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「世界にはこんな気持ちがもっと必要だと思うの」-シェイ・ケイン インタビュー

-デビュー・アルバムの完成おめでとうございます。80年代の音楽に対してリスペクト溢れる、素晴らしいアルバムですね。今の気持ちを教えてもらえますか?

シェイ・ケイン: どうもありがとう! こうして本当にアルバムをリリースできることに興奮しているし、今のところ驚くほど凄くいい反応をもらえているの。正直この急激な事態を飲み込むには、まだ時間が掛かりそうだけどね。

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-あなたが音楽を始めたきっかけは? あなたのバイオグラフィを教えてもらえますか?

シェイ: もちろん。歌い始めたのは5歳の頃。当時から家には音楽があふれていたわ。祖父母はバンドをやっていたし、父と叔父は歌手。で、私たち姉妹(シェイを含めて三姉妹)は彼らの後を辿って歌手になりたいと思ったの。で、私たちはトリオとして幼少期から歌う事を始めたの。それに、ミュージシャンを後ろに携えるのは本当にクールで奇抜なアイデアだと思ったので、迷いはなかったわ。後ろにバンドを従えて歌うのはホント素晴らしい気分なの…。それが私たちがやったことであり、Kane’dが生まれた瞬間よ!
 私が80年代の音楽を好きになった発端は13歳頃。DEF LEPPARDの“Pour Some Sugar On Me”をラジオで聴いたことから。その瞬間、すぐにこの曲と、こういう音楽へ恋に落ちたわ。それは今に至るまで続いてるの。

-このデビュー・アルバムはダニー・レクソンがプロデュースしていますが、彼とはどのように知り合ったのでしょうか。元々彼やCRAZY LIXXは知っていましたか?

シェイ: ダニーの事は知らなかったの。彼はこのプロジェクトのために歌手を探していて、私がVIXENの“Edge Of A Broken Heart”のカヴァーした動画をYouTubeで見つけて、連絡をしてきたの。「今考えているプロジェクトのためにデモを作りたいんだけど、手伝ってくれないか?」ってね。私はイエスと答えたわ。次に日には即スタジオで歌入れしたの。何故かって? それは「このプロジェクトには私しかいない」って思ったから。
 CRAZY LIXXは聴いたことはあったけど、ダニーから連絡をもらうほんのちょっと前で、ほとんど知らなかった。でもダニーと出会ってからは彼らのアルバムを聴きまくったわ。運動したり、走る時は彼らの音楽をよく聴いているし…完全に染まっちゃったわね(笑)

-レコーディングはどのように進めましたか? こんな時期なので別々でしたか?

シェイ: 最初のアイデアは、ダニーがスウェーデンからイギリスにくるか、逆に私がイギリスからスウェーデンに行くか、お互い行き来する予定だったんだけど、新型コロナウイルスの影響でダメになったの。幸運なことに、私はホーム・スタジオを持っていて歌入れは出来たから、その音をスウェーデンにいるダニーに送ったわ。ダニーは私に「自分が感じるままに歌ってくれ」と言ってくれて、録音して送ったものにも満足してくれたみたいだった。彼とはとても仕事がし易かったし、お互い初日から同じヴィジョンが持てたと思ってる。

-収録曲はどのように決まりましたか? ダニーが歌を除いて完成したトラックを、あなたに送ってきた感じでしょうか?

シェイ: そう。ダニーが曲を送ってくれて、もし必要があれば少し手直ししようなんて思ったけど、正直言って曲は完璧だった。彼は信じられないくらい素晴らしい作曲家で、何も変える必要が無かったの。

-実際レコーディングにはどれくらい時間が掛かりましたか?

シェイ: 数か月はかかったと思う。1曲ずつ進めて、レコーディングの合間には休憩を入れつつという感じで。でも1曲を録るのには、1日か2日程度だったと思う。

-シングル“Too Late For Love”を1月にリリースして、後にそのミュージック・ビデオの舞台裏の映像を公開しました。このような時期に撮影は大変だったと思います。わざわざスウェーデンまで出向いたということは、隔離期間を過ごされたんですよね?

