飯山陽氏の論理③ 飯山氏が語る科研費の話


はじめに

Awiです。
飯山氏が動画配信などで何度も言及していたのに、著書には一切記していないことがあります。それは科研費についての話。

⚫︎2023年2月16日 飯山あかりちゃんねる(旧いかりちゃんねる)
【無駄?】科研費の闇を暴くわよ!

飯山氏によると、科研費には闇があるみたいですね…。

この他に、飯山氏が科研費の話をしているのは、以下。
以下の動画は、科研費の話と同時に、ROLESの補助金についても話をしています。

⚫︎2023年11月17日  長谷川幸洋 Tonight 第41回

⚫︎2023年12月14日 ニュースあさ8時! 第268回

⚫︎2023年12月14日 飯山あかりちゃんねる(旧•いかりちゃんねる)
【祝ハマス本完成!】文系研究者の予算消化って何?!

今回取り上げるのは以上です。

ご自身の経験談なのに、本に一言も書かないのはどうしてでしょうね。

飯山氏の著書しか読んだことがない人には全く知らない話になるかと思うので、今回は上記の動画から、飯山氏の発言について書いてみます。


科研費について

まずは基本知識から参りましょう。科研費とは。
日本学術振興会HPより

科学研究費助成事業(以下「科研費」という。)は、人文学、社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を段に発展させることを目的とする「競争的研究費」であり、ピアレビューにより、豊かな社会発展の基盤となる独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものです。

手短にいうと、全ての分野の学術研究を発展させるために出している助成金という解釈でいいのかな。そしてこれは「競争的研究費」であると。

競争的ということは、要するに科研費は応募制ということ。研究のために資金が必要だという研究者が申請して、それが通った研究に対して支給されるものです。

少し調べてみたら、山口大学がいいものを出していました。

とてもわかりやすい公的研究費の使い方
山口大学公的研究資金不正対策防止室 平成30年改訂

これはタイトル通り、とてもよくまとまったわかりやすい資料です。山口大も国立大学なので、基本的な事務処理方法については、東大など他の国立大と同様と考えて良いのではないかと思います。

さて、研究費の種類について。資料、研究費の表を見ると、一番上に「預かり補助金(科学研究費=科研費)」の説明がありますね。
同表、一番下の「運営交付金」は、国から国立大に入る予算のこと。国立大の本部から各研究室に振り分けられる基本的な研究費はここから出ています。国立大は学生からの授業料を低く抑えているわけですから、運営交付金は大切な財源です。これを減らされると、国立大はお金が足らなくなって人材を育てる余裕がなくなります。

研究者を育てるために科研費全体の予算額を増やす話も出ているようですが、これは競争的資金であり、また、大学施設(例えば建物や設備の老朽化など)を整えることには使えません。資金繰りに苦しむ国立大運営の効果的な対策になるのかどうか疑問があります…。
(財務省は運営交付金をケチらないで欲しいし、文科省も財務省に対し、運営交付金を増やす方向に強く働きかけて欲しいです)

次に、使用ルールの細かい説明。
これはもちろん、お酒や煙草に使ったらダメですよね…

次に研究費の管理について。

“研究費の管理は大学が行う必要があります”
“研究補助金は、研究者が個人で行わず、大学が機関として経理することになっています”

これは以前に東大の研究費の話で説明したことがあるはずですが、あらゆる研究費は、大学事務にて行われます。教員個人が研究費を自分で取り扱うことはありません。

例えば、出張に行く時の手続き方法。
山口大の資料は手続きの流れがわかりやすいですね。

これは、講演などで誰か外部の人をお招きしたときに、お礼を出す場合の申請方法。研究者と部局長とお招きした人と事務部とで、ぐるぐると…(煩雑ですな)

不正使用については、罰則もあります。

科研費を含む、公的研究費の取扱いについては、現在ではこのようになっています。

それでは、飯山氏の話の内容について。

飯山氏が語る、科研費の話

動画配信から引用するととても長くなるので、要約してみました。引用は資料として最後につけておきます。

飯山氏の発言の要約

⚫︎2023年11月17日  長谷川幸洋 Tonight 第41回より

(自分は中東イスラム業界から足を洗っているが、という前置きあり) 業界にはいくつか学会があり、学会や研究会の後は飲み会をする時に一番話題になるのが科研費の話。誰がどれだけ期間を長く高額の科研費を取ったかということ。
科研費で何をするかというと、研究会。コンピューターを買ったりする。お金が余ったから軽井沢に行ったり、調査という名目で外国に行ったり、海外の先生を呼んだりする。

