漫画×NFT どうやる?会議 vol.1
こんにちは、秋月カイネです。
漫画家さんの創作活動を安定させたくてNFTに可能性を見出し、一ヶ月使ってみた所感を簡単にシェアしたいなと思ったので、NFTやってる漫画家さん同士で意見交換させていただくこととなりました。
とりあえず、NFT始めた歴0~2ヶ月漫画家メンバーでの議事録です。
スペース録音できなかったので、記憶を頼りにした書き起こしとなります〜。
まず、簡単なメンバー紹介から
当日ホストは私、秋月カイネ、以下スピーカーにかルルさん、さゆくろさん、マップさん、花戸つきさん、飛び入りでカロンさん、MetaFighterさん
NFTって漫画家から見るとpixiv Fan Boxとクラウドファンディングと株投資みたいだねっていう印象をお伝えしました。
通りすがりのカロンさんが、NFTアドバイザーとして最初にNFT界の漫画情報を教えてくれました。
↓カロンさんのnoteアカウントはNFT初心者に役立つ情報ばかりだよ!
NFT界隈で注目の漫画家さん3名+かルルさん
設定という世界だけを創る
蒼井さんは魔法学校の女生徒という設定のコレクションです。
最初に設定やキャラクターを出して、ディスコードでいろんな人が関係性作ったりしてその場でストーリー作っていくDAO的なコンテンツ展開です。
これはNFT的に発展していく方向性がイメージしやすく、例えば
NFT持ってる人がキャラクターのコーチになれたり
NFT投票権を利用して次回ストーリーの主役オーディションの人気投票をしたり
…とアイドル展開と似た形にも発展できるのでは?とカロンさんはおっしゃってました。
未来を一緒にひらいていくようなワクワク感のあるコンテンツです!
推しが人気になるほど所有NFTの価値も上がるなら、とてもNFT的な設計だなと感じます。
キャラちゃんの成長をみんなで楽しむ!
minuiさんはちびキャラ展開がとっても可愛い!
つよつよガールズというキャラクターの名前を募集して、名付け親さんにgiveawayしたり…
つよつよガールズの4コマ漫画もあるそうです。
<実はどんな文脈でどんな漫画展開の話だったか、緊張しすぎてうろ覚え…なので…誰かこっそり教えて欲しい〜>
ちょっとクラウドファンディングっぽい使い方かな?といった印象です。
思いついた時点で優勝!な企画
ぴぴぴさんは某100日後設定で毎日漫画を出していく…しかもNFTで借金返済!?というNFT界の住人ならハラハラしつつ応援せざるを得ない、企画の時点で大勝利!!なコレクションです。
漫画も4コマ漫画1Pずつでリストされていき、完結までのコレクションイメージも掴みやすい、知り合いキャラクターさんも出てきて、NFTあるあるネタも面白い、漫画としても企画としても盛り上がりやすいコンテンツだと思います。天才。
上げていただいた作家さんは、既にNFTでできる特性を活かした活動で成功されてるなと思いました!これからもめちゃくちゃ注目の3名です!
一方で、ずっと漫画を創作して来て、自分のスタイルだったらどういう形に展開できるのかな?というアプローチが気になる方も多いんじゃないかなと思います。
それでも買っちゃう1p漫画
今回スピーカーで参加してくださったかルルさんのコレクション、NEKO Diary。
こちらも1p漫画や1コマ漫画の原稿NFT。
これはもう、可愛いから買っちゃうやつです。私も一ついただきました!
カロンさんもご指摘なんですが、既に漫画(内容)を読めてしまっているのに「買おう!」と思わせられる所が凄いことだと思います!
購入する側の方もそれなりにパトロン資質がある、無意識ですが、買う人を選ぶようなスタイルで、多くのクリエイターさんが思う「石油王お待ちしております」で成功する羨ましい例だと思います。
クリエイターさんの作品力あってこそ!ではありますが、NFTを買って応援する意識を持ち合わせている人が巡り合わせでオーナーになっていく印象でした。NFTを購入して、クリエイターさんの紡ぐ日常を分けてもらいたくなる雰囲気が、そういった購買欲を促しているんじゃないかなと感じます。
上げていただいた作家さんは、皆さんNFTでできる特性を活かした活動をされてるなと思いました!みんな天才!!
