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これまでとこれからを、この家で磨いていく

東京で一人暮らしを始めて9年目になった。
いまの家に住んで、もう7年になる。

学生時代に住み始めたこの家。
就職したときも、失恋したときも、通勤時間が片道1時間半になったときも、転職したときも、ここから引っ越さなかった。
そういう話を知り合いにすると「7年も住んでるなら引っ越さないの?」とよく聞かれる。でもたぶん、ライフスタイルが変わるか、通えないぐらいに遠いところに仕事先が変わらない限り、引っ越さない気がしている。
引っ越すのもそれはそれで労力が要ると思っている。あと、いま住んでいる街が好き、という理由もある。

7年も住んでいるが、正直言って今までは家にいる比率は少なかった。

家に帰るのも遅いし、休日はわりとアウトドア派。学生の頃も、家では勉強できないタイプだったので勉強するのは基本的にカフェか図書館だった。
家はいつしか、寝るだけの場所になっていた。

***

しかし2020年春。

私たちは家にひきこもることを余儀なくされてしまった。

仕事は在宅になった。
外に遊びに行く予定は次々となくなっていった。

一人暮らしなので家でもひとり。
そして、家に過ごす時間が長くなると、いままで気がついていなかったあれやこれやがいやでも目につくようになった。

壁紙がちょっと汚れてるとか、
テレビ台にほこりが溜まってるとか、
デスクの裏の配線がごちゃごちゃだとか。

7年経って初めて思った。

もっとこの部屋を綺麗にしたいと。

***

幸か不幸か、時間はたっぷりあった。

ゴールデンウィークを使って、部屋を大掃除した。
床、机、ベッドの下、本棚、テレビ台、キッチン、洗面所、お風呂場、クローゼット...ありとあらゆるところを掃除した。エアコンのフィルターを綺麗にした。レンジフードの油汚れも全部取った。網戸も掃除した。網戸が窓枠から取れてびびった(直した)。7年間一度も掃除してなかったんじゃないかって思うような場所も掃除した。タコ足配線をどうにか綺麗にした。ゴミ袋5袋ぶんぐらいゴミを捨てたし、いろんなアイテムをメルカリに出した。

部屋は自分でもびっくりするぐらいすっきりした。
いままでこんなに物を置いていたのかって思うぐらいに。

あまり家に人を呼んだことがなかったけれど、このすっきりした状態なら人を呼べるんじゃないかと思った。
緊急事態宣言の真っ只中だったので無理だった。

***

大掃除をしてから数週間が経った。
わたしの部屋はまた散らかるんじゃないかと思っていたが、大掃除をきっかけにこまめに床掃除や片付けをするようになり、給付金(この時点ではまだ届いてなかったけど)で食洗機を買ったこともあって、どうにか綺麗なままを保っていた。

そんなある日の寝る前。
ふと天井を見上げて思った。


この部屋、殺風景すぎるな???


装飾などなにもしていないし、掃除したので物も全然ない。
部屋がシンプルになって満足していたはずなのに、今度は逆に、シンプルすぎることに違和感を覚え始めたのだ。
どこまでも天邪鬼なやつ。

緊急事態宣言も明け、少しずつお店も営業するようになっていた。
雑貨屋や100均で、部屋を飾るアイテムをいろいろ買った。買うだけ買って全然使っていなかったマスキングテープもひっぱり出した。
在宅勤務が本格化することになり、デスク周りもしっかり整えようと、モニターにモニターアームにPC台、いろいろなものを買った。
ものを減らしたはずなのに、こうやってものは増えていく。

コルクボードに押しピンをつけ、この前の断捨離で発掘したアクリルキーホルダーをひっかける。同じく発掘したポストカードをマスキングテープで貼る。そしてそのコルクボードを壁にかける。
これだけでも、十分にインテリアになった。
ついでに横にカレンダーも飾っておこう。

汚れてはがれかけていた壁紙を、壁紙シールで飾る。ごまかすとも言う。でもやっぱりもっと大きなウォールペーパーを貼りたい。

キッチンアイテムを壁掛け収納にしてみた。おたまとまな板、ラップと軽量スプーン。壁掛けのためのアイテムは全部ダイソーで買った。最近の100均は強い。
壁を有効活用してみると、キッチンがちょっと広く見えた。

自分の理想のお部屋作りが、ようやく始まった。

いままでの思い出と、
これから作る思い出を、
この部屋にこめて磨いていくのだ。

そんなすてきなお部屋を、作っていきたい。

***

7年間向き合ってこなかったぶん、おしゃれな家にはまだまだ届かない。
でも思う。

おしゃ家は、いまからでも作れる。

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