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SAREA『Black at Heart』(2017)

スウェーデンのヘヴィメタル/メタルコアバンドSAREA

地元の友達同士で結成されたアグレッシブ&ヘヴィギター主導をコンセプトとした彼らの音楽は、メロディのキャッチーさもあり、シーンに登場すると瞬く間に認知度を上げ、SkogsröjetMetallsvenskanといったスウェーデンの各フェスに呼ばれるようになる。

2010年にデビューアルバム『Alive』をリリース。
シングルカットされた『Another Me』のMVはYoutube上で短期間で200万再生を記録し、続く『This is not Goodbye』『Downfall』も高評価を得ると、Megadeth、Behemoth、Scar Symmetry、Machinae Supremacy、Engel、 Avatar、Sonic Syndicateといったビッグネームと同じステージに立つチャンスに繋がり、その知名度はさらに上昇、一躍EUではシーンの重要バンドとしての評価を確固たるものにする。

本作『Black at Heart』は2017年にリリースされた過去最高にメロディックでヘヴィな一枚。
北欧のメロディの綺麗さとアメリカのメタルコアの暴虐性の系譜も継ぐ、モダンなサウンドは日本でももっと評価されてもいいと思う。
前半の曲はメロディアスハードロック調が多め、後半に行くに連れ、モダンなハードコア路線の曲が増えてくる。

Black at Heart

——
Alex Dzaic - Guitars
Chris Forsberg - Vocals
Johan Axelsson - Guitars
Johan Larsson - Bass
John Thorner - Drums
Martin Persson - Keyboards
——

■Lights
極厚のサウンドに支えられたChris Forsbergの叙情的な声が愉しめるゴージャスなミドルテンポチューン。Chris の声質はJorn Landeや元MagnumのBob Catleyあたりに似た野太く中音域が映える漢ロックな雰囲気で有無を言わせず聴かせてくる系です。
同郷のH.E.A.T.あたりのモダンなスタジアムロック感も滲み出していたり。


■Black at Heart
前のめりの2ビートと空間を包み込むようなシンセに乗せてデスシャウトが儚く響く。
コーラスではクリーンボイスがメイン旋律を奏で、グロウルがサブに回り叙情のシャワー浴び放題になる。これは整う。

■Perception
軽快なリズムリフが期待感を煽りまくり、ハードロック然としたギターワークが美旋律マニア達の心を両手で鷲掴みにしくる、北欧ハードロックど真ん中直球ストレートチューン。
HammerfallやStratovarius好きなメタラーなら感涙が止まらないはず。


■The Others
ややフックのあるリフと、高速ビートに乗せてグロウルするモダンなハードコアサウンド。
よくある展開の、コーラスでテンポを落とし「聞かせにくる」のかと思いきや、なんとブラストビートで逆に速度を上げると言う不思議なワザで翻弄してくる。
いや、これは気持ちよく翻弄されましょう。


■Let Us Fall
リフからすでに異臭騒ぎが起こっているが、コーラスではもはや大騒ぎのXametalメロディアスハードチューン。
大仰なコーラスもしっかりと堂に入ってるし、メロディメイカーとして見せつけるモン見せてつけてくれてます。
NOCTURNAL RITESやTWILIGHTNING、Last Autumn's Dreamといった先輩バンドの跡を追う体制はできている。


■Duality
重々しくも音数の多い単音リフギタードリブンなモダンなメタルコア。
この曲だけ聞くとアメリカの人気ハードコアバンドと聞きまごう程のクオリティ。
こういう曲もできるのか。


■The Dormant National
グロウルとギターの不穏&叙情メロディで構成される終始重々しい良質ハードコア。
もはやフロリダやカリフォルニアのような世界のメロコア爆心地にいるようなバンドかとさえ思えてしまう。
アルバム前半のメロディックハードロック路線はどうした。


■Monotone
前2曲に比べると、EdguyやAvantasiaのようなジャーマンメタル的なメロハー路線に戻り、ギターソロもちゃんと泣いている。
美旋律スタジアムロック。


■Control
慟哭シャウトと絶叫グロウルが織り重なるハードバラード。


■Dead Eyes
ヘヴィーゲージから放たれる重々しい8分連ストロークからのギャロップリズムに、コーラスの絶叫シャウトがこだまするメタラー垂涎の展開。
思わず固く握った拳を振り上げ、全身全霊のメロイックサインで答えたくなる。
後半のテンポアップして総員突撃!みたいな展開にも心打たれます。


■All for None
重心の低いモダンなハーコーリフに、ダブルペダルドコドコでズッシリと圧迫感をあたえてきつつ、コーラスにはいるとクリーンVoが真ん中のメロディを担当し、高低のデスシャウトが交互に迫る立体的なサウンドも提示してくる、もはやどうやってもヘドバンが止まらない展開。
1:55からテンポアップしての激エモ展開にも涙腺注意。


■Circles
ラストを飾るのはキャッチーなメロディを携え疾走するメロスピデスメタル。
3:00過ぎからのクリーンバッキングによる泣きメロ垂れ流し温泉パートもずっと浸かっていたいレベル。
本当にガンに効きそう。


総合満足度 90点(久々にHeartのど真ん中に突き刺さるバンドに出会えたレベル)

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