Unlockable機能というNFTの技術
Unlockable機能を活用して
・イラストNFTから漫画の読めるURLを記載
あるいは逆に
・漫画のNFTからアイコンプレゼント
なんて展開もあるんじゃないかという話をしました。
基本的に、現在OpenSeaにmintできる保存形式が
File types supported: JPG, PNG, GIF, SVG, MP4, WEBM, MP3, WAV, OGG, GLB, GLTF. Max size: 100 MB
ということで、PDFやEPubなど漫画の複数ページ形式に対応できるものがないため、ページボリュームが必要な物語タイプの漫画は外部誘導といった形になってしまうのが悩み、ということですね。
ショートストーリーやエッセイなど1、2枚のJPGやPNGで配布できるものは、現状でも工夫次第で「見せたい方」と「続きやオチをunlockable」という作り方ができそうです。
逆に、漫画は多くの人に読んでもらって好きになってもらってからが勝負!という作品も多くあります。
そういった場合は、漫画を読んでもらう→NFTのUnlockableに特典イラストなどを付ける、と言った、コミックス巻末おまけ漫画的な使い方もできそうです。
また余談ですが、漫画は多くの場合でエロ系から発展していく場合が多くあります。Open Seaでもセンシティブの項目があるので、こちらを利用したものも増えていくんじゃないかなと予想しています。
現状、芸術としての裸婦画などは問題ないようですが、日本の市場では芸術もポルノも「裸じゃん?」みたいな線引きの誤魔化しがあるので…表現の自由と自己責任の認識について、明確に振り返る機会になるかなと思います。
個人的には、エロ表現に関してそれらも認められるべきだと思っています。
ただ、無防備に遭遇したくないものではあるので(好意のない存在の18禁表現は怖かったり嫌悪感しか持てないっていうのを、忘れがちな議論が多いなと最近思います。恋をした時とかがそうじゃないですか、自分を好きになってもらう努力をしないままいきなり凸って嫌われるパターン…あれの犯罪版です)ルールを守って使えるならそれもいいんじゃないかなと思いますが、この辺は自己責任で判断してください!
「漫画を英語版も用意した方がいいのかな?」問題。
さゆくろさんも可愛らしいショタBL漫画をNFT化されてます!
NFT fes (NFTのコミケみたいなイベント)で、海外の方に買ってもらえたり、Instagramで喜んでもらえたり。
フランスの方だったらしいのですが、フランスには「バンド・デシネ」という漫画文化があるので日本の漫画も結構好いてくれることが多いようです。
余談:海外の漫画事情
個人的な所感とリサーチしたことのまとめなのですが、
少年漫画や青年漫画は国境を超えて楽しんでもらえることが多いです。ですが、ちょっとしたエッチな(肌面積が多いだけでも)サービスカットもアウトな国があるので、その辺りは注意が必要かなと思います。「漫画表現のポルノ」と捉えられる場合があります。
少女漫画(特に恋愛漫画)は少し事情が違って、共感を売りにしていることが多いため、似たような文化圏じゃないと共感してもらえないという壁があります。その代わり、アジア圏では国境の隔たりを感じない熱意で受け入れてもらえるといった印象です。こちらも露出表現は厳しく見られる部分なので注意です。また欧米では恋愛観が違うため、「そういう文化圏の物語なのね」といった受け止められ方をするようなので、狙った演出になっているかは不明です。セーラームーンが国境を超えたのは、女性が活躍するアクションアニメだったから、という事情があります。
また、最近はジェンダーの捉え方の乖離が世界と日本で壁になっている印象があるので、BLの方が逆に良かったり、男女の恋愛の方が厳しくジェンダー意識をチェックされてしまう場合がある気がしますが…もしかしたら上記に挙げた点は「商業漫画の場合は」なのかもしれません。
海外市場を狙いたい!と思う方もたくさんいらっしゃると思うので、そういった方は、Twitterだけでなく(Twitterが一番人気なのは日本くらいで、世界的にはInstagramやTiktokが主流ですので)Instagramでのアピールもあるといいんじゃないかなと思います。
また、現在は翻訳をDeep Lで行っているということだったので、この辺りコラボで解消できないかな〜とうっすら思いつつ、きちんとした出版をしたい場合は翻訳サービスを使うのもアリかなと思いました。
ページ800円くらいの単価でローカライズまでしてもらえることを考えると、セルフ出版の強い味方になるのでアリかなと。
NFT×Cていう企画、良かったよね!っていう話。
さゆくろさんも宣伝漫画を描いていたNFT×Cという企画が、数名のクリエイターさんコラボでNFTを集めると花札の役のように得点になるという、とても面白いものでした。
これを漫画に応用できないかな、例えば恋愛趣味レーションゲームみたいに…
・主人公男子NFT×相手女子NFT(複数名)でカプを作るとストーリーが読める
・アイテムNFT付加でエンディングが変わる(マルチエンディング)
推しカプのNFTで漫画を読んだ後、別の子エンディングも見てみたい…などもできそうですよね!
