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天皇杯ラウンド16 鹿島 vs 横浜FM 現地観戦レビュー

9月25日、カシマスタジアムにて行われた
第99回天皇杯ラウンド16、鹿島アントラーズvs横浜F・マリノスの試合
(4-1で鹿島勝利)を現地観戦してきました。
転勤などにより約4か月ぶりの投稿となりますが、
今回はレビューというよりも現地での感想と言ったほうがいいかもしれません。
ピッチサイドで感じた事、持った印象を率直に綴っていこうと思います。

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拙い立ち上がりと充孝のサプライズ

試合開始直後から、この試合における流れは出始めていた。
マリノスがボールの主導権を握り、鹿島がそれを受ける形。
鹿島は中央を2CHと2CBがキッチリと中央を閉める代わりに
SBと相手WGの1対1は受け入れる守備対応をとった。
(もちろんSHのサポートはあったが、マリノスSBも高い位置を取ってくるためそちらのマークを優先していた気がする)

とにかく立ち上がりは良くなかった。
セカンドボールを効果的に繋ぐことも、
敵陣深くでプレーすることすらままならなかった。
閉塞感すら漂っていたものの、
そんな状況下でもたらされた充孝からのサプライズ弾には驚いた。
積極的な飛び出しで最終ライン裏をケアしていたマリノスGK杉本。
この日も幾度となく果敢な飛び出しでピンチを防いでいたが、
先制点のシーンでは飛び出しを躊躇し、結果充孝に自由を与えてしまった。
複数のプレー選択肢を確保した充孝のファーストタッチは見事だったし、
冷静に股下を通したシュートもまた見事。
立ち上がりに軽いプレーでボールロストをし、ピンチを招いた時には
「充孝さん頼みますよ...!」と思ってしまったのだが、そんなことは忘れてしまうくらい強烈なプレーだったことは確かだ。

手に汗握る小池とエリキのマッチアップ

前半において試合のカギを握っていたのは
間違いなく鹿島左SB小池とマリノス右WGエリキのマッチアップ。
ちょうどメインスタンド鹿島ベンチ裏で観戦していたので、
前半ずっとこの見ごたえあるマッチアップを堪能できた。

前述したように鹿島は中央の数的優位性を保つため、
常にSBは相手WGとの1対1を受け入れざるを得ない状況にあった。
鹿島のSBの至上命題は自然と「相手WGに抜かれない事」になったのだが、
この命題を小池がうまくクリアできていたとは言い難い。
事実軽率なプレーからPKを与えてしまったことは残念だった。
小池の申し分ない攻撃力は4点目のプレーで示している通りな以上、
守備対応での成長を促していきたいところだ。

とはいえ、エリキのボディバランスとステップワークは惚れ惚れした。
ほぼ真後ろで見れたからこそわかる細かなボディフェイント、
加速と減速の境目が非常に曖昧で、
カットインをチラつかせながら小池が足を止めた瞬間の急加速。
PKに繋がったシーンも、小池が見せたほんの僅かな隙を的確に捉えた突破だ。
「止まった」と思った瞬間、エリキは加速していた、そんな印象もあった。

とにかく充孝がチャンスを決め切ってくれたことが救いだった。
PKを決めて満足げな表情を見せていたエリキは
2失点目を喫した後に明らかにフラストレーションを爆発させていたし、
その結果彼自身のプレーにも粗さが目立った。
ボールタッチ、ボディコンタクトへ徐々に感情が移り、
本来とは違った姿を見せていってしまった。

後半もエリキを中心に据えて攻撃されたら面倒だな、と思っていたものの...
それは杞憂に終わってくれた。
エリキ本人は右サイド大外でボールを待っていたが、
マリノスの攻撃は左サイドで完結することが多くなっていく。
(左サイドも有効に使え、と指示があったのか?)
マリノスのビルドアップを左サイドに封じ込め、
前半よりも自由なフィードをさせなかった鹿島の巧さもあったかもしれない。
特に永木とレオ・シルバの頼もしさは言わずもがな。
攻守両面において、彼らぬきに今日の勝利はなかった。

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現地で感じた伊藤の駆け引きの巧さともどかしさ

もともと機を見た裏抜けのセンスは随一の伊藤翔。
幾度となく彼がDFラインとの駆け引きを制し裏を抜けても、
肝心のボールが彼に届けられるシーンは少ない。
そこがどうも目についてしまう。

伊藤の動き出しを感じ、彼の意図を明確に掴めるのは
今のところセルジーニョと白崎あたりか。
充孝や小池、伊東と伊藤の関係はこの試合を見た限りでは改善の余地ばかり。
伊藤が抜け出しを完了したころにルックアップをすることもしばしば。
そこがどうも、もどかしく感じるところだ。

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おめでとう充孝、ありがとう充孝

後半早々に交代したものの、中村充孝という選手が果たした役割は絶大。
文字通り彼が試合を支配した。
決めるべき時に決め、やるべき事をやるべき時にしたのだから言うまでもない。

身体能力で相手を封殺できるブエノと
カバーリング、リーダーシップを発揮する犬飼のコンビは可能性を感じる。
(2人とも、自陣深くからのフィードは改善してほしいが笑)

永木とレオはもう本当に頼もしい。
特に今日安定してプレゼンスを発揮していた永木には頭が上がらない。
伊東や小池が判断に迷えば瞬時にサポートしていたし、
攻め上がりのタイミングも抜群。
あと意外と言ったら失礼かもしれないけどトラップ巧い。
ファーストタッチでボールの置き所をミスったシーンはあったかな?
シュートブロック時に身を投げ出すタイミング、コースも流石。

とにかく快勝できたことは幸い。
ラウンド8はまさかのHonda FCとの対戦になったが、
天皇杯を掴むチャンスは整いつつあるはず。
ACL敗退にもめげず戦ったこのクラブならきっと、勝てるはずだ。

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