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【18祭の感動】と、【YOSAKOIの感動】の共通点を語りたい。〜18祭企画の中心人物の著書をよんで〜


(3278字/この記事を読むのに約8分かかります。)


18祭(18フェスと読みます。)は、2017年1月からこれまで3回放送されたNHKの特番で、1000人の18歳と1組のアーティストが一緒に1曲をパフォーマンスするというものです。

1回目はONE OK ROCK
2回目はWANIMA
3回目はRADWIMPS
4回目はALEXANDROS

(RADのときのパフォーマンスの動画)https://www.youtube.com/watch?v=518RGJPTGKs、 https://www.youtube.com/watch?v=xKjFYKWCDas

この番組をみた後、いろいろググる中で、この企画発足時の(おそらく)中心人物が書かれた本https://www.amazon.co.jp/物語と体験-STORY-EXPERIENCE-Business-Books/dp/4883354334にたどり着き、そこに書かれた内容を読んで驚きました。私が2014年ごろから(YOSAKOIの感動について)大切にしてきたことと、ここまで同じことを言っている人がこの世にいるんだ!と、震えました。(たんに勉強不足だったんですけどね。)


今回のnoteの想定読者は、18祭を観てめっちゃ感動した人、かつ、それのYOSAKOI演舞に活かせる部分を考えたいと言ってくれた友人に向けてです。それを踏まえて、本noteの趣旨は、

🙆‍♂️18祭の企画に携わった河原さんの本に書かれた内容と、
🧘‍♀️YOSAKOI演舞をつくるうえで私(粟田)が大事にしてること、

を4点並記することで、18祭の感動とYOSAKOIの感動の共通点(や転用可能性)を感じてもらうことを目指します。



❶記憶されることへの執着

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河原さん🙆‍♂️⇨「物語」がなければ「知る」ことも「記憶」されることもなく、つまりブランドは「存在し得ない」ことになります。また、「物語」がないというのは、言い換えれば「意味がない」ということです。「意味」がなければ、ブランドは無価値なものです。(p.20)


粟田🧘‍♀️⇨どまつりにでて2年目のこと。おなじように踊られてる方とすれちがったときに「今年は〇〇が大賞くるかも。」「◻︎◻︎もめちゃ仕上がってるみたいよ。」って話し声が聞こえた。
🧘‍♀️それまでの僕のモチベーションはシンプルに「お客さんの感動(人の心を動かす)」だったのに、「お客さんの感動」を目指した先にあるのが「今年の比較的1位」かあ。そっかあ。なんだかなあ。ざんないなあ。と凹んだ。
🧘‍♀️1日たっぷり凹んだあと、「何年も心に残る感動」をつくればいいんだと、モチベーションの範囲が前より鋭利になって復活した。


❷お客さんの【自分についてのBe】を刺激しないと。

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河原さん🙆‍♂️⇨本当に記憶に残るのは、人々の自己存在意識に影響を及ぼす「物語」である。(ダグラス・B・ホルト『ブランドが神話になる日』p.70)p.50
🙆‍♂️顧客にとって、かけがえのない自分自身の一部となるような「物語」が必要です。p.51


粟田🧘‍♀️⇨2010年のどまつりをみた帰り道に僕の脳内を占めていたのは、(中略)、自分について悶々とする類の感動だった。(記事1/3)https://note.com/awata67/n/n6c66a7ce8092
🧘‍♀️「自分について悶々感動」と相性がいいのは、セノビ的ニュアンス。→「自分について(+もっと〜)」。(記事2/3後編)https://note.com/awata67/n/na3b6da4bba70
🧘‍♀️踊りに込めるのは、DOではなくBE。やりたいでもなく、なりたいでもなく、ありたい。(記事3/3)https://note.com/awata67/n/n5543e14f45c0


❸本当はもっとこうありたい(情熱)と、こんな自分がイヤだ(コンプレックス)

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河原さん🙆‍♂️⇨ホルトは「人々の自己存在意識に影響を及ぼす物語」を持つブランドを「イコン的ブランド」と呼びました。(中略)ホルトは「イコン」となる条件を以下のように述べています。「イコンは一種の物語ーアイデンティティの神話ーの象徴として、人々が自分のアイデンティティに関わる願望と不安を重ね合わせる対象となっている、という点である。」p.52


