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Slaughter to Prevail『Kostolom』(2021)

ロシアはエカテリンブルク出身のデスコアバンドSlaughter to Prevail

リードボーカルのAleksandr "Alex Terrible" Shikolaiは、野生の熊とケンカして顔面血だらけになりながらも必死に制圧しようとする様子をYoutubeに載せちゃうまぁまぁナチュラルにヤバいやつです。

2015年にアルバム『Misery Sermon』でデビューし、その凶悪暴虐なサウンドとSlipknotパイセン崇拝が滲み出る強烈なビジュアルで業界各誌の話題をさらうも、歌詞やパフォーマンスがロシア政府から悪魔崇拝だ危険思想だのとイチャモンをつけられてやむ無く現在はアメリカのフロリダに移住。

良質で純粋なデスコアをやってただけに、本当に生まれた場所が悪かった…!

本作『Kostolom』は、デビュー以来の強靭なビートと極悪サウンドは健在なものの、一部クリーンVoシャウトが入っていたり、実験的な面も見られる一枚となっている。Sumerian recordsからのリリース。

KOSTOLOM


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Aleksandr "Alex Terrible" Shikolai -Lead vocal
Jack Simmons - Lead Guitars
Mikhail "Mike" Petrov - Bass
Evgeny Novikov - Drums
Dima Mamedov -  Rhythm guitar
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■Bonebreaker
終始流れる不穏な電子音をバックにスラミングツーバスドラムが煽り、極限まで歪ませたギターが暴れ回る開幕曲。
一瞬クリーンを混ぜながらグロウルし続けるエクストリームなコアチューン。

■Demolisher
Slipknotよろしく高速ツーバス、マシンガンブラストにゴリっとしたガテラルが重なり疾走するも、2:47あたりの「デ モ リ シャー!!」を合図に強烈なブレイクダウンに突入。

■Baba Yaga
より強くSlipknotを意識した曲構成、サウンド。粒の揃った音速ブラストを惜しみなく繰り出し、狂気じみたDjentギターが其処彼処で踊り狂う。
ブレイクダウンパートもしっかりと落としてくる。
パーカッションなしでこの音圧を出していることに驚愕。


■Made In Russia
なんとも皮肉なタイトル。
いや、メタルというべきか。
ロシア語の語りイントロからの、強めの脳内モッシュ確定のヘヴィなドラムビートが襲ってくる。
その間も裏では怪しく単音リフを奏で回るギターがゆらめいています。
この勢いで最後まで疾走するかと思いきや、安心してください。最後ちゃんと落ちます。

■Zabali Ebalo
Alexの吐き捨て系のグロウルとハーコー味を一瞬思わせるようなシャウトが混ざったミドルテンポチューン。
相変わらずがっつくようなサウンドとビートが強烈っす。ストイック。

■Agony
重心の低いリフに狂気のガテラルが絡みまくる。
テクい高速アルペジオギターソロを挟み、ブレイクダウン教の方々大歓喜の1重い「落とし」が登場します。

■Your Only
クリーンVoの焦燥感溢れる歌唱が緊張感を煽るミドルテンポチューン。
賛否あると思うが、これはこれでいい感じの不穏さを振り撒いてくれるので、アリだと思う。
ザックザック刻んでくギターも心地よい。

■I Killed A Man
耳にも止まらぬ高速ツーバスが支配するカオティックなデスコア然とした曲。
クリーンボイスがまたしても顔を覗かせ、新たな混沌の風を吹き込む。

■Bratva
強靭なコアビートにキレの良い吐き捨てグロウルが乗っていい感じです。
速さを求めずフックとキレで勝負の曲。

■Ouroboros
怪しげなテクいトレモロギターが主張する終末感溢れる曲。
超高速ブラストも再登場で、ヘッドバンガー達の熱も最高潮です。
ネオクラ的なギターソロも最後に聴けます。

■Head On A Plate
終始不穏な進行を見せる。
ギターソロもテクいがメロディが不穏。
グロウルもクリーンボイスも何もかもが不穏。
いいねー、これぞデスコア。

■Father
最後まで極悪なビートが炸裂する。
グロウルシャウトが良い感じに臨場感あるし、トレモロばかりでなく適度にエッジを聞かせるギターも心地よい。
欲をいえばもう少しスラッシーなギターリフがあったりすると曲の彩りになるかなと。


総合満足度 80点(不当な弾圧にPrevailして欲しいと願うレベル)

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