⚫︎2023年12月14日 ニュースあさ8時! 第268回

億を超えるような大金(科研費)が研究グループに割り当てられて、何に使うかと言ったら、旅行代、セミナー代、研究代、備品、事務員の人件費、そういうことに使われて終わり。
予算の上限までいかに使い切るかということ。国内旅行じゃお金使わないから、海外でシンポジウムとか何か形を作って旅行して、予算消化をやっていた。

⚫︎2023年12月14日 飯山あかりちゃんねる(旧•いかりちゃんねる)
【祝ハマス本完成!】文系研究者の予算消化って何?!

自分が学部&大学院時代(1997ー2002年)にかけて、中東研究界に多額の科研費が支給されていた。通称イスラム地域研究。年間1億円×5年で5億のプロジェクトと言われていた。自分は学生だったし、端っこから伺っているだけだったけど、すごい使われ方をしていたのはずっと見ていた。

(お金の使い方抜粋)
⚫︎無駄に旅行に行く。調査研究費用という名目で。海外に行ったことがない学生(註:研究者のゼミ生のことと想定)も連れて行く。
⚫︎研究者が知り合いの外国人の先生をやたらに日本に呼んで研究会を開く。招待した外国人の先生をアテンドするために、日本の観光名所に連れて行く。
⚫︎おもむろにパソコンをたくさん買う。
⚫︎軽井沢に行って研究会をして宴会をしてお金をバーンと使う。
⚫︎誰も読まない印刷物を発行する。提携している出版社があって、誰も読まない本を発行する

この科研費を取ったのは、東大S教授。

飯山氏によると、1997ー2002年の科研費プロジェクト・通称「イスラム地域研究」ではかなり豪快な研究費の使われ方がされていたのをずっと見ていたと。多額の科研費が投入されたのに、イスラム地域研究が、国民のために還元されるようなものではなかったと。このことを根拠に、ROLESが外務省からの大規模補助金を獲得しているが、その研究費の使われ方もおかしいのではないか、無駄があるのではないかと、主張しているわけです。

ここで、ROLES批判を繰り広げるようになる前の、2023年2月16日の動画と比較してみましょう。
科研費について語っている内容は、2023年12月13日の【祝ハマス本完成!】文系研究者の予算消化って何?!とほぼ同様です。

12月13日には言及していない部分については、以下要約。

⚫︎2023年2月16日 飯山あかりちゃんねる(旧いかりちゃんねる)
【無駄?】科研費の闇を暴くわよ!

文系研究者の中では、高額かつ長期間の科研費をとる研究者が偉い、という変な価値基準がある。
自分が大学4年の時に、イスラム研究に超大型科研というのが通って、その時以来、イスラム地域研究者がたくさん出てきた。このイスラム地域研究は、この科研で言葉と概念が生まれた。
東大に拠点があり、全国にイスラム地域研究の拠点を6つ、研究グループは13、研究分担者が80人、さらに別の研究者・学生が連なっていた。自分は学生だから会計のことは知らないが、研究代表者になっている先生たちが毎年お金が余ってしょうがないと嬉しそうに話してたのを覚えている。
イスラムについて偏向したお気持ちで語り、イランは親日、トルコは親日、イスラム過激派のテロの原因は貧困や差別だと主張してきたのはイスラム地域研究者である。イスラム教やイスラム地域を素晴らしいというのは何故かというと、それは日本はダメという為。日本で失われた素晴らしい要素がイスラム地域には残っている、イスラムを見習え、と。イスラム地域研究者というのは、反日で反米で反自民党で反体制で、反日左翼・反米左翼みたいなのがイスラム研究業界にいる。イデオロギーを持った人しか居残れないので、自分は業界から出てしまった。そんなところにいたら抹殺されて終わるから。
5億もの科研費を使って反日学者の居場所を作ったというのは本当に無駄。そんなことよりもっと大事な研究にお金を出すべき。