粟田🧘‍♀️⇨踊りに込める/発する/体現するのは、情熱(=本当はもっとこうありたい、want to be)。それは、コンプレックス(こんな自分がイヤだ)と表裏一体のもの。
🧘‍♀️情熱でつながる。チームメイトともお客さんとも情熱でつながる。(記事2/3後編)https://note.com/awata67/n/na3b6da4bba70


❹100人中100人を感動させるものとは。

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河原さん🙆‍♂️⇨「イコン」とは、社会において重要視されている思想や価値観の最も強力なシンボルとして広く認知されているものです。p.52
🙆‍♂️「イコンはその時々の歴史的文脈において社会が特に必要としている神話を、カリスマ的に体現してみせる。」(ホルト)p.53
🙆‍♂️非常に興味深いのは、個々人のアイデンティティの「願望や不安を重ね合わせる」対象であるのと同時に、「歴史的分脈において社会が必要としている神話」を体現するという点です。p.53
🙆‍♂️ホルトが繰り返し強調しているのは、(中略)、「イコン」となるためには、個々のブランドと顧客の間での「物語」ではなく、それが同時に社会にとっての「物語」としても成立するべき、ということです。


粟田⇨🧘‍♀️コンプレックス/情熱 をみつけるには、できれば【経験要因】(たった一回の経験)由来よりも、【環境要因】(一定期間、断続的にうけた経験・影響)由来からみつけたい。
🧘‍♀️環境要因(家庭/学校/地域/時代等)からみつけた葛藤•違和感•コンプレックスは、同じ時代を生きてきたチームメイトが共感しやすい可能性が高い。
🧘‍♀️向き合うのが家庭環境のような一見ローカルにみえるものだとしても、そのほとんどは社会の流れの影響をうけている。ばあちゃん世代が腹一杯飯を食うことが大事だったり、おじさん世代は残業してでもお金を稼ぐのが大事だったり20代は自己の存在が大事だったり。


🌟まとめ🌟

さいごに改めて、私がYOSAKOIで大事にしてることと、河原さんの大事にしてることで もろに 同じだ!と思ったところを抜粋しておわりにします。

粟田🧘‍♀️⇨YOSAKOIの感動には超大事なのは、【コンプレックス/情熱】。つまり、【こんな自分がイヤ/本当はもっとこういう自分でありたい】。情熱でお客さんとも踊り子ともつながるんだ!
河原さん(ホルト)🙆‍♂️⇨アイデンティティの神話の象徴として、人々がアイデンティティに関わる不安と願望を重ね合わせる対象

(かんそう?)自分のものづくりのアプローチについて、18祭の河原さんに「絶対にまちがってねえから!」って言ってもらえたような気がして、たまらなく嬉しくなりました。ありがとうございました。『物語と体験』、18祭好きな人にはもちろん、YOSAKOIやさんにもオススメです。





☘おまけ☘

18祭の過去3回とも、「アイデンティティに関わる不安と願望」が見事に表現されてる楽曲でした。コメントを添えるのも野暮なくらい全曲まじで大傑作です。それぞれが、今日における超重要テーマを扱ってるので、そこに少しだけでも触れておきたい。

RADWIMPS『万歳千唱』:「悲しみは君の涙を栄養にすくすくと 大きく逞しく今日も育っていく」

→【カナシミに支配されてるのを選んでるのは自分】

RADWIMPS『正解』:「あぁ 答えがある 問いばかりを 教わってきたよ」「答えがすでにある 問いなんかに 用などはない」「答え合わせのときに 私はもういない」

→【自分の人生の満足に誰も責任をとってくれないんだから、自分にとって用がある問い自分で選んで、答えを探していく。】

WANIMA『シグナル』:「不確かなまま はじまる今日は 変わらない  いつも通り 顔を洗って 鏡の前 また苦笑い」「わからない事ばかり」「未完成でいい」

→【完璧主義になって動きが鈍くならなくていい。人生なんて 未完成を垂れ流すだけって思えばよくない?】

ONE OK ROCK『We are』:「自分を誤魔化し 生きることに意味はあるか」

→【自分のリアクションに嘘ついてんなよ】(パフォーマンス前MCでも言及)







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