かけ算問題の一考察
はじめに
毎年この季節になるとかけ算の式は間違っていないのに×にされて怒っている親のツィートがフレーミングする季節の風物詩と化しているのですが、ちょうどこのタイミングが、小学校2年生で、かけ算を初めて学んで確認のためのテストが出され、その結果が親の目に留まるという時期だからなのでしょうか。去年もこの話題でうちの奥さんと議論していたのをすっかり忘れ、また今年も同じ議論をしてしまったので、せっかくなので文章にまとめておきたいと思います。
かけ算順序問題
で、いざ書こうと思って、noteを検索してみると、こんな他ノートがありました。
うん。ほとんど書かれている。概ねこの方と同意見でした。ただ、この人も書いているように、この「式に回答者の理解を表現させることで、先生がその生徒の理解度を推定し、その後の指導に活かす」という方法が定量的に正しいかどうか?という点について、私もデータを持っていません。
持っていないので、この手法が正しく効果があるのだ。という主張はできませんが、実際、日本以外では、このような手法は行われていないようで、同僚の帰国子女の人にこの話をしたら、なにそれ?って言われました。よってこの手法が有効かどうか?というのは、これまでの教師の経験則というレベルが昇華して、今に至っているのかなと思います。悪く考えると、とある大御所が言い出したのが、広まったとかいうのもあるんですが、そこはよくわかりません。
その点が、順序が必要といっている方々の弱いところ(順序に意味があると言い切ってしまっている人は、明らかにミスリードというか誤解を招きます。)で、表面的にこれをとらえてしまっている教員が機械的に×をつけてフォローもなしだったとすると、教育上よろしくないことになるでしょう。さらにいえば、ルールの押し付けがー、軍隊教育がーという変な方向に議論が飛び火するのだと思います。実際、俺がこう教えたんだからこの通り回答しないと×なんだ。と言い放つ先生もいそうですしね。
この人の意見と違う点を書くとすると、そもそも論として、「数式によって回答者の意図を表現すること」を是とする前提なのが、気になるところです。他になにかいい方法があるのか?という話ですが、同様のことが可換則が成り立たない割り算だと式で観測できてしまうところが悩ましいですね。おそらくかけ算が、今の状況なのは、体系を作り上げていく上で、数式上の矛盾をはらんでいることを分かった上で、かけ算だけ特別扱いしなかったということのように感じるのですが。「りんごが6個ありました。3人で分けると、一人何個になるでしょう?」なら「6÷3=2」以外の回答は間違いということに異論はないと思うのですが、「4人の人が、3個づつりんごをもっていました。りんごは全部で何個?」という問題をどう記載すれば、「文章の意図を理解している」かを表現するには、どのように記載すればいいのでしょうね?「4×3」でも「3×4」でも○にするのは、採点が楽でむしろいいですが、その子がどう理解しているのか?を判定する一手法としては、初学者に対しては有効ではないでしょうか?
ということで、本件については、害悪だから順序無関係で○にしろという意見には賛同しかねます。一方で、逆順に書いたから×で、なんで×なのか、その子がわからず、単に「づつ」と書いてあるほうが、後。とか、答えの単位と同じものが前とかいうテクニック的な覚え方をしている場合には、その子にちゃんと概念を教えるフォローが教師には必要とされるという立場を取りたいと思います。
日々思っていることを形に。こういうところに残しておけるのは良い時代になったと感じています。BBSのログとか復活させたくなります。