も無いという考えに至ったのは、政治的な考えもあるからです。大学は東アジアの歴史と国際関係を中心に勉強したのですが、そこで中華人民共和国、中華民国台湾、太平洋戦争、日中戦争などにも焦点を当てました。いろいろ学んでいく途中で、中国共産党(特に習近平政権)のやり方に賛同できない点がたくさんあり、自分自身も「中国人の血を受け継いでいるが、文化的には日本の文化を軸とした多文化主義を貫き、政治的には民主主義と個人の権利・自由は絶対に守られるべき」というアイデンティティーを持っているので、親が言う「ほら、君もおめでとうと家族や親戚に言いなさい!」は自分の思考に合致しない文化と国に、強制的に帰属させられているという受け止め方しかありません。
そこで、大学四年生の時から一つの行動を実行し始めました。それは、徹底的に中華文化圏と中国に対する帰属意識を捨てることのみならず、親に宣言することです。要するに、自分と中華文化圏と中国の間のつながりを否定し、自分の思うアイデンティティーを貫くことです。歴史で例えると、明治維新で日本は徹底的に西洋に見習い、天皇を再び実権の中心まで持っていくなど、根本的な部分までを見直すことになりますが、それまで日本国内でも、国が植民地になり得る寸前で、江戸幕府のまま(もしくは新しい幕府)日本の統治を続けるか、それとも徹底的に制度、そして価値観という根本的な面から見つめ直すか、という問いに答えを出す時でした。一国の存続がかかっている明治維新を例に挙げるのは多少大袈裟かもしれませんが、それほど自分自身の「中華文化圏と中国に対する帰属意識」の葛藤は精神的に辛い物でした。
やり方は簡単です。まず、中華文化圏と中国の祝日とかになっても、自分から家族や親戚に祝福のメッセージを贈らず、いつもは両親がメッセージを送ってくるのですが、その時に「OO節は自分の文化の一部じゃない」と明言します。もちろん、伝え方はとても柔らかく、「OO節おめでとう!しかし、OO節は僕にとって、自分の文化の一部じゃないよ」という感じです。親しい友人達にもDMで直接「OO節おめでとう!」と祝福のメッセージを贈るのをやめ、あえていうなら、SNSで「OO節おめでとう!」と投稿しますが、これはあくまで「一人の外国人として」送るメッセージです。
実際、特に辛い事もなく、逆に中華文化圏と中国に対する帰属意識について考える必要もなくなったので、精神的にもとても楽になりました。今日も、母親から「明日中秋節だよー!」と言われるまで全く気づかないほど、中華文化圏と中国の祝日に無関心になり、本当の意味で「日本人」に近づいたと思います。
もちろん、大学院で東アジアの国際政治を研究する以上、中国の祝日で指導者が行う演説などは政治的なメッセージもたくさん込められているので、一人の研究者を目指すものとしては中国の祝日とその前後の動き(例えば、習近平や中国共産党の指導層による演説、視察、決断、もしくは人民解放軍の軍事パレードなど)は人の数倍アンテナを貼っています。しかし、これもあくまで「学術目的」であり、「一人の観察者として見る」程度に割り切っています。
今回は以上です、
ではまた。