2月16日の配信と、12月13日の配信の中で大きく違う点は、批判対象ですね。
2月16日では、飯山氏の言う「中東研究業界」にいるイスラム地域研究者(左翼)。これが、12月13日だと池内先生でありROLESになっています。

12月13日動画だと、科研費が余るという理由で、学生にも旅費宿泊費が全部出たという話から、ROLESのイスタンブールでのシンポジウムの旅費宿泊費の話に繋げています。

宿泊費出してやる全部だ、だって、旅費出るから、科研で余裕だから、と、なんか色々ね、なんちゃらかんちゃらの研究会とか読書会とか名前つけたら、全部出るから、(中略) だって3年で6億3千8百万あるから、むっちゃあるから全然大丈夫だから、全部持つから、イスタンブールいいよ、いいところだよ、楽しいよ、行ったことないでしょ行きたいでしょ、全部出すよ予算、旅費も全部だ、飛行機だ全部出すよ、宿泊費ももちろん出すよ、だってこれ国際シンポジウム開くから、っていうノリですよ同じですよ。

「同じですよ」と飯山氏は言っていますね。
つまり、イスラム研究業界の教授たちの科研費の扱い方と、池内先生の補助金の扱い方を同列としているわけです。

ちなみに飯山氏が度々、いじめられた、不当な扱いを受けたと主張しているのが、このイスラム地域研究の教授達の誰か(指導教官のことを時々言っているけれども、一人だけを指しているかは不明)です。院時代はずっと教授に嫌われていた、中東研究業界から排除されたなどと動画や著書で繰り返し言及しています。

しかし池内先生に対して、飯山氏は元々何の恨みもないはずです。院時代には顔を合わせると議論したって池内先生は仰ってましたっけ。以来、ずっと会ってなかったとか。直近でも5年くらいは顔合わせたりしてないんですっけ?
飯山氏は著書「イスラム教再考」(2021年・扶桑社)の中で、池内先生の論文がイスラム地域研究者からの批判対象になっていることを擁護しています。つまり、飯山氏がこの著書を書いた時点では、池内先生について「イスラム地域研究者」同様の扱いをしてはいないわけです。

P130
私がまだ学生だった2000年代初頭、小杉(註:当時、京大院教授•小杉泰氏)が提唱しイスラム研究者たちが信奉するイスラーム復興論の矛盾を指摘した研究者は、池内恵しかいませんでした。

P226
池内は事実を指摘しているだけで「非論理的なイスラーム批判」などしてはいません。また私の知る限り、池内が「イスラーム社会は後進的で野蛮である」などと主張した事実もありません。池内が言ってもいないことを勝手に言ったことにしているとすれば、それは典型的な藁人形論法です。

イスラム教再考

まあこんなことを書いていたのが、急転、池内先生をイスラム研究主流派(左翼)の仲間にぶち込んで批判展開を始めたわけですね。

これは、Awiの推測にはなりますが、飯山氏からすれば、イスラム地域研究で多額の科研費を交付された東大教授陣と、外務省事業にて多額の補助金を交付された池内先生とは、人格や思想はどうであれ、状況において重なって見えたのではないでしょうか。
どちらにしても、東大教授であり多額の競争的研究費をまんまと手に入れて大規模プロジェクト運営をしている、しかも自分を全く評価しない(何なら排除しようとする)非常に不愉快な奴ら、と捉えたのではないかと思います。というのも、飯山氏は、両者に全く同じ表現を使っているのです。

それは、「万能感に満ち溢れている」という言葉。

⚫︎2023年11月16日 飯山あかりちゃんねる(旧いかりちゃんねる)
【下劣!】池内恵•東大教授「日本保守党は変質者集団、飯山陽は狂乱インフルエンサー」?!より

この池内某が作ったこのROLESというシンクタンクみたいなのがあるわけよ。でね、池内某はそこのボスなわけ。だから、この、これだけたくさんの研究者を東大に招いて云々とかって、ものすごい偉そうでしょ。つまり自分に東大の人事権を自分が一手に握っているかのような、そういう万能感に満ち溢れちゃってるわけ、この人。


⚫︎2023年12月14日 飯山あかりちゃんねる(旧いかりちゃんねる)
【祝ハマス本完成!】文系研究者の予算消化って何?!

