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DarkMoor『Beyond The Sea』(2005)

スペインのメロディックパワー/シンフォニックメタルバンドDarkMoor
クサメタル一筋だった10年前に最も追っかけていたバンドのうちの一つで、思い入れも強かったので、どこかでこのバンドについて書きたいと思っていたので、レビューします。

決してメタルが盛んとは言えないスペインに置いて、彼らが『Shadowland』でデビューしたのは1999年だが、結成は1993年という事でキャリア的にはもはや大御所バンドの感がある。
パワフルシンガーElisa C. Martin 嬢を擁し2000年に『The Hall of the Olden Dreams』、2001年に『The Gates of Oblivion』を立て続けにリリースし、ヨーロッパツアーを回るうちに、ワールドワイドな実力と人気をつけ、フェスでもトリやトリ前を務めるまでに成長。

2003年に突如Elisaの脱退があり、バンドのフロントパーソン不在でバンド存続が危ぶまれたが、同年に発表された『DarkMoor』というバンドの命運をかけたセルフタイトルアルバム内で登場したAlfred Romeroというパワフルで、中性的で、素晴らしい声質を持つシンガーにより、バンドは飛翔期第二章に入る事になる。

本作は新体制となったDarkMoor2枚目のアルバム『Beyond The Sea』で、クオリティ的にも楽曲の硬軟のバランス的にもかなり高レベルの出来。
似たような曲が多い、という批判もあるが、それがこのバンドの特徴だし、クサメタルあるあるなのでそれを差し引いても満足度の高いアルバムだと思う。

Beyond The Sea


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* Alfred Romero:Vocals,Choirs,Acoustic Guitars
* Enrik Garcia:Guitars,Guttural Voice
* Dani Fernández:Bass
* Andy C.:Drums,Piano
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■Before The Duel
荘厳なオーケストラと勇壮なギターリフで幕を開けるパワーメタル。出だしからもう異臭騒ぎで大変です。
ヴァース、ギターソロは火を吹くが如く熱い展開で期待値を煽りまくりなのに、コーラスはやや盛り上がりは弱めでオープニングチューンとしては惜しい仕上がり。
Alfred Romeroのハイトーンを活かして欲しかった…


■Miracles
パワフルなミドルテンポチューン。
ギターソロがメロディアスで全世界のクサメタラーがうれションしながら拳を振り上げてしまう。
後半のクラシカルなピアノソロもなかなかエモーショナルで号泣寸前。


■Houdini´s Great Escapade
勢い一発のギターリフでザクザク始まるハイテンポチューン。
コーラスはハイトーンで叫び倒す…わけもなく、一旦トーンを落として中音域を行き来する、ある意味典型的なDarkMoorの曲。
ギターソロはネオクラシカル満載フレーズをコンパクトにキメていく潔いスタイル。


■Through The Gates Of The Silver Key
アルバム随一の名曲に繋げるためのインタールード。

■The Silver Key
Elisa時代を彷彿とさせる節回し、リフ、オーケストラサウンド、コーラスワーク、ギターソロ。。
どれも80点くらいなのだが、組み合わさると自然とリピートせざるを得ない麻薬曲の完成。
これぞDarkMoorという良い意味でB級シンフォニックメタルの真骨頂が凝縮された曲。
「Over Mountains〜」のフレーズは突き抜けるような爽快感はないものの、内から湧き上がる昂揚感を噛みしめられるし、エンリケガルシアの長いギターソロもずっと聴いていられる。


■Green Eyes
Alfred Romeroの中性的な歌声にただうっとりするだけのシンフォニックバラード。
エレアコの調べが耽美すぎて現実を忘れてしまう。

■Going On
躍動感のあるギターリフに、Xametal魂を感じるギターソロとキーボードソロの掛け合いがたまらん一曲。
初期のHelloweenやBlind Gurdianあたりのジャーマンメロスピの香りも感じるし、懐かしいこのテイスト。大好き。

■Beyond The Sea
アルバムタイトルチューンにして、もしかしたらアルバム一地味な曲かもしれない。
ズシっとしたギターサウンドには間違いなくメロイックサインを捧げたいのだが、いかんせん展開が乏しい…

■Iulius Caesar
雄々しく勇壮なインタールード。


■Alea Jacta
メロスピのお手本のようなブリッジミュートの効いたネオクラリフ&シンフォニックアレンジが感涙の嵐を呼ぶチューン。
ギターソロでテンポアップしてトリッキーなフレーズて捲し立てるのもいいスパイス。


■Vivaldi´s Winter
ヴィヴァルディの四季から『冬』のメタルアレンジ。
下手にキーボードで誤魔化さずに全編メインメロディをカッチリとギターを弾いている。


総合満足度 85点(クサメタルのお手本のような一枚)

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