シェイ: アルバムを完成させた直後、イギリスではその時いくつか規制がかかり始めていたの。幸い撮影のためにスウェーデンに飛ぶことは出来たから、帰ってきてから2週間の隔離期間を過ごさないといけなかった。このパンデミックでアルバムを完成させることが出来たのは本当にラッキーだったわ。このアルバム制作が無かったら、メンタルを病んでしまっていたと思うから。間違いなくとても困難な時期ではあったけど、音楽が私を支えてくれたの。

-このビデオ撮影では、ダニー自身がカメラを握って撮影していました。そこからも彼がこのプロジェクトにかける情熱が伺えます。実際彼に会ってみて、あなたはどう感じましたか?

シェイ: 彼はもの凄い人よ。彼に会えて本当に良かった。彼の情熱は作品を通して輝いているわ。とても才能を持った愛すべき人ね。

-先日セカンド・シングル“Rocket On The Radio”が発表されました。タイトル通り、今このようなスタイルの曲はイギリスのラジオでかかるのでしょうか? それともデジタル配信が主流ですか?

シェイ: イギリスにあるいくつかの素晴らしいラジオ局では、かなりのエアプレイが行われているみたいで、新しいラジオ・ステーションは毎日それを拾ってくれているみたい。私としてはもっと取り上げてもらって、こういった80年代スタイルの曲がどんどん流行って欲しいと思ってるの。同時にデジタル配信でも再生回数が順調に伸びてきているわ。

-このアルバムであなたがファンに注目してもらいたいポイントは有りますか?

シェイ: それはサックスね!!! 初めてこの音源を聴いた時にブッ飛んだわ。ダニーがジェシー・モロイに数曲でサックスを吹いてもらったんだけど、それを聴いた時鳥肌が立ったもの!

-ダニーとの仕事を通して自身が成長したと感じることはありましたか?

シェイ: 歌手として、アーティストとして、人としての自分に、より自信が持てるようになったと思う。ダニーのように私を信じてくれて、機会を与えてくれた人に巡り合えたのは、本当に素晴らしい出来事だった。

-あなたはYouTubeにたくさんのカヴァー動画を上げていますが、特に影響を受けたミュージシャンは誰ですか?

シェイ: いろんなスタイルの音楽からたくさん影響を受けたわ。上げるとキリがないけど、DEF LEPPARDは私がこの手の音楽を好きになるきっかけで、今の私がロッカーであることに多大な影響をもたらしたし、それからパット・ベネターやロビン・ベックにも触発されたわ。彼女たちはロックそのもので、いつも彼女らがそうであったように、私もクールになりたいと思ったことを今でも覚えてる。
 もっとハードな音楽を聴き始めて好きになったバンドはALTER BRIDGEね。私は彼らの歌と歌詞に非常に刺激を受けて、その後、彼らのアルバム・アートワークである『Blackbird』のタトゥーを背中に入れたの。

-自身の好きなアルバムを5枚上げるとしたら?

シェイ: この質問にはいつも困るの。だって好きなアルバムが多すぎるから…。頭に思い浮かんだ順から言うと、

DEF LEPPARD『HYSTERIA』
前の質問で答えたように、彼らはロックを愛するきっかけであり、音楽的に多大な影響を受けた、いわばすべての始まりの存在。

ALTER BRIDGE『BLACKBIRD』
私にとって多くの意味を持つ作品。人生で大変な時期を乗り越えさせてくれたわ。

H.E.A.T『ADDRESS THE NATION』
私はエリックのヴォーカルの大ファンで、このアルバムはサイコーよ。よくこれを聴くの。

ROBIN BECK『TROUBLE OR NOTHIN'』
ロビンを初めて知った日を思い出すと、偶然“Save Up All Your Tears”のビデオを見る機会があって、すぐにピンときたわ。声も、ルックスも! 絶対アルバムを聴かなきゃと思って聴いたら、期待通り大正解。素晴らしかったわ。

VIXEN『VIXEN』
車に乗っている時にベストなアルバムのひとつ(笑) このアルバムはセクシーで生意気でワルな…彼女たちはロックそのものよ!