自分たちはね、すごい、やった、すごい万能感に満ち溢れてるというか、俺たちすごい予算って、これを取ったのは、東大S先生ちゅうね、人なわけですよ。​そのS先生は、もうあの、神みたいな感じなわけ。

池内先生のことをどう思おうが飯山氏の自由ですが、しかし、飯山氏にとっては大変残念なことに、池内先生は研究費を杜撰に使うなんてことはしていませんでした。25年も昔の科研費のことはわかりません。この時代から現在の間には、科研費の制度の見直しや、罰則など新しくなっていることがあります。飯山氏が言っていた通り、昔はかなり自由に、悪く言えば好き放題使えたのかもしれない。
でも、それは池内先生とROLESには何の関係も責任もないことです。今はきちんとした研究費の管理システムが出来上がっていて、科研費でも補助金でも運営交付金であっても、飯山氏が言っているようなことは一切できない。

第一、飯山氏は、ROLESの補助金の使い方はおかしい、無駄ではないかとずっと言い続けているけれど、おかしい証拠はどこかにありましたか? ROLESがイスタンブールでシンポジウムしたのが本当に無駄だったという証明って、できますか?
無駄じゃなかった証拠置いときます。

飯山氏の発信を信じて大騒ぎした人たちも含め、みなさん完全に無駄なことに労力を使って、それでもって証拠らしいものが何にも出せていないのです。
根拠は、飯山氏の学生時代の体験談、ただそれだけ。飯山氏はご自身で科研費を受けて研究されたことはないようですから。

科研費データベースより

本当に何だったんだろうなこれ。


終わりの駄文(Awiの謎考察)

飯山氏という人は、以前、自身を「いかりちゃん」と呼んでいたように、怒りが原動力にあるようですが、私から見ると怒っているというより、「復讐心の塊」のように見えています。
それが意識的にしているのか、無意識なのかはわかりませんが。

飯山氏を、SNSという場所で真っ向から批判した池内先生は、復讐のための格好の餌食になってしまったのではないかなと。そんなことを思いました。
飯山氏の、日本の「中東研究業界」「イスラム地域研究者」に対する反感は、動画を見ても、本を読んでも、相当な熱量があると感じます。この不満の塊のようなものは、ずっとずっと燻っていたのではないでしょうか。いつか目にもの見せてくれると。

もしかして、池内先生に対し、なんだこいつ、その昔、イスラム研究主流派に刃向かったくせにお前だけ順調に出世しやがって、そして今は、自分を研究業界から排除しようとした教授達と同じことやっているのか、というように飯山氏は思ったのかもしれません。

世間には、なんかよくわからないけど東大教授ってなんか偉そうでムカつく、って漠然と思っている人って割と多くいるんだと思います。東大に入れるのって、ましてやそこで教授になれるなんて、ごく僅かであることは確か。その上、ROLESは外務省から高額の補助金が交付されている。多くの一般庶民の感覚とは全然違う(反感を買いやすい)条件が重なっていますからね…。

多数の人々が持つコンプレックスを、飯山氏は利用しようとして話を展開したのではないでしょうか。飯山氏が先生に勝てるって言ったら、Twitter (X)のフォロワー数や動画の再生数、要するに拡散力だけ。それを使って先生に復讐しようとした。完全に八つ当たりなんだけど(迷惑)。

第一、飯山氏は池内先生から「貶められた」と言っていますけれども、自業自得でそうなったところもあるわけです。
飯山氏が、自分の気に入らないジャーナリストや研究者に変なあだ名をつけたり、偏った情報を流すなど、学問に対し誠実に向き合わねばならない研究者としてのあるまじき言動をしなければ、池内先生だって強い語句を用いて批判することなどなかったわけですから。

