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【アシスタントレポート】数か月前まで高校バスケ部員だった、記者の卵が見た関東大会

4月からアシスタントをしてくれている山宮くんに、トレーニングも兼ねて時々記事を書いてもらうことにしました。今作は記念すべき第一弾。多少私の方で手直しを入れましたが、ウインターカップまで高校バスケをまっとうした彼ならではの、熱いレポート記事です!

はじめまして。私は青木美帆さんのもとでアシスタント業務に務めさせていただいている、山宮です。小学校から高校までの10年弱、バスケットボールに選手として取り組んでいました。今春入学した大学では競技から離れることを決め、選手以外の方法でバスケットボールに関わる活動を模索していた中で、フリーライターとしてバスケットボールに携わる青木さんの仕事に興味を持ち、関わらせていただくことになりました。

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↑山宮くん近影(たぶん)。口数は少ないけど内に秘めたものは熱いです

そんな私は、6月5日に開催された関東高等学校男子バスケットボール選手権大会で、初めて取材の現場に同行させていただきました。そして、この大会について執筆する機会をいただきました。

1日間というわずかな時間でしたが、その中で私が印象に残った試合や、今後に期待される選手などを紹介させていただきます。ぜひお読みください。

関東高等学校男子バスケットボール選手権大会とは?

関東地区の優勝を争うトーナメント。AとBの2ブロックに分かれて開催され、Aブロックは各県予選の上位チーム、Bブロックは下位チームで構成される。

今年度は各ブロックともに決勝戦は行われず、Aブロックは前橋育英(群馬1位)と八王子学園八王子(東京1位)、Bブロックは実践学園(東京6位)とつくば秀英(茨城2位)のダブル優勝で幕を閉じた。

印象に残った試合のレポート

選手の意地がぶつかり合い接戦の激闘となった、Aブロック準決勝の土浦日本大(茨城1位)×八王子学園八王子(東京1位)の試合を紹介させていただきます。

序盤、土浦は八王子の1-1-3のゾーンディフェンスに対して、素早いパス回しからペリメーターのシュートを沈める。さらに、試合を通して5スティールを記録した宮内柊人(11番・3年)を筆頭に激しいディフェンスからターンオーバーを誘発し、速攻で加点。開始4分たらずで10-2のランに成功。八王子は留学生センターのンジャイ・ムハマドゥムスタファ(5番・2年)を起点に追いかける展開が続いたが、神長龍昇(24番・3年)らの外角からの攻めで少しずつ点差を縮め、ハーフタイムを36-36の同点にして折り返す。

八王子は後半開始早々の半田峻基(22番・3年)の連続スリーポイントなどでこの試合初のリードを奪うと、内外から積極的に加点し、第3クォーター中盤で8点のリード。しかし、タイムアウト明けに本来のディフェンスを取り戻した土浦は、朝日海安(10番・3年)のスリーポイントやリバウンドで徐々に点差を縮め、終盤には土浦がリードを奪い返し最終クォーターへ。

八王子はゲームハイの28点を奪取したムスタファを中心に食い下がるも、土浦の厳しいディフェンスに苦戦しほぼ互角の展開に。八王子は北見凛太郎(11番・2年)、土浦は佐伯峻介(4番・3年)が要所でスリーポイントを沈め、両者流れを譲らない。ゴール下の攻防はさらに激しくなる中、土浦は八王子のムスタファへのディフェンスやリバウンドに手を焼き、ファールがかさむ。

同点で迎えた残り48秒のタイムアウト明け。土浦は直後のオフェンスでシュートが落ち、セカンドチャンスも決めきれずに攻守交代。八王子はボールを回しチャンスを見計らう。3.5秒、エルボーからジャンパーを決めたのは、それまで1/6本とシュートが振るわなかったガードの菅野希一(6番・2年)。これが決勝点となり八王子は決勝進出を決めた。

ゲームの入りから勢いを見せた土浦日大が優勢に見えたが、徐々に持ち味を発揮した八王子。後半からは互角の戦いを見せた。八王子は205センチのムスタファを中心に攻め、対する土浦は人数をかけてそれを防御。終始インサイドでの攻防に焦点を当てられた試合であったが、最後はミドルシュートで勝負あり。改めてリバウンドやファールが大きく勝敗に影響するということを実感させられる試合であり、要所でリーディングスコアラー以外の選手(土浦=朝日、八王子=北見、菅野など)が力を発揮したことに、チームスポーツとしてのバスケットボールの魅力を実感した試合でもあった。