ふぅ…5つのアルバムを選ぶのは大変ね。

-先日あなたはライヴを行うためにネット上でバンド・メンバーを募集していましたよね? 可能な限り詳細を教えてください。

シェイ: 私はずっとバンド・メンバーが欲しかった。素晴らしいミュージシャンの知り合いはいるのだけれど、私は、私と同じくらいこの音楽に情熱とハングリーさを持ち合わせた人を探したかった。このオーディションがそれを形にしてくれたの。今、まさにバンドが現実のものとなったことを喜んで言える。詳細は後日発表するわね(注: 今年12月18日にストックホルムで開催されるフェスティヴァル「Rock Out」で初ライヴが決定。またバンド・メンバーも公表。ハリー・スコット・エリオット(G)、ジェイムズ・レディ(G)、ニコ・マーティン(B)、ジェイ・ヘインズ(Dr)の4人)
 出来るだけ早くリハーサルに入りたいけれど、新型コロナウイルスで今はまだ難しいかも。早くみんなの前でライヴをするのが待ちきれないわ。

-ところで、あなたが以前リリースしたシングル“Torn”はYouTubeやデジタル配信から削除されていますね。なぜでしょう?

シェイ: その曲を書いた時は精神状態がとても悪く、酷いコンディションだった。リリースはしたのだけれど、この曲はその時の思い出したくない負の感情を、どうしてもフラッシュ・バックさせてしまう。で、ダニーからオファーがあった時、私はソロ・アーティストとして仕切り直しをしようと決めたの。将来的には“Torn”を再リリースしようとは思うけど、今はまだ万全の状態じゃない。それから距離を置くためには13歳の時に好きだった音楽を聴くことが大事なの。このアルバムを作ることは、初めて“Pour Some Sugar On Me”を初めて聴いた時のような興奮を与えてくれたわ。世界にはこんな気持ちがもっと必要だと思うの。

-今後の予定を教えてもらえませんか? もう既に次回作には取りかかっていますか?

シェイ: まず最初に、私はこのアルバムを引っ提げてツアーに出たくてしょうがないのだけど、今の状況では先が見えないから…近い将来に実現出来ると良いのだけどね。
 ダニーとは一応今回のプロジェクトのみの仕事だったけど、お互い同じヴィジョンを共有して、素晴らしい仕事と協力関係が築けたわ。まだ次回作には取りかかって無いけれど、Frontiers Recordsの誰と組むにしても、始めるのはそう遠い未来では無いわね。

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-あなたが音楽を続ける上で大切にしている事は?

シェイ: 私が歌手として一番大切にしていることは、喉を常に最高の状態にすること。健康的な食事を取り、出来る限りアクティヴに動くこと。これがライヴ(音楽)をする上で一番大事だと思う。

-あなたは日本の物事で何か興味を引かれるものはありますか?

シェイ: 残念ながら日本には行ったことが無いのだけれど、妹が行ったことがあって、あなたも絶対に気に入るからって。だから将来の候補リストに入ってるわ。近い将来日本に行って、日本の文化を直接肌で感じられたら良いなと思ってるの。

-日本を含め3月12日に全世界であなたのアルバムが発売されます。日本でもあなたのシングルを聴いて、あなたに興味を持ったファンが沢山います。最後にメッセージをもらえますか?

シェイ: ワォ!! 素晴らしいわ。世界中で私の音楽に触れてくれるなんて最高の気分。特に日本にまで届くなんて特に嬉しい。感動するわ。本当にありがとう。いつか日本のみんなの前でライヴが出来ることを願ってる。

愛を込めて。

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