知っている人は知っているけど、池内先生の研究者人生って全然順風じゃなかったんですよ。先生が大学院を出た当時、先生の考えは当時の日本のイスラム研究主流派には全く受け入れられないものでした。それをわかっていながら正直に論文に書いてしまったので、重鎮教授の激しい怒りを買ったことも、また公然と暴力(物理)を振るわれる事態も起きました。幸いにも先生の書いたものを評価する出版業界の人がいて、先生自身も自分で道を拓く能力があったから、出した本で賞を取って世の評価を得たわけですが。それでもイスラム研究の主流派からは、目の敵のようにされている状態が長く続いたわけです。だいぶ薄れたはずだけど、今もそれはある程度残っているんじゃないかな。池内先生、表に出して書いているだけでも本当に色々と大変なことがあったんです。

そもそも、先生は大学院のあとは東大に残らず、大学とは別の研究機関に就職されています。現在、東大先端研の教授なのは、古巣に戻りたかったなどという理由ではなくて、元々理系の附置研究所だった先端研という場所が、すごく広い場所(先生が集めた膨大な量の本を置くため)が得られて、自分のやりたいことができそうだったから。
ただしこれは終身雇用ではなく任期付きという不安定さと引き換えです。

これは准教授の任期が終わる少し前の投稿。

先端研には2008年10月より准教授、2018年10月より教授。

先生のブログ、読みます? あんまり教えたくないけど。
これはまだnoteでは引用してないよね…?
(これは春に紹介したかったなあ…)

こういう背景を知っていますので、池内先生のことを「東大教授という肩書を笠に着て権力を振るっている」などと決めつけている飯山氏の言動は、私には到底許容できるものではないのです。

飯山氏も、学問に対して誠実であり続ける道はあったはずなんですけど。
どこが別れ道だったんでしょうね。

今回は、以上です。
読んでくださって、ありがとうございました。

資料を含めると今回は1万2千字超えです…ほんまアホかというね…本当にお疲れ様でした。
書いた側もそれなりに疲れております。
(大雑把に書いた先生の昔の話のところは、何か変なことを、あるいは間違ったことを書いていないか何となしに不安になりながら)

資料

註:動画発言において、「あの」「その」や言い直している箇所などは省略しています。

⚫︎2023年11月17日 長谷川幸洋Tonight 41回より

私はもうすっかり中東イスラム業界から足を洗ったんですけど、業界にはいくつか学会というのがあるわけです。で、学会とか研究会とか開かれて、その時飲み会とかするわけですけど、その飲み会なんかにいくと、今年、科研を誰が一番、科研って言っても、例えば何か色々なプロジェクトがあったのを、値段とかね、貰える金額とか年数とか色々あるわけですよ。パターンがね。で、誰がどんだけ長く高額な科研(=科研費)を取ったかっていうのが、その飲み会で一番盛り上がるネタなんです。

何するかっていうと、研究会を開くんです。
研究会。だから、お友達をね、お仲間を集めて、何かどこかで、東大なら東大とかで集まって、1、2時間話して、はい飲み会、とかね。あと例えばコンピューターを買いましたとか。あと、お金が余ったからとりあえずみんなで軽井沢でも行きましょうかとか言って、軽井沢にみんなで言って、そこでまた研究会とかやって。更にお金が余れば、今度何するかというと、調査に行こうと言って外国に行く。あと、外国からなんとか大学の先生とかを呼んでくると。ほぼほぼそれで終わりなんですよ。

私はだから、そういうのずっと見てきて、なんでこいつら、しかもお金使うにしても、なるべく使おうとするわけですよ。たくさんね。だって予算いっぱいあるから。そういう、節約とか考えないわけですよ。それで、大学の先生なんてたいして給料もらえないから、それで贅沢して喜んでるわけですよ。

2023年12月14日 ニュースあさ8! 第268回

科研費が、その研究者に対してもう、大金ですよ、もう、億を越えるような大金があの研究者の研究グループにですね、割り当てられて、それ結局何に使うんですかと言ったら、結局旅行代とかね、あとはそのまあ、何かセミナー代とかね、研究代とか、要はほぼほぼ、あとはね備品とか、あとは何か事務員の人件費とかね、そういうのだけに全て使われて、それで終わりというね。

客観的にいうと、あくまでも、そのお友達のね、お仲間の集団で、お金もらってきたお金を分け合って、お金がね、億とかあるわけで、予算というのは上限があって、その上限までは使っていいよという額なわけですよ。その上限までいかに使い切るかみたいな。

じゃあどうするかというと、みんなでね、集まって、みんなで、旅行行きましょうとか、しかも国内旅行じゃ対してお金使わないから、みんなで海外行きましょうとか、なんか研修とかね、あと海外でシンポジウムとか何かそういうね、形を作って、みんなで旅行行きましょうとか、そういう形で予算を消化するってことやるわけ

⚫︎2023年12月14日 飯山あかりちゃんねる(旧いかりちゃんねる)
【祝ハマス本完成!】文系研究者の予算消化って何?!