紙一重と言える熱戦を制した八王子は、ダブルヘッダーで行われた決勝戦でも正智深谷(埼玉県1位)の猛攻を振り切り、Aブロック優勝を果たした。

今大会で気になった選手

今後の活躍から目が離せない、ひと際輝きを放った選手を紹介させていただきます。

宮内柊人(みやうち・しゅうと)土浦日大11番 、3年、176センチ、PG、江戸崎中
同チームの要である佐伯や石島海斗(5番・3年)と共に平均出場時間が35分超えながら、2試合で平均19得点、10.5リバウンドと平均ダブルダブルとなる活躍。土浦の激しいチームディフェンスの先頭に立ち、オフェンスではアップテンポなバスケットの中心となるツーウェイプレイヤー。コート上には仲間を鼓舞する声が絶え間なく響き、強いリーダーシップを見せた。今大会は準決勝で惜敗に終わったが、インターハイ以降の活躍が期待される。

久岡賢太郎(ひさおか・けんたろう)前橋育英 4番 、3年、180センチ、PG/SG、太田西中
全3試合でゲームハイを叩き出し、平均25得点を記録した前橋育英のエース。決勝戦でも持ち前のスリーポイントや力強いドライブなどオールラウンドなプレーを見せ、37得点。勝負強さを遺憾なく発揮した。佐藤永遠(9番・3年)と共に機動力満点のガードコンビを組み、チームを優勝に押し上げた彼に今後も注目が寄せられるであろう。

谷口律(たにぐち・りつ)桐光学園 5番 、3年、176センチ、PG、座間西中
関東新人大会で優勝した昨年度からスターターを務める司令塔。今大会は全3試合で20得点前後を記録し、コンスタントに点を稼ぎながら安定した試合運びを見せた。決勝戦は幾度も仲間に声をかけ、攻守にわたって大きな存在感を発揮したものの、最後は一歩及ばず。前田健冴(4番・3年)・角田十希(6番・3年)・オドゲレルトルガ(7番・3年)など、強力なアウトサイド陣を擁する桐光学園。彼らを牽引する正ポイントガードに今後も注目だ。

記者として見つめた高校バスケの現場

この大会を通して、バスケットボールについて考えさせられ、初めて記者として現場に立ち、新たな発見や難しさを実感しました。

例年両日ダブルヘッダーで行われるこの大会。今年度もこの条件と勝敗との関わりは、切り離せないものであったでしょう。フォーマットの変更により、ダブルヘッダーとなるのは2日目(準決勝・決勝)のみでしたが、選手だけでなくコーチ陣の采配も、このハードスケジュールとどう付き合っていくかが鍵となったように感じました。

Aブロック決勝で前橋育英に敗れた桐光学園は、第3クォーター残り0.3秒でこの試合初めて同点に追いつきましたが、第4クォーターでは機動力の面でわずかながら差が出たように見えました。ダブルヘッダーを見越して多くの選手を起用し、リバウンドやルーズボールでしつこく球際へ寄った前橋育英が、最後はペースを落とさず勝ちきる展開となり、選手の起用に工夫を入れた采配がものを言った試合になったと考えます。

選手のコンディションも含め、両者ともに体力的に厳しい試合運びであったことが見て取れたことから、スケジュールとの兼ね合いも視野に入れながら試合に挑むことも、勝つためには徹底するべきことなのだという学びがありました。

記者としては、試合の流れはもちろん、選手の表情や態度に目を配り、その状況を読み手へわかりやすく表現することの難しさを感じました。また、試合の流れや各選手の良さを見て取り、言葉にすることは決して簡単ではなく、執筆する中で何度も試行錯誤しました。

今回はインタビューをせずに執筆に至ったため、なおさら選手の気持ちを読み取ることは難しく、正確な情報と考察を心がけるよう意識しました。

自身はプレイヤーから一変、記者として現場に関わり、試合から感じ取れる熱量や技術、日々の努力の成果を体現する選手の姿を人々へ伝える立場として、よりたくさんの人に選手の頑張りを届けられるような努力をしていこうと考えています。

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最後に、短い高校バスケの時間はコロナ禍により、この先どうなるかわからない状況にあります。昨年、コロナ禍で高校バスケを戦った人間として、選手一人ひとりが日々を充実したものにしてほしいですし、限られたチャンスに、そこまで費やしてきた時間や練習の成果を落とし込める準備と努力をしてほしいと思います。


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