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CALIBAN『ELEMENTS』(2018)

ドイツ出身メタルコアバンドCALIBAN
1999年のデビュー以来、ドイツのメタルコア界ではHeaven Shall Burnと人気を二分する存在感を発揮し、いまだに最前線で輝きを放ち続けているベテランバンドである。

本作はCentury Media からリリースした彼らの通算11枚目にあたるアルバムで、前作までの重戦車がひたすら突進するような突破力はやや薄れたものの、メロディやVoのAndreasのグロウルとクリーンを組み合わせたバラエティ豊かな歌唱がそれを補ってあまりある進化をみせている。
まぁ…とはいえ一点突破の激走展開のベースは変わらずだが。

さらに今作はElectric Callboy(Eskimo Callboy) のSebastian"Sushi"Bieslerをはじめ、Chris "CJ"McMahon(Thy Art Is Murder)やKoRnのBrian"Head" Welchら豪華なゲストが参加して作品に華を添えている。

Elements

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Andreas Dörner - Vo
Marc Görtz - Gt
Denis Schmidt - Gt,Vo
Patrick Grün - Dr
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■This Is War
開幕から激音の洪水。
Andreasの激情グロウルにヘヴィ極まりないギターリフとバスドラが轟音の塊となって一直線に向かってくる。
コーラスはクリーンVoを乗せつつボトムでは重低音に揺れるタイトなリズム隊が躍動する目が覚めるような一曲。


■Intoxicated
分厚い音像とブルータリティを伴いながら荒々しく息巻きながら突進する曲。
しかし勢いのみに頼らず、クリーンVoの美しいメロディが主導権を握ったり、途中で静かなウィスパーパートで揺蕩いを誘ってきたりと、緩急でも勝負を仕掛けてくる。

■Ich Blute Für Dich
ソリッドなギターワークとドラムの激流のようなグルーヴによる豪胆なサウンドを肝としながらも、しかしコーラスではしっかりと綺麗にまとめてくる良質メタルコア。

■Before Later Becomes Never
ハードコア然とした圧力強めのリフでヘドバンを強制させたかと思いきや、コーラスではAndreasが激唱スクリームをしっかり決めてエクスタシーの坩堝へと誘う。
地獄から這い上がってきたようなガテラルも頭を覗かせ、カオティックな音像がここに完成する。

■Set Me Free
重いリフを主体にコーラスで解放感溢れる展開としては前曲とパターンは一緒だが、
Andreasがリリックを狂おしく吐き出す悶絶パートがあったり、Djentに寄せたテクいギターが裏で鳴っていたりと、オルタナ要素を入れ込んで来ている曲。

■My Madness
引っ掛かりのあるリフを踏みしだきながら悠然と展開するミドルテンポチューン。
ギターノイズを散りばめたり、クリーンギターパートを用意したりと飽きさせない構成にする努力が見える。
コーラスのシンガロングは往年のジャーマンメタルバンドへのリスペクトを感じた。

■I Am Fear
ドラムをしばきながらグリグリ突進力のあるグルーヴで突き進むチューン。
どこかシューゲイザー的なアティチュードも感じながら心地よい轟音が楽しめる。

■Delusion
横揺れヘヴィグルーヴを軸に置き、コーラスではエモい煽情メロディをスクリームするモダンチューン。
Down Down Down..!のリピートが耳に残響して離れない。

■Carry On
スローでダイナミックなハードバラード。
ヴァースでウィスパー語りラップをキめ、コーラスで爆発的なスクリームを放つ様はLinkin ParkのChesterが憑依したかのような鮮烈さがある。

■Masquerade
開幕から激烈グロウルと激歪みギターの音の塊に強襲されたかと思うと、コーラスではややジャリついたクリーンボーカルが伸びやかでキャッチーなメロディを歌いあげる。
途中で少しだけ落としを入れて、モダンさをひとつまみ。

■Incomplete
哀愁たっぷりのメロディと浮遊感のあるサウンドスケープが逞しい音像を創り上げている骨太な曲。
強烈なブレイクダウンや寂寥感溢れるクリーンパートもさらりと混ぜ込み、緩急と寒暖の差で聴かせてくる。


■The Great Unknown
前曲と似たような展開とメロディを持つ曲。
ブラストビートで疾走するなど激しさはこっちの方が少し上。

■ Sleepers Awake
「Sleepers Awake…」の合図とともにツーバス連打で激走するアルバム最後を飾るブルータルなチューン。
テクいギターワークもしっかり主張し、噛み付かんばかりのグロウルも最後まで元気。

総合満足度 83点(ブルータルでヘヴィなエレメントをたっぷり堪能できるレベル)

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