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財布を拾う

その日私は仕事で疲れていた。帰り道に転んだし、バスで帰るのが面倒な場所にあったので散々歩いてうんざりしていた。それなのに後五分で家というところで私の携帯が鳴った。見覚えがなかったのでスルーしようとしたが余りにも長かったので取った。警察からだった。

「財布を落としましたよね?」
「えっ?」
「あなた財布落としてるんですよ、届いてます」

家に帰って車を出して取りに行った。転んだところで落としたらしい、通りすがりのライダーが拾って届けてくれたそうだ。落とした事にすら気付いていなかったしその頃はカードを持っていなかったので特に何も問題はなかった。因みに何故携帯が鳴ったかというと通販の受け取り控えだかを財布に入れっ放しにしていたからだ。本当に危機管理を頭に叩き込んだ方がいい。

そういう訳で、残業でへろへろになった帰り道街灯の下にカードを抜き取りかけたような様子で落ちていた財布を拾って三十分かけて警察署に行ったのだ。近所の交番に誰もいなかったので。諸々の手続きを終えて帰ると、父がぽつりと「迷惑系Youtuverじゃなくてよかったな」と言った。父の口からそんな言葉聞きたくなかった。

財布以外に落ちているものを拾う事もあるがみんな本当に気を付けた方がいい。鍵とか困るでしょ。自転車地味に困らない?後新千歳空港に帽子落とした人、旅の思い出にケチがつくから本当に気を付けてね。

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