ちょうどいかりちゃんが学部から修士博士に至るこの過程ですね、この間1997年から2002年までの間にですよ、これはね、中東研究業界にもとんでもない多額の科研費が支給されてたんですよ。これね、通称イスラム地域研究ってやつなんですよ。多分ネット見れば出てくると思うけど、これは、文科省が出した超巨大・超巨額の科研費プロジェクトなわけ。普通の科研費の枠を超えた新しい学問分野を切り拓くみたいなそんなようなやつで、みんなで「新プロ」って呼んでたわけ。

いかりちゃん、事務やってないからわかんないんだけども、あのざっくり、年間予算1億円、というふうにみんな言ってた。年間予算1億円で、5年、プロジェクトで決まってたわけだから、5億ですよね。1億1億…で5億。これね、超巨大だったんですよ。だから、その時にちょうどいかりちゃん学生だったわけ。だから、1億、年間予算1億5年間っていうのがね、一体みんながどうやって使ってきたかっていうのをみてるわけですよ。いかりちゃん、お金配れない。だって、いかりちゃん、学生だし。

こう端から、こうみておるだけなんだけども。こう、伺っているだけなんだけど、これはね、本当にすごい使われ方だったわけですよ。
1億、例えば、その科研費の新プロの、1億の予算があるわけじゃないですか、1年間。そうすると、その予算を使い切ることにみんな全力を尽くすわけ。
でも文系の研究者なんで、そんなね、お金ね、使わない。使い道がないんですよ。だから​、どうやって使うかって言うと、無駄に旅行とかに行くわけ。旅行って言うと問題あるじゃないですか、だから調査研究とかねナントカ出張とかなんかこう、役所的に旅行っていうと支障があるんだけど、こう言えば問題ないみたいのがあるわけですよ。その調査研究費用みたいな感じで、なんかみんな外国に行くとかね。 外国、中東研究とかしている学生とかいるじゃないですか。そうするとね、その学生の中に中東研究とかしてるけど、中東行ったことありません、みたいな人いるわけですよ。そういう人はね、学生をたくさん連れて研修旅行とか行くわけ。遠足みたいな感じ。修学旅行みたいな感じ。それを科研費で出すわけ。

あと自分の知り合いのね、外国人の先生を、やたらめたら日本に呼んでくるわけ。それ旅費を渡すでしょ、日本に連れてきて、で、ホテル とかに宿泊さして、で、一応体裁のために研究会とか、多分東大の、小さい部屋とかで、研究会とかやってて、そこら辺の大学生とか集めてね、20人ぐらい集めて研究会とかやって、はい研究ありましたとか言って、はい、これでもうやるべきことやりましたとか言って、その後みんなでなんか宴会みたいのに行って、で、日本に来たその 先生を、東京観光に連れていかなきゃいけないとか言って、で 、浅草連れてったり、江戸東京博物館連れてったりね、東京タワー連れてったりとかってアテンドとか言ってこうやるわけよ。で、ある時は、この先生は京都に行きたいつってんだとか、じゃあ京都行きましょうとかって、連れてね、京都行って、でホテル取ってまた旅費も出してってね、京都楽しいとか、ある人は日光に行きたいとか日光連れてったりとか、鎌倉行きたいって言うから、鎌倉連れて行ったりとかして、そういうのをひたすらやるとかね。あとね、もうなんかもうとにかく1億円もあるからさ、むっちゃあるから、​よしパソコン全部入替えよ。で、おもむろにパソコンをダーって買うとかね。

知り合いをね、 日本に連れてきていい思いさせるとかね、あるいは自分とこの学生とか、知り合いの研究者とかでみんなで集まって宴会するとかね。で、みんなで例えば、軽井沢行きましょうとか言って、よくわかんないけど行くわけ。