業界でも、例えばNetflixなどでは将来的にユーザーの好みに合わせたマルチエンディング作品が出ると噂があります。
この辺り、NFTならではの漫画展開ができる可能性がありそうです。
MetaFighterさんのご提案。
ゲストスピーカーでMetaFighterさんが上がって下さって、NFTで漫画の展開方法についてのアイデアを共有してくださいました。
ブログやニュースを書いて送るメルマガ的?なイメージで、Giveawayを活用するスタイルのアイデアです。
例えば、新作が出たタイミングで途中までの漫画をGiveawayし、一定数で終了、漫画の続きは正規版NFT買ってね!みたいな。(だと記憶しております)
あるいは、続編購読ができるNFTを予め発行し、新作が出たタイミングで保有者にGiveawayする、など。
初期NFTを持っている古参が有利な連載設計に。
長編などの継続販売の方法として一つ面白いアイデアだなと思いました。
やり方によっては、より高い収益化にもできる、といった感じでしょうか。
この辺りは作家さんの運営スタンスでコミュニティ重視か収益重視かなど、幅を持たせられる部分かなと思います。
私の施策も紹介させていただきました。
ここで、クリスマスイブに行った私の施策も。
販売戦略の1つとしてNFTを利用した形です。
全員Giveawayの概要欄に漫画の読める外部リンクを貼って、キャラクター紹介として漫画へ誘導する、チラシのイメージです。
漫画も収益化できる外部媒体を利用する導線にしておくと、より制作サポートを強化できるかなと思ってやってみました。
今作に関しては、Kindleインディーズを利用しています。DL数が上がるほど賞金が出るプログラムなので、フォロワーの多い人の方が有利だったり、初期ブーストやら色々な条件を重ねるほど収入がアップします。
リンクもアフィリエイトにしてあるので、ささやかながら小銭を集める作戦です。
どちらかと言うとNFT主体ではなく、現行の販売プロセスにNFTを追加した形ですね。こういったやり方は初ケースかも?だったようですが、それが本当かどうかはわかりません。
基本的にGiveaway企画はフォロワー増も見込めるので、参加初期ならかなり有効かなと感じました。ただ、あまり毎回できるものでもないので、計画的に運用できればいいんじゃないかなと思います。
そもそもNFTの用語ピンとこない問題。
思いっきりNFTらしくない方法を紹介してしまったので(反省しかない)、改めてNFTならではのアプローチ考えてみる?という議題から、やっぱDAOじゃない?という話になりました。
最初のカロンさんの話から、キャラクターを用意するとストーリー展開をしたくなるし、そうなるとディスコード運営が必要になる…。
マップさんも元商業誌での連載経験がおありで、今キャラクターコレクションを展開しています。
自分でストーリーを描けてしまう作家さんだと、ディスコードなどの運営などがさらなる負担になってしまうので…漫画家の発想で展開するとすぐに過労死ルートを選んでしまうんですよね。それがやりたい事だったり、一人でもできてしまう事だったりするせいなのですが、一人で表現できてしまう天才ほどDAOから遠くなる!笑
NFT界隈ではイケハヤさんのCryptoNinjaのコレクションが最もDAO的なコレクション展開だと思います。漫画とかもあるみたいですが…補足しそびれてしまいました。相手は忍者だし仕方ないか〜。そのうち捕獲できたら見てみます!
