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VEXED『Culling Culture』(2021)

2019年、鮮烈なデビューを飾ったUK発メタルコア・バンドVEXED

ボーカルMegan Targett嬢の圧倒的なフロントウーマン感あふれるプレゼンスと、幅広いボーカルワークは圧巻。清涼感のあるクリーンボイス、ヒステリックなグロウルやスクリーム、煽るようなラップが、不穏なコード進行や退廃的な曲調に良く合う。
Jay BaconのギターワークはDjentの流れを汲みながら、デスコア、マスコア、プログレ的な各要素を自然に混ぜ込んだモダンメタル
サウンド。

2021年に発表された今作『Culling Culture』は名門Napalm Recordsからのリリースで、多くの耳聡いメタラーの注目を集めることとなった一枚。
モダンメロコアのタイトなサウンド、ブルータリティ、多様性をしっかり表現した傑作となっている。

Culling Culture


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Megan Targett:Vocal
Jay Bacon:Guitar
Al Harper:Bass
Willem Mason-Geraghty:Drums
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■Ignorant
おどろおどろしいギターリフに「ヴァッ!」と一発咆哮が飛び出すインスト

■Hideous
限界までチューニングを落としてダルダルになったであろうギターでかき鳴らすリフに、ギトギトしたグロウルと艶かしいクリーンボーカルが入り乱れるスローな開幕曲。


■Fake
終始不穏な雰囲気漂うダークな曲。
Doom Metalの要素もありLimp Bizkitを思わせるような吐き捨て型のラップも世界観を構築するのに一役買っている。


■Epiphany
野獣の咆哮のようなグロウルと、戦場の女神の神託のような伸びやかな歌唱が交互に織りなす立体的な曲。
歌っているのは本当に同一人物か?と思うほど陰影の対比が美しい。


■Misery
イントロのミドルテンポなドゥームな曲調から一転ヘドバン必須のヘヴィリフが突然襲い掛かる。
コーラスはエバネッセンスを思わせるような伸びやかで、ややヒステリックな高音が悲壮感すら漂わせながら響き渡る。MVは痛々しすぎてちょいと苦手。

■Narcissist
Megan姉さんの極上のグロウルラップを冒頭から堪能できる曲。
Megan姉さんの核(コア)を感じたい方にはまず最初におすすめしたい。
途中に突如切り裂くように割り込んでくる無機質なギターのスライドアップが狂気を感じる。

■Weaponise
ホラー映画のようなトラックを随所に挟み込み、ザクザク系のリフで容赦なく切り刻んでくるR指定モノの一曲。

■Purity
タイトル通りの純真無垢なクリーンボイスが終始ただよう浮遊系メタル。最初聞いたときに間違ってWithin Temptationかけたかと思ったくらいに全曲との雰囲気が違いすぎて笑った。

■Drift
ムーディなインストルメンタル曲。
次曲への壮大な助走となる。

■Aurora
前半のdoomで暗い雰囲気から徐々に闇が啓けて世界に光が満ち溢れたかのようなファンタジックな良曲。
しっかりとグロウルパートもあり、Meganの女神の人格と死神の人格が行ったり来たりする。
アルバム全体でも陽と陰があるが、この一曲だけでもシンフォニックに闇と光が慌ただしく入り混じる。

■Lazarus
ゴリゴリのデスコア系のリフとグロウルが冒頭から支配したかと思いきや、コーラスにはきっちりと女神が現れる。浮遊感のあるギターワークげ世界の終わりを告げるトランペットのごとく響き渡りこのアルバムの幕を閉じる。


総合満足度 81点(現代社会に対するイライラ(vexed)が強く伝わってくるレベル)

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