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S2 - SROI:社会的投資利益率

*別プラットフォームで運営していた過去の留学記を移行したものです(留学期間:2016-2018)

Sustainability Studioのグループワーク、プロジェクトの紹介


ポスタープレゼンの時に少し書いたのだけど、このクラスでは企業の社会的責任や環境負荷を含めた「トリプルボトムライン*」を意識してプロジェクトを進めた。

*財務のみではなく、環境負荷や社会的意義を含めた企業実績の考え方

普段のデザイン思考のプロセスに加えて、プロトタイプを使ったユーザー検証に、専門家へのインタビュー。ビジネスモデルの組み立てもすれば、社会企業のインパクトを測るフレームワークのSROIを使った効果分析も。何とも、盛りだくさんなプロジェクトとなった。まずはプロジェクトレポートは通して見て貰った方がわかりやすいかと思うので、リンクを貼ります。


レポートはこちら↓

Streetlight kit of parts from Ai Miyazawa

私にとって新しいコンセプトだったのが、レポート後半のSROIの部分。金額的なリターンを測るROIではなく、"Social Return on Investment"として、社会に与える影響を測るというかまとめるというもの。

更に授業では、近年の企業の取り組み「EP&L(環境損益計算書)」についても学んだ。特にファッション関連の企業が、サプライヤーレベルまでの環境負荷を計算し、損益計算書のような形で発表している。数値にするのはとても難しく、突っ込みどころも多いけれど、数値化する事で見えないものが見え、翌年の目標値などを定める事ができる。何より、企業にとってのコミットメントを現すものとなる。

*EP&Lについてはこのサイトが良くまとめてくれているので、参照を
http://www.kering.com/en/sustainability/epl

さて、私たちはNeeds / If / Short term impact / Long term impactと4コラムでまとめるフレームワークを選び、更に通常のビジネスモデルでの提供価値に加え、社会的価値についての記載を加えた。どんなインプットからどんな活動をし期待されるアウトプットは何か?とまとめる事でビジネスモデルを社会的意義の観点から見る事ができる。

なかなか社会へのインパクトは数値化できないのだけれど、こうして分析すると見えてくるし、KPIが定まってくると思う。

このプロジェクト経験から感じた事は2つ
まず、どんな社会的意義が中心になったプロジェクトでも、なるべくプロジェクト単体で持続的に活動費を生み出す形が理想的なのではと感じた。

資金調達は、企業家たちの悩みの種である。もちろん、継続して資金の募る事も意義があるけれど、ビジネスとして回るようにするのが、社会貢献のひとつの形でもあるのではと思う。

そして2つ目。逆に従来の利益追求型のビジネスでも、社会的意義や環境負荷を考える必要に迫られていること。事業の中で拡大を続けてきた経済だけれど、安定成長を望むのは無理があるのではないか?との視点にはっとした
今のレベルの経済活動では、1年に地球数個分の資源を使っているという。地球の資源が尽きては、ビジネスどころでない。

このクラスを取るまでは、私も利益史上主義でしかなく。恥ずかしながら、環境負荷や社会的意義を考えた事は無かった。プロジェクトのおかげで、とっても大事な価値観を持つ事ができたと思う。

ピッツバーグに住む友人が通っていたMBAでも、サスティナビリティを中心に据えていたと聞いた事があるのだけど、他のMBAでもこんなクラスがあるのだろうか。SROI、関わっている仕事やプロジェクトで、少し立ち止まって考えてみて頂ければと思う。


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