公式でキャラ二次創作を応援しているので、超有能クリエイターさんがめちゃくちゃ集まってる集団と化してます。さすが忍者。
最初に上がっていた話ですが、DAO化して盛り上がるスタイルが今のNFT界隈の主流です…っていうけど、用語がなんとなくしか分かってない。笑。
ここで、当日突然Open Seaデビューした私の友人花戸さんもいる事ですし、ということでDAOって何ぞ?からおさらいする事にしました。
DAOね、コンテンツとしてどういった方向性にするか、とか、発案者としているだけとかのイメージで…
DYOR(自分で調べて)っていうのもNFTではあるあるスラングなのですが、ここはもう少し優しく、すっごく雑に例えると
漫画界でいう、さいとう・たかお先生のプロダクションみたいな感じです!
(当日はCLAMP先生を上げさせていただきましたが、後々から考えたら「ゴルゴ13」なんてDAOの最終目標そのものじゃないかなと思いだしました。)
mintとかlistとかもそうですが、NFT界隈では常識の横文字がたくさん出てくるのが、また新規参入者のハードルになってしまっているんですよね。それが市場拡大の妨げになっているわけですが…
実は以前、電子出版社と漫画家さんでNFTっぽい企画が立っていたことがあったのですが、その時の一般ファン向けの名前が「コミカブ」。
発想としては、新連載の株をファンが買う、と言ったNFTとも言える設計で、一般層からも最もイメージしやすい名前ではあると思うのですが…ファン層からすると漫画作品を株と言われたことに違和感を感じ、NFT界隈からは名前が違うために引っかからない、と言った結果に終わったようです。
NFTの用語は確かに耳慣れないものが多いかもしれませんが、一般に合わせて変えてしまうとより一層馴染まない可能性もあり、いっそそのままの用語が一般にまで浸透するのを待つ方が早いんじゃないかなって思っています。
集英社や講談社、ディズニーもNFT参入を発表しているので、そのタイミングを待ちつつ準備期間に充ててしまうのも策かなといった感じです。
で。
MetaFighterさんのアイコンが懐かしの「キン肉マン」風だったことから、キン肉マンの話。
登場する超人キャラクターのデザイン募集をジャンプ誌面でして、採用された超人が作中に登場する企画がありました。しかも採用者はコミックス巻末に名前が掲載されるという、ファンからするとめちゃくちゃ熱い企画です。これはとてもフィジカルDAO的で、NFT漫画にも応用できそうなアイデアです。
私もクラウドファンディングを調べていたとき、「作中にエキストラ出演できる権」の特典があったらいいんじゃないかなと思ったことがあったので、似たような発想ですね。
NFTコレクターの購買目的の中に「買うとスペシャルな体験できる」というものがあるそうです。この辺りの発想は、一つ面白い活用方法になるんじゃないかなと思いました。
ということで。
これでおおよそ覚えている範囲の要約は書き出したかなと思います。
改めてすごくNFTの可能性は無限だし、アイデアも豊富に出てくるし、よりクリエイターさんたちの作品が魅力的になりそうなことばかりでワクワクしました!
個人的には、クリエイターさんは作品も運営方法もそれぞれだと思いますので、こういったいろいろなアイデアの中から、自分に合いそうなものを見つけて活用してもらえれば嬉しいです。
次回は、もう少し煮詰めたお話ができたらいいなと思っています!
最後になりましたが
スピーカーでお話しくださったかルルさん、マップさん、さゆくろさん、花戸さん、カロンさん、MetaFighterさん、メッセージくださったモグリさん
ありがとうございました!!!
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