軽井沢みんなで行って、でホテルを借りてでみんなでそこで宿泊して研究会とか言って、なんか読書会とか言って、お金バーンって使って、なんか宴会やって楽しかったとか言って帰ってきて、いやもうほぼほぼ、そういう感じなわけですよ。で、あとはね、無駄になんか印刷物をたくさん作るわけ。なんか俺たちやったったみたいな感じで、誰も読まない印刷物みたいな、たくさん作るわけ。本当なんか環境、地球環境に対する、本当ね、無駄だと思うんですけど、誰も読まない全く一般に流通しない、変な印刷物もたくさん作るわけで、お仲間内で配ったりね。あと誰も買わない本みたいの、なんか提携した出版社みたいのがあるわけですよ。誰も買わない本みたいのを、やたら大量に出して、それで実績作りみたいなしたりとかね、そんなことやってるわけですよ。それを5年間延々と1億 1億1億1億1億毎年1億円それやってたわけですよ。これもうね、いかりちゃんずっと見てたから、もう文系の、研究者の、その科研費の使い方って、こういう感じなんだっていうのをね、もうすごいよくわかるっていうか。で、自分たちはね、すごいやった、すごい万能感に満ち溢れてるというか、俺たちすごい予算って、これを取ったのは、東大S先生ちゅうね、人なわけですよ。​そのS先生は、もうあの、神みたいな感じなわけ。神みたいな、ああもう素晴らしい、年間1億円も、聞いたことのない巨額の予算、もう素晴らしいとか言って、もう神のように、こう、ははあ、みたいな感じ。あがめ奉られるみたいな感じ。

ちょうど9.11が起こったのは2001年じゃないですか。そう、新プロやっている間に起こってるわけですよ。そしたら、まさにあんた達出番でしょって今まさに世の中、日本社会であんた達の知見が必要とされているんでしょ、っちゅうその時期にやってたわけ、その時期に、新プロ、でっかいプロジェクトをね。ところがですよ、その人達9.11怒って、何を言い始めたかっていうと、9.11あれはね、陰謀ですとか言い始めたわけ。

それでみんな口を揃えて、スライムは平和の宗教です。あの(テロ)やった人達は、スライムじゃない、違う、何故ってスライムは平和の宗教だからって、みんな口を揃えて言い始めたわけ。

いかりちゃんね、国からね、文系研究者に多額のお金が流れるってことについて、その有益生について極めて懐疑的なわけ

ところがあの人たちの発想は全く違うんですよ。金沢、久しぶりに金沢行きたい、よし科研で行くか、よし、みんな学生、いかりさん行きたいでしょ、行く行く、みんな行こう、お金あるから。これいっぱいあるから、1億円あるから、いくらでもあるから、みんなで行こう、ベーンって行くと、宿泊費出してやる全部だ、だって、旅費出るから、科研で余裕だから、と、なんか色々ね、なんちゃらかんちゃらの研究会とか読書会とか名前つけたら、全部出るから、旅費気にしないで、連れてっていやるから、なんとかさんも全部俺が連れて行ってやるから、学生は学生で、やっぱ先生の言うこと聞いたら先生さすがだな、うちの先生いい先生だなって。軽井沢連れて行ってくれて、旅費タダだしって、いい思いしちゃってね。で、いかりちゃんが説明したみたいにね、紹介したみたいね、イスタンブールに行ったことある?みんな行ったことある?イスタンブールいいとこだ、ヨーロッパとアジアの結節点、イスタンブールって歴史的にも非常にね、意義のある場所、非常に重要な場所だしね、これね行ったほうがいい、一度くらいね、この日どう?みんな来ない?この日、お金気にしないでいいから、全部うちが持つから、だって予算うちまもうむっちゃあるから、だって3年で6億3千8百万あるから、むっちゃあるから全然大丈夫だから、全部持つから、イスタンブールいいよ、いいところだよ、楽しいよ、行ったことないでしょ行きたいでしょ、全部出すよ予算、旅費も全部だ、飛行機だ全部出すよ、宿泊費ももちろん出すよ、だってこれ国際シンポジウム開くからっていうノリですよ